“ベトナムといえばベトナムコーヒー”、そんなイメージが定着しつつあるベトナムのコーヒー文化。
しかしその一方で、コーヒーよりはるかに古い歴史を持つお茶の文化もまた、ベトナム人の生活に欠かせない食文化のひとつです。
そんなお茶の産地であるベトナム北部に「ベトナムでもっとも美しい茶畑の丘」と噂される、世界でも類まれな茶畑の絶景が存在するのをご存じですか?
今回はベトナムで最近話題の「ロングコック・ティーヒルズ」をご紹介します。
見出し
知ってた?世界第6位の茶の生産大国ベトナム
コーヒー豆生産量世界第2位のベトナム。ブラジルに次ぐコーヒー生産大国として、今やすっかりベトナム人の生活に定着したベトナムコーヒーやカフェ文化。しかしその一方で、未だ日常的な飲み物として根強く愛されているのが、日本同様、お茶の文化です。
コーヒーがベトナムにもたらされたのはフランスの植民地となった19世紀後半。お茶の歴史はそれよりはるかに古く9世紀半ば頃、中国南部からベトナム北部へ伝来したのがはじまりとされています。茶の文化は一般家庭から宮廷まで広く普及し、現在はお茶の生産量世界第6位という、世界有数のお茶大国なのです。
茶の栽培に適した気候条件がそろうベトナム北部や中部のお茶の産地。
数ある茶の産地のなかでも、今回ご紹介する首都ハノイ郊外にあるロングコック村は、「ベトナムでもっとも美しい茶畑の丘」として最近人気急上昇の、知る人ぞ知る絶景スポットです。
お茶の産地「ロングコック」とは
首都ハノイの中心から北西へ約110km、ハノイに隣接するフート省(Phu Tho)のタンソン県(Tan Son)ロングコック村(Long Coc)は、古くから少数民族ムオン族が暮らす、人口2,000人ほどの山間部に位置する小さな農村集落です。
限られた土地を切り拓き、つつましく生活していた原住民ムオン族の人々。しかし、ベトナム戦争終結後、貧困にあえぐムオン族を支援するため、官民一体となって土地開発に乗り出したのがロングコックの茶畑です。
茶の栽培に適した気候風土、土壌や地形が功を奏し、現在では約700ヘクタール(東京ドーム約150個分)におよぶ茶の一大産地に成長しました。
排気ガスにまみれた大都会ハノイの喧騒とは無縁の、ノスタルジー漂う穏やかな里山集落。
ロングコックが注目されたのはごく最近。そのため、観光地化が進んでいない分、昔ながらのベトナムの原風景が味わえるのも見どころのひとつです。こうしたのどかで落ち着く風景は、ハノイの人たちにとっても心安らぐ週末トリップ先として注目されているそうですよ。
水牛たちもつぶらな瞳で出迎えてくれます。
新たな観光名所「ロングコック・ティーヒルズ」とは
「ベトナムでもっとも美しい茶畑の丘」ロングコック・ティーヒルズ
ロングコックが注目されたきっかけは、この地平線まで続く、お椀型やなだらかな曲線美が特徴の大小の茶畑の丘たち。
一見すると、フィリピンが誇る奇観奇勝の世界遺産チョコレートヒルズを彷彿とさせますが、このふしぎな地形の大地こそ太古の昔から存在するものの、森林を開拓し、1本1本植樹して茶畑を作り上げたのはムオン族だそうです。
国際的な写真コンテストなどを通じて国内外に知れ渡り、現在では「ロングコック・ティーヒルズ(Long Coc Tea Hills)」の愛称で親しまれるロングコックの茶畑の丘。
ある時は「北西部のハロン湾」にたとえられ、またある時は「ベトナムでもっとも美しい茶畑の丘」とも称えられるロングコック・ティーヒルズ。ベトナム北部の観光都市サパや絶景棚田で有名なムーカンチャイに肩を並べる、写真愛好家憧れの地として新たな観光名所となっています。