ライター

永崎裕麻(ナガサキ ユウマ)フィジー南国校長|約2年間の世界一周を終えて、世界幸福度ランキング1位(2016/2017)のフィジー共和国へ2007年から移住。ライフスタイルをアップデートする英語学校カラーズ校長。RECOMPANY取締役。 南の島のゆるい空気感を日本社会に届けるべく「南国ライフスタイルLABO」というコミュニティーを運営。内閣府国際交流事業「世界青年の船2017」日本ナショナル・リーダー。 2019年からはフィジー・デンマーク・日本の世界3拠点生活(トリプル・ライフ)を開始(現在はコロナで休止中)。 著書に「まんが南の島フィジーの脱力幸福論」「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」。

人生100年時代。

この言葉が流行ったのは「LIFE SHIFT(ライフシフト)」という本の影響です。シリーズ累計50万部の大ヒット。そして2021年10月、ついに「LIFE SHIFT2」が発売され、バカ売れ中です。

別に本の内容を紹介したいわけではありません。

ただ、これからさらにテクノロジーが進化し、長寿化していく中、ライフシフトできる人とできない人で二極化していくことになるでしょう。

1億総ライフシフター時代、どうやってライフシフトを起こせば良いのでしょうか。

ライフシフトの前にバリューシフト


私はフィジー共和国に住んでおり、現地英語学校カラーズの校長をしています。この15年間、フィジー留学に来る日本人を何千人と見てきました。

留学を通じて、多くの卒業生たちは「人生が変わった」と言います。そのキッカケをインタビューしてみると、大抵留学中に「価値観が変わった」という話になります。


価値観は英語でいうとVALUE(バリュー)。つまり、ライフシフトの前にバリューシフトが起きているということです。

そして、多くの卒業生にヒアリングした結果、バリューシフトを発生させるためのファクターがわかってきました。

それは「違和感」と「それに浸る時間の長さ」です。

留学や旅をせずに”バリューシフト”を起こしていく4つの方法


留学している間は違和感のオンパレード。

たとえば、私がフィジー移住後に体験した違和感は、なんでもかんでもシェアする文化です。無許可(パーミッションレス)の場合もあります。


移住当初はホームステイをしていましたが、庭に干していたTシャツを無断でホストブラザーが着ているのをみて衝撃を受けました。腹もたちました。

そういう経験を積み重ねることで、違和感に慣れていき、その中で徐々に「それもありなんだな」という新しい価値観(バリュー)が醸成されていきます。


短期旅行であれば、違和感を感じたとしても、一瞬で過ぎ去りますが、留学や長期旅行だと「違和感」と同居する「時間」が担保されています。価値観を変えるには、自分に吸収させるための咀嚼時間が必要です。

留学や旅は強制的に価値観を変えてくれる便利な手段だと思いますが、なかなか敷居が高かったりするはず。特に現在のようなコロナ禍であればなおのこと。

そこで今回は、留学や旅をせずとも、バリューシフトを起こしていく方法を考えてみました。

【1】非常識だと思う人を近くに置く


この人たちは、自分の常識を破壊しまくってくれることでしょう。その都度、イライラしたりするかもしれませんが、効率的に”気づき”を量産してくれます。

海外留学の場合、現地人と一緒に生活することで、まったく違った価値観に触れ続け、結果多くのバリューシフトの機会を得ることができます。


もちろん、それを阻むものもあります。それは「あいつは外国人だから違って当たり前」という考え方です。

しかし今回の提案「非常識だと思う人を近くに置く」では、「非常識だと思う人」を同じ日本人にしておけば、この言い訳を使いづらくはなります。

【2】ダイアローグする


ただのオシャベリではなく、深い話をする。

フィジー留学中はダイアローグの機会がたくさんあります。フィジーには娯楽施設が少ないこともあり、現地で出会う留学生たち同士で対話することが最高の娯楽であり、学び場でもあります。


もちろん留学中でなくとも、ダイアローグは意識すればできます。

自分の考えをきちんと整理して伝え、また、自分の意見に固執せず、相手の意見を積極的に取り入れる姿勢で傾聴することにより、価値観を磨き上げていくことができます。

そのためには、自分の考えとの違いはどこからくるのか、どんどん深掘りしていくことを心がけましょう。


効率を求めるのであれば、コーチングを受けても良いでしょう。良質な質問が満載なので、より短時間で自分の内面にアクセスできます。


また、「読書」はバリューシフトの鉄板ツール。本の著者との静かなダイアローグとして活用できます。

【3】お金の見方を変えるためのアプローチを取る


人生は「お金」とどう向き合うのかによって、大きく変わります。お金は人生を豊かにするリソースでもあり、人生を翻弄させるトラップでもあります。

お金の見方を変えるためのアプローチは2つ。

1つ目は、自分とは違った価値観でお金を捉えている人をヒントにする方法です。


たとえばフィジーでは、「お金」よりも「つながり」が非常に価値を持ちますし、貯金したいという欲求も非常に弱いです。「お金がなくても幸せそうな人たち」と出会うことで、留学生たちは大きな刺激を受けています。

2つ目は、今まで試したことのないお金の使い方にトライしてみる方法です。投資したり、寄付したり、投げ銭したり、倹約家の人は浪費(あえての無駄遣いや衝動買い)をしてみたりと、普段とは違った使い方をしてみることで、お金の捉え方に新しい気づきが生まれることがあると思います。


敵にも味方にもなる「お金」に対しての見方を多様にしていくことが、価値観を変えるキッカケになります。

【4】結婚・出産する


留学や旅以上に敷居が高い方法ですが、いろんな方に「価値観が変わった経験は?」と尋ねると、やはりこれが多いので、参考までに書いてみました。


私自身も44年間の人生でのバリューシフト1位と2位は、結婚と出産です。世界一周やフィジー移住なんかよりもインパクトが大きいです。人生の主語が「I」から「WE」に変わる感覚はなかなか経験できませんから。

ライフシフトしまくる準備を


冒頭に書いたとおり、ライフシフトを起こしていく鍵はバリューシフトにあります。バリューシフトを連続的に発生させていくことで、「自分らしさ」に近づいていくという意味合いもあると思っています。

私たちは、社会が考える「常識」を鵜呑みにしてしまっている可能性があります。つまりそれは、自分の本質とは違った「価値観」を形成させられてしまっていることがあるということ。


そこに対して疑問を持ち、自分が本来もつ個性に気付くためには、価値観を磨き続けることが重要です。

自分は「緑」が好きだと思い込んでいたけど、いろんな色をみていくと、「ビリジアン」のほうが好きだと気付く。そんなマイナーチェンジもあれば、「ピンク」が好きだと思っていたら、実は「コバルトブルー」が好きだったと気付くようなメジャーアップデートもあると思います。


逃げ道をふさがれるとき、バリューシフトは起きやすいのです。

東日本大震災や新型コロナなど、避けたいけど、避けられない。そんな状況下は、余裕をこいていられないので、本気で向き合わざるを得ません。


現代はライフシフトが余儀なくされる時代です。強い者ではなく、変化できる者が生き残ります。日本人は「変化」を不安に感じがちと言われますが、怖がらずにどんどん変身していくライフデザインをイメージすることが大切なのではないでしょうか。

ライター

永崎裕麻(ナガサキ ユウマ)フィジー南国校長|約2年間の世界一周を終えて、世界幸福度ランキング1位(2016/2017)のフィジー共和国へ2007年から移住。ライフスタイルをアップデートする英語学校カラーズ校長。RECOMPANY取締役。 南の島のゆるい空気感を日本社会に届けるべく「南国ライフスタイルLABO」というコミュニティーを運営。内閣府国際交流事業「世界青年の船2017」日本ナショナル・リーダー。 2019年からはフィジー・デンマーク・日本の世界3拠点生活(トリプル・ライフ)を開始(現在はコロナで休止中)。 著書に「まんが南の島フィジーの脱力幸福論」「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」。

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