ライター
MAYU フリーライター

和歌山を拠点に旅するフリーライター。枕が変わると寝れない極度の心配性ですが、行動力と直感はピカイチです。アジアを放浪中、インドにどハマりし宗教や文化に興味を持つ。

こんにちは、フリーライター高野麻由です。わたしは小さい頃からお寺に行くことが好きで、大人になった今でも御朱印集めに巡ったり、疲れたな……なんてときに心を休めに足を運びます。

日本で生まれ育った人にとっては馴染みのあるお寺。そんなお寺に宿泊しいろいろな体験ができる「宿坊」をご存じですか?

2020年は誰もが予期せぬことが起きた一年でしたが、こんなときだからこそ街の騒音から離れ、宿坊で過ごすおこもり旅で癒やされてみませんか?

今回は世界遺産にも登録されている高野山を訪れ、ホテルとはまた違った宿坊の魅力をお届けします。

歴史ある場所・高野山


高野山の始まりは816年、中国で真言密教(日本仏教の一つ)の教えを受け継いだ僧・空海によって開かれたもの。風情ある街には117もの寺院が並び、中には世界遺産に登録されている寺院も。

もともと宿坊は僧侶の修行としての場所として、そして参拝者が身を清める場所として知られています。宿泊施設としての印象がない方もいますが、最近は気軽に宿泊できる宿坊が増えています。海外の観光客にも人気で、日本を感じる旅にも最適な場所です。

【15:00】宿坊「不動院」へチェックイン


高野山にはいくつも宿坊があり、どこにしよう?と迷ってしまうほど。正直どこもステキです!どの寺院も歴史があり、おもてなしにもこだわっています。

今回わたしが不動院に決めたポイントは、いろいろな旅行サイトで評価は高く、何もしない贅沢を味う旅にピッタリな1日1組限定の特別客室に一目惚れしたからです。


部屋にはおもてなしのおまんじゅうとお茶が。旅の醍醐味でもあるご当地のお菓子には、不思議と心躍りますよね。

和歌山出身・在住のわたしですが、各旅館やホテルそれぞれおもてなしのお菓子が違い、「こんなお菓子あるんだ!」と新しい発見を得られる、旅の楽しみの一つです。

【16:00】寺院内を散歩


不動院の周りには徒歩で参拝できる寺院もありますが、せっかくの「おこもり旅」なので、外に出ず寺院の中でのんびり過ごすことに。

不動院は延喜7年(906年)に開基した寺院で、長い歴史が経ったと思えないほど手入れされており、どこを切り取っても美しい和の造りにホッとします。


庭園に繋がる廊下に、ズラッと並ぶ部屋を発見。時代を感じる家具や掛け軸に目をやりながら、こだわりポイントである襖絵に目が釘付けに。

特に一番奥の上段の間には、高野山の時代の流れ、歴史ある山の流れを絵にしており、ずっと眺めていられるほど丁寧で美しいものでした。

【17:30】お肉、お魚を使わない精進料理に舌鼓


夕食の時間になると、中庭が見えるお部屋に通されました。机の上には、お肉・お魚を使わない精進料理(しょうじんりょうり)がズラーっと並んでいます。

高野山の精進料理は、五法(調理方法)、五味(味付け)、五色(色彩のバランス)を大切にし、一つひとつ丁寧に仕上げられ、それぞれに意味が込められています。和歌山の郷土料理に欠かせないごま豆腐など、優しい味わいに心も身体も幸せに。


お魚やお肉は使っていませんが、ボリューム満点!どれもおいしくて終始食べる手が止まりませんでした。料理に合うお酒も用意されており、まさに至れり尽せり。

夕食の時間は、時間を気にせずのんびりできる至福のときでした。ランチの提供もしているので、高野山にお越しの際はぜひご賞味あれ。

【20:00】離れ「金松の間」でのんびり


お腹もいっぱいになり、部屋に戻りのんびりと過ごします。本日宿泊する離れ「金松の間」は1日1組限定で、8畳2部屋・ウッドデッキと広々とした室内。

木の温かみと畳のほのかな香りが心安らぎ、窓からは手入れされた庭園が見えリラックス効果抜群です。


金松の間に決めたポイントの一つは、専用の檜風呂!おこもり旅では、とことんワガママ条件を叶えたくて、とにかく部屋でのんびりできるプランにしました。

ロケーションや食事プランも大切ですが、一日の疲れを取るためのお風呂も見逃せM茶園。日頃入ることが少ない檜風呂に気分が上がり、窓からは専用の庭が見えてホッと一息。

【7:00】朝の勤行で、気持ちの良い朝を迎える


朝目が覚めると、町より少し肌寒い高野山。雨の音とストーブのニオイが冬を迎える準備をしています。

いつもより早起きをして向かったのは朝の勤行(ごんぎょう)。本堂でお経を唱え、瞑想する時間のことを言います。なかなか体験できない朝の勤行は宿坊ならではの経験。とってもいい時間でした。

【8:00】朝食は、文化財書院に登録された場所で


朝の勤行で身を清め朝食へ。旧書院と呼ばれる離れへ通されます。こちらは安土桃山時代に建設され県指定文化財に登録されているのだとか。しっかりとソーシャルディスタンスを保ちながら、広々とした部屋で朝食なんて贅沢!


安土桃山時代。わたしは歴史の教科書で習った程度で、実際に当時の建物を見たり触ったりしたのは初めてで感動しました。

お時間がある方は、建物全体の造りもそうですが、並べられている家具にも注目してほしい!昔の職人さんの器用さと、日本の素晴らしさを感じさせてくれるデザインにうっとり。


それでは朝食をいただきます。夕食と同じく、朝食も身体に優しいおかずに白飯とお味噌汁。これぞ日本の朝食!という、朝から笑顔になる時間に幸せいっぱいです。

【10:00】チェックアウト


集めている御朱印帳に、思い出がまた一つ増えました。チェックアウトする際も皆さんが声をかけてくれて、温かいおもてなしに胸がいっぱいになりました。

高野山には何度も訪れていましたが、宿坊に宿泊したことで、日帰りでは感じられなかった高野山のよさに気付きました。

四季によって景色の色が変わる高野山、次はどの季節に来ようかな?とすでに次の旅をイメージしながらチェックアウトしました。

【11:00】「西南院カフェ」でお坊さんが淹れるコーヒーを


チェックアウトし、高野山を下山する前に、今SNSで話題になっている穴場カフェ・西南院カフェに立ち寄りました。西南院は高野山の入り口からすぐ右手にある寺院で、「お寺カフェ」をオープンして以来たくさんの方が利用しています。

お坊さんが淹れるコーヒーって珍しいですよね。しかも、自慢の庭園の広さは圧巻!景色を眺めながらカフェを楽しめますし、ゆったりと過ごせる穴場カフェですよ。宿坊もやっているので、気になる方はぜひチェックしてみて下さいね。

■詳細情報
・名称:高野山 別格本山 西南院(さいなんいん)
・住所:〒648-0287 和歌山県伊都郡高野町高野山249
・地図:
・アクセス:高野山駅よりバスで15分・バス停「弁天前」からすぐ
・営業時間:10:00〜17:00(宿泊者のみ21:00まで利用可能)
・電話番号:0736-56-2421
・料金:ドリンク1杯500円
・オススメの時期:紅葉がキレイな9〜11月
・公式サイトURL:https://sainanin.com

宿坊で身を清め、心を休める旅を


宿坊でのおこもりは、なにもしない贅沢を感じた時間でした。せわしない毎日を過ごす中で少し心を休め、住職の方とお話ししたり、おいしい食事で癒やされるなど、ホテルとは違った魅力のある宿坊の良さを、もっとたくさんの方に広めていきたいです。

宿坊には一人旅で訪れる方も多いもの。一年のご褒美にもぴったりですし、高野山を知るために訪れるのもいいでしょう。宿坊で心と身体を休める旅をぜひ体感してみてくださいね。

■詳細情報
・名称:高野山 不動院
・住所:〒648-0284 和歌山県伊都郡高野町高野山456
・地図:
・アクセス:高野山駅よりバスで約20分・バス停「蓮花谷」より徒歩3分
・電話番号:0736-56-2414
・公式サイトURL:https://www.fudouin.or.jp/index.html

All photos by Mayu Takano

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