TABIPPO社員
平野 嵐 社員 / ディレクター

1993年和歌山県出身。20歳のときに参加したTABIPPOのイベントに感化され、バックパッカーになることを決意。その後フィリピン留学と世界一周の旅へ。大学卒業後は専門商社を経て2018年にTABIPPOに入社。現在はコミュニティマネージャーとマーケティングディレクターを兼務。2022年に地元の和歌山に移住し、地方暮らしと旅を両立中。

どうも。TABIPPOのアラシです。みなさんは「ヒュッゲ」という言葉を聞いたことはありますか?

「あーあれね! エモい みたいな感じでしょ~、わかるわかる~良いよね~」なんて知ったかぶりして、よく分かっていないという方も多いのではないでしょうか。僕もです。

そのヒュッゲをコンセプトにしている石川県金沢市尾張町にあるライフスタイルホテル「LINNAS Kanazawa(通称LINNAS)」が僕は好きなのですが、そんな素敵な所を皆さんとシェアしたいという想いから、今回はLINNASを運営している株式会社Linnas Design代表取締役の松下秋裕さん(あきさん)にインタビューをしてきました。

松下 秋裕
1990年東京生まれ。中央大学法学部卒。学生時代にエストニアタリン大学に1年半留学。大学卒業後、外資系不動産会社にて不動産運用業務に従事。2015年10月、ホテルベンチャーに一号社員として入社、新規宿泊施設開業4件に携わり、全施設のマーケティング、採用、運営統括などホテル運営の幅広い業務を経験する。2020年11月に独立し、場のプロデュースとコミュニティデザインを行う株式会社Linnas Designを設立。2021年4月に一号店となるライフスタイルホテル『LINNAS Kanazawa』を金沢に開業。趣味は旅と言語で、世界64カ国に渡航。

この記事では、そもそもヒュッゲって何?LINNASはどこがいい感じなの?金沢って日本の他の地域と何が違うの?など、ヒュッゲの意味と、それをLINNASがどう表現しているかについてお伝えします。

元々、代表の松下さんとは仲がいいということもあり、インタビューもかなり盛り上がってしまったため、記事を前後編の2部に分けております。(後編はこちら

やっているのは、場創りを通じたまちづくり

アラシ

あきさん、本日はよろしくおねがいします!
よろしくおねがいします!

あきさん

アラシ

いきなりですが、まず最初に株式会社Linnas Designについて簡単にご説明をお願いします!
はい、僕が経営している株式会社LINNAS Designは、ホテル開発・経営・運営をしていて、”地域のHUBとなる場を創り、街の外と中の人たちが垣根を超えて繋がり、その地域を輝かせる”といった”場づくりのプロデュース”のようなことをやってます。いわゆるまちづくり会社みたいなイメージを持っていただけるとわかりやすいと思います。

我々は「居心地の良い豊かな日常(=アンドプレイス)」を自分らなりに再解釈して提案する、という考えのもとで事業をやっていて、具体的にはホテル、コミュニティデザイン、ブランディングの3つが主軸事業です。

あきさん

アラシ

なるほど。ホテルはあくまでもまちづくりのひとつの手段なんですね。全ての事業について詳しく伺いたいところですが、膨大な量になると思うので、今回はホテル「LINNAS Kanazawa」にフォーカスしてお伺いしたいと思います!

まず、LINNASのコンセプトにもなっている「ヒュッゲ」ってどういう意味なんですか?僕は聞いたことはあっても、漠然としたイメージだけで上手く言語化できなくて……

こういうイメージはあります

ヒュッゲとは人それぞれの「居心地のいい空間・時間」

そもそもヒュッゲ(Hygge)とは、デンマーク語なんですよね。ハグ(Hug)の語源にもなっていて、”居心地のいい空間”や”楽しい時間”のことを指す言葉です。

自宅で家族や友人と食卓を囲んだり、コーヒーを片手に暖炉のそばでゆったりと語り合うひとときのような時間のことですね。公園でのんびり日向ぼっこする時間なんかもそうです。

あきさん

アラシ

おー、いわゆる「チル」に近い印象を受けます。それのデンマーク語のような理解をしておけばよさそうですね。なぜLINNASをヒュッゲというコンセプトにしていこうと思ったんですか?
僕は東京で生まれ育ち、北陸に移住してきた”よそもの”なんですけど、東京に住んでいた頃に仕事の関係で北陸を何度も訪れていたんです。最初は金沢の魅力を漠然と感じていたものの言語化はできていなかったんです。

ただ、何度か訪れるうちに、自分が昔訪れた北欧と同じ「居心地のよさ」が魅力だと気づいたんですよね。

あきさん

アラシ

あきさんは、学生時代に1年半もの間エストニアに滞在されていたからこそ、北欧の魅力も深く理解されていますよね。北欧諸国と金沢の共通点は具体的にどういった部分なんでしょうか?

町並みは全然違うような気がしますが……

まずは都市だけど作り手の顔が見える規模感であること。これは東京などの大都市とは大きく違うと思います。この規模感だからこそ、人として暮らしている感覚が持てたんですよね。

それだけでなく気候も似ています。北欧は寒くて暗いからこそ、人々の気持ちの矢印が内側に向いています。工芸やアート等、インドアなところに意識が向いていて、作り手である職人さんたちが切磋琢磨している。

金沢は町並みは日本家屋がならんでいる日本的な風景ではありますが、居心地のよさは北欧に通ずるものを感じました。だからこそ、金沢をプロデュースしていくために北欧のヒュッゲという言葉を使っていこうと決めましたね。

あきさん

アラシ

たしかに金沢は加賀五彩や金箔など華やかなインドア文化がありますよね。寒くて暗い気候がこの文化を生み出しているのは面白いなあ。ちなみにヒュッゲ自体は北欧では一般的な言葉なんですか?
そうですね。北欧ではよく耳にします。心地いいことを表すときに使います。ただこれは決して北欧的な空間でおしゃれに過ごすことではないんです。その心地よさには必ず”人”が介されていて、誰かとの何気ない時間を噛みしめることに豊かさや価値がある、という意味で使われます。

LINNASを始めるにあたって、北欧の友だちに質問したことがあるんです。ヒュッゲとは何か……でもとくに共通したこれって言うものはありませんでした。ただ具体的な場面はみんな言えたんですよね。家族との時間であったり森のなかで読書をしている時間、あえて電気をろうそくに変えてワインを飲んでいるときなど、人によって色んなヒュッゲの形がありました。それを聞いて、ヒュッゲは具体的に決まっていないからこそ、金沢でも僕らが提案できると確信しました。

あきさん

アラシ

たしかにどれも「居心地のいい時間」という共通点があるように感じます!
日本でヒュッゲという言葉はまだ広まっていないので、僕らなりに解釈をし、再定義した後にホテルを通して観光客にも地元の人にも提案していこう。それが居心地のいい日常を提供するということになる、という考えでLINNASを始めました。

あきさん

アラシ

なるほど。明確なゴールに向けてつくっていくのではなく、抽象的なものを形にして表現することをやっているんですね。
TABIPPO社員
平野 嵐 社員 / ディレクター

1993年和歌山県出身。20歳のときに参加したTABIPPOのイベントに感化され、バックパッカーになることを決意。その後フィリピン留学と世界一周の旅へ。大学卒業後は専門商社を経て2018年にTABIPPOに入社。現在はコミュニティマネージャーとマーケティングディレクターを兼務。2022年に地元の和歌山に移住し、地方暮らしと旅を両立中。

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