ライター
川波 恵子 旅する臨床検査技師

旅する臨床検査技師けーちゃん。訪問国数は43ヶ国。臨床検査技師として働く傍ら、出張撮影サービスのカメラマンをしたり、世界一周をしたりアメリカ横断したり、カナダに住んでみたり、フォトコンテストで世界1位になったり(IPA 2023)。「やりたい事は全てやる、行きたい所は全て行く」をモットーに世界中を旅しています。好きなことはカメラと美味しいチョコレート探し。今の目標は宇宙旅行。

カナダの国立公園第1号であり、カナディアンロッキーの玄関でもある「バンフ国立公園」は、世界中から訪れる人々をその豊かな自然で魅了する、カナダ随一の観光地です。

世界遺産「カナディアン・ロッキー山脈自然公園群」の一部でもあり、さまざまな魅力に溢れるバンフですが、初めてバンフに来る人へ特におすすめしたいスポットが「湖」。

この記事では、バンフのツアー会社でガイドをしていた私が、バンフとその周辺にある湖の魅力をお届けします。

バンフ周辺の湖はなぜ美しいのか


バリア湖

バンフをはじめ、カナディアン・ロッキーの湖はとても美しい青色をしており、遠くから見ると濁っているように見える湖が多いのが特徴。湖によって少しずつ色や透明度が違うだけでなく、時間によっても違った表情を見ることができ、多くの観光客を惹きつけています。

この特徴的な美しい色は、カナディアン・ロッキー周辺の湖の多くが氷河が溶けてできた「氷河湖」であることが理由です。

氷河が湖へ流れ込む際に岩を削ってできた粉、「ロックフラワー(Rock Flour)」が水中に浮遊しているのですが、ここへ太陽の光が当たると、波長の短い青系の光が散乱して我々の目に入るため、綺麗な青やエメラルドグリーンの色をしているように見えるのです。

この氷河が大量に溶ける真夏や、湖の源となる氷河が大きいときにはロックフラワーの量が多く、濁ったような白っぽい色になります。一方で、春先などはロックフラワーの量が少ないため、濃い青色に見えます。

バンフの観光で気をつけてほしいこと


野生のエルク

バンフでは”自然の中に人間が住まわせてもらっている”という精神があります。

オオカミの巣穴を守るために季節限定で道路閉鎖を行う、山火事が発生しても人が住むエリアに迫って来なければ火は消さない、など動物・自然との共存を最優先にしています。

皆さんもバンフ観光の際には、ぜひその精神を大切にして観光しましょう。

国立公園内には多くの野生動物が住んでいますが、餌を与えるのは絶対にNG。写真を撮るためにリスにスナック菓子をあげている観光客をたまに見かけますが、そういったことも厳禁です。

また、ゴミのポイ捨ても絶対ダメ。バンフの街中や主要な観光地へ行けばゴミ箱があるので、そこで捨てるか、ホテルまで持ち帰りましょう。

花や木の実など、国立公園内のいかなる物も持ち帰ることはできません。罰金を請求されたなんて話も聞きますので、持ち帰るのは思い出とギフトショップで買うお土産だけにしましょう。


ガイドの仕事中に何度か遭遇した野生のグリズリーベア

車で走っていると、熊や鹿などたくさんの動物に出会うことができますが、外へは出ずに車内から見るようにしてください。近づきすぎると動物にストレスを与えてしまいますし、いつ襲ってくるかわかりません。

すべて当たり前のことではあるのですが、守れていない観光客も多く、問題となっているのも事実です。美しいバンフを守るために、気をつけて観光できるといいですね。

カナディアン・ロッキーのおすすめ湖10選

カナディアン・ロッキーには美しい湖が数えきれないほど存在しているのですが、その中でも私がおすすめする湖を厳選して10個ご紹介します。素敵な湖が多すぎて、10個に絞るのにとても苦労しました……。

ツアーでは必ず行くような有名どころから、多くの人は知らないマイナーな湖まで紹介していますので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

1.レイク・ルイーズ


バンフ観光で最も定番なのが、エメラルド色が美しいレイク・ルイーズ。イギリスのヴィクトリア女王の四女で、カナダ総督ジョン・キャンベルの奥さんでもあったルイーズ王女の名前が由来です。

湖の奥に見えるのが、ルイーズ王女の母親の名前と同じ「ヴィクトリア氷河」で、その氷河が溶けて流れ込んだ水とロックフラワーが美しい湖を作り出しています。


フェアビュー展望台からの景色
間近で見るのもいいですが、おすすめはフェアビュー展望台から見下ろす景色。道を間違えて「Fairview Mountain」のほうへ行ってしまう人がたまにいますので、「Fairview Lookout」の看板をしっかり見ながら登るか、Googleマップを確認しながら向かいましょう。片道20分程度の軽いハイキングでたどり着けます。

レイクルイーズはバンフの街中からバスが出ている数少ない観光地。車で行くこともできますが、ハイシーズンは駐車場がいっぱいになっていることも多いので、バスかツアーで訪れるのがおすすめです。

■詳細情報
・名称:レイク・ルイーズ (Lake Louise)
・住所:Lake Louise Lakeshore Trail, Lake Louise, AB T0L カナダ
・地図:
・アクセス:バンフのダウンタウンから「Roam Bus 8X」もしくは「8S」/車で約45分
・料金:無料 (駐車場は有料)
・公式サイトURL:https://www.banfflakelouise.com/

2.モレーン・レイク


バンフ観光においてレイク・ルイーズと並んで人気なのが、モレーン・レイク。奥に見えるテンピークスと呼ばれる山々とのコラボレーションが美しく、私の大好きな湖のひとつです。

ターコイズブルーが美しく、湖内に溶けているロックフラワーの量などの違いから、同じ氷河湖でもレイク・ルイーズとは違う青色をしています。

訪れることができるのは6月から10月中旬までと期間限定で、夏はもちろん秋も黄葉が綺麗でおすすめ。

2023年より自家用車での乗り入れは禁止になり、現在モレーン・レイクに行く方法はツアーかバスのみです。今後訪れる方は、ご注意くださいね。

■詳細情報
・名称:モレーン・レイク (Moraine Lake)
・住所:Improvement District No. 9, AB
・地図:
・アクセス:「Roam Bus 10」(9月〜10月上旬)、もしくはレイクルイーズからのシャトルバス/バンフのダウンタウンから車で約1時間
・公式サイトURL:https://www.banfflakelouise.com/experiences/moraine-lake

3.ペイト・レイク


1900年代初頭にカナディアン・ロッキーのガイドをしており、この湖の近くにテントを建てて住んでいたというビル・ペイトーという人物の名前が由来の、ペイト・レイク。

その形は独特で、「キツネに見える」とも「グリズリーベアに見える」とも言われています。

冬には湖面が真っ白になり、夏とは違った美しさを見せてくれます。また、10月下旬ごろの初雪直後に訪れることができたならば、凍る前の青いペイトレイクと、白い雪を被った木々の美しいコラボレーションを見ることができます。

レイク・ルイーズ、モレーン・レイクに次いで、バンフで3番目に訪問者が多いペイト・レイクですが、バスでは行けず、車かツアーでのみ訪問可能です。

■詳細情報
・名称:ペイト・レイク (Peyto Lake)
・住所:Peyto Lake, Improvement District No. 9, AB T0L, Jasper, AB T0L 1E0
・地図:
・アクセス:バンフのダウンタウンから車で1時間10分
・公式サイトURL:https://www.banfflakelouise.com/experiences/peyto-lake

4.エメラルド・レイク


バンフ国立公園のお隣、BC州のヨーホー国立公園にあるエメラルド・レイクは、バンフ観光では定番の観光スポットです。多くの野生動物が生息しており、私もここでステラーカケス(鳥類の一種)、ブラックベア、ムース(ヘラジカ)など多くの動物と出会いました。

先住民には「Hidden Lake (隠された湖)」という名で知られており、男が狩りに出ている間に略奪されないよう、家族をこの湖に隠していたことからそう呼ばれていたと言われています。

湖脇にある100年以上続くロッジは、年中開いており一度は泊まってみたい憧れの場所です。

また、バンフ周辺の湖の中では一番安くカヌー体験ができるので、美しい湖でのカヌーもぜひ体験してみてください。

■詳細情報
・名称:エメラルド・レイク (Emerald Lake)
・住所:Columbia-Shuswap, BC V0A 1G0
・地図:
・アクセス:バンフのダウンタウンから車で1時間10分
・公式サイトURL:https://apps.gov.bc.ca/pub/bcgnws/names/9944.html

5.バーミリオン・レイクス


バンフの街から徒歩や自転車でも行ける距離にある、バーミリオン・レイクス。

バーミリオンとは「朱色」という意味で、周りの山に夕焼けがあたり、それが湖面に反射して湖が朱色に見えることが由来とされています(諸説あり)。

ここは他の青く美しい湖とは違い、湖面に映る山のリフレクションが綺麗な点がおすすめポイント。特に夜は、天の川をはじめとする星々が湖面に映り、それはもう絶景です。ただし、夜は野生動物の活動が活発になりますので、車を使ったり、ベアスプレーを持ち歩いたり、誰かと喋りながら行ったりすることをおすすめします。

バーミリオン・レイクスは水深が浅く、湿地帯となっているため、運がよければムースが見られる湖でもあります。

■詳細情報
・名称:バーミリオン・レイクス (Vermilion Lakes)
・住所:Improvement District No. 9, AB
・地図:
・アクセス:バンフのダウンタウンから車で約5分
・公式サイトURL:https://www.banfflakelouise.com/experiences/vermilion-lakes
ライター
川波 恵子 旅する臨床検査技師

旅する臨床検査技師けーちゃん。訪問国数は43ヶ国。臨床検査技師として働く傍ら、出張撮影サービスのカメラマンをしたり、世界一周をしたりアメリカ横断したり、カナダに住んでみたり、フォトコンテストで世界1位になったり(IPA 2023)。「やりたい事は全てやる、行きたい所は全て行く」をモットーに世界中を旅しています。好きなことはカメラと美味しいチョコレート探し。今の目標は宇宙旅行。

RELATED

関連記事