南アフリカ国の小さな隣国レソト。平地がほとんど無いため、丘や谷、様々な角度から景色を楽しめる「ポニートレッキングツアー」は、レソト旅行で人気のアクティビティです。
ポニーに乗って眺める広大な渓谷、素朴な村、数千年前の先人が残した壁画。地平線を見ながらポニーを走らせていると、まるで自分もこの土地に住む遊牧民になったかのような気分になるでしょう。
今回はレソトに行くなら一度は体験してほしい、景色良し、コスパも良し◎なポニートレッキングツアーについてご紹介します。
九州より小さな「天空の国」レソト
マレアレア村 photo by SHIHO
アフリカ大陸にあり、九州よりも小さな「レソト王国」は、標高が高い場所に位置するため「天空の国」「アフリカのスイス」などと称されます。この国の一番の魅力は、何と言ってもその大自然。国全土が、世界遺産にも登録されてる「ドラケンスバーグ山脈」という山脈の中にあります。
レソトは南アフリカ共和国に囲まれた、内陸国。ポニートレッキングツアーに参加するには、レソト西部に位置する「マレアレア村」を目指します。
当時、南アフリカを旅していた私は、南アフリカ側の「ブルームフォンテイン」から、バスで「ウェペナー」という国境の町経由で行きましたが、レソトの首都「マセル」からでもアクセス可能です。
村の商店 photo by SHIHO
マレアレア村は非常に田舎で、ホテルが一軒、商店が一軒、民家が数軒あるだけで、あとは畑しかありません。ポニートレッキングツアーは、村唯一のホテルからスタートします。
ポニートレッキングスタート!地平線まで続く穏やかな田園風景
photo by SHIHO
今回は南アフリカから来たグループと一緒に、ツアーに参加しました。ツアーの注意点やポニーの歩かせ方など、簡単な説明の後にいよいよトレッキングスタートです!
photo by SHIHO
ホテルを出た瞬間から、地平線まで続く田園風景が広がります。丘の斜面に作られたなだらかな段々畑は少しずつ色が違っていて、まるでパッチワークのようです!
photo by SHIHO
私が訪れたのは9月。レソトではまだ冬が終わるくらいだったため、あまり緑は多くありませんでしたが、それでも眼下に広がるパノラマの景色に感動しました。
photo by SHIHO
道中、現地の人が羊を放牧させている風景も見ることができました。元々レソトでは織物業が盛んでしたが、現在は羊毛のほとんどを隣国の南アフリカに輸出しているため、国内での織物業はほとんど行われていないそうです。
レソトの田舎の方では、膝まで隠れる大きなブランケットを羽織っている現地の人をよく見かけるのですが、それは昔から寒い土地で遊牧民として生きてきたこの国の人々のスタイル。
しかし、今ではこのブランケットのほとんどが、国外で作られているとのことでした。
世界最古の人類「サン族」の壁画
photo by SHIHO
途中、ポニーを降りて崖の下にあるサン族の壁画を見に行きます。
photo by SHIHO
崖の下の岩陰では、子供達が歌を歌っていました。ここに来る観光客からチップをもらうために歌っているそう。歌声が岩に反響し、なかなかいい音色だったので、少しばかりチップを入れて先に進みました。
photo by SHIHO
手すりも何も無い、一歩間違えれば崖下に真っ逆さま!スリル満点のトレッキングコースです。
photo by SHIHO
サン族の壁画は柵で守られているわけでもなく、簡単に触れられる位置に突如出現します。ガイドさんがいなければ見落としてしまうかもしれません。
サン族とは、アフリカ南部のカラハリ砂漠に住む狩猟採集民族で「ブッシュマン」とも呼ばれます。その数は少ないながらも、現在も砂漠地帯やサバンナで生活を営んでいます。はっきりとした起源は定かではありませんが、歴史的価値のある数多くの岩絵から「世界最古の人類」ではないかとも言われています。
この場所だけはでなく、ドラケンスバーグ山脈にはサン族が残した岩絵が数多く残されていて、中には世界遺産に登録されているものもあります。
photo by SHIHO
人の形をした絵が多く、まるで踊っているような様々な動きが描かれていました。狩りをしている場面だけではなく、狩りを教えている絵もあり、他にも当時の生活の様子などが描かれているそうです。
photo by SHIHO
ここで見られる壁画は紀元前4世紀、大体2,000年前くらいに描かれたとのこと。2,000年前と言うと日本は弥生時代。そんな昔の人が描いたものが残されていて、今この目の前にあると思うと、非常にロマンを感じます。
三角屋根がかわいい!石造りの伝統住居
photo by SHIHO
再びポニーに乗り、次の目的地へ向かう途中に一つの集落を通りました。
photo by SHIHO
ここでは、赤茶けた石造りの壁に、三角の茅葺き屋根の伝統的な住居を見ることができます。
現在も人が住んでいて、ここでホームステイできるツアープランもあります。小さい集落ながらも、周辺では子供達も沢山遊んでいたので、ホームステイも絶対楽しいでしょうね!
photo by SHIHO
時々、牛に草を食べさせている子供にも出会います。
夏だと泳げる!「ボツェラ滝(Botsoela waterfall)」
photo by SHIHO
最後に向かったのは「ボツェラ滝」。滝と言っても私が行ったのが乾季だったせいか、水量はほとんどありませんでした。「せっかくだから」と泳ごうとした人もいましましたが、まだ冬の時期だったため、水が冷たすぎて一瞬で出てきていました。
水はきれいだったので、暑い時期は水着を持って行っておくといいかもしれませんね。
photo by SHIHO
帰路は、来た道とは違う道を通って帰ります。頭の高さまである、木や草が茂った道もありました。ポニーに乗ったまま、草木を掻き分けながら進むのが新鮮で「なかなかこんなこと無いなぁ」と楽しかったです。
photo by SHIHO
羊の群れは私たちに全く興味がないようで、逃げようとすらせずに夢中で草を食べていました。