ライター
志波有里枝 旅するスパイスカレー屋

1995年・秋田県生まれ・千葉県育ち。大学在学中にセブ島留学、アメリカ留学を経験。日本47都道府県、世界35ヵ国以上を訪問。知らない街を自転車で探索する時間が好き。東京で月に一度、間借りのスパイスカレー屋をオープンしています。

マラマとは、ハワイの言葉で「思いやりの心」という意味を持ちます。海やビーチの美しさはハワイの大きな魅力のひとつですが、今回はさらに一歩踏み込み、「マラマ」を大きなテーマとしてハワイに根付く価値観を体感する旅をしてきました。

この旅を通して、私も新たな価値観を得ることができ、これからの「あたらしい旅」はもっと人生を楽しく、そして幸せにしてくれるものになると確信しました。

そんな旅の中で、特に印象に残ったのは、循環する生態系の一部に自分が入り込む感覚、そして「自然や文化を後世に残す」という考え方でした。

この記事では、今まで知り得なかった「ハワイならではの価値観」を感じた旅をみなさんにご紹介します。

循環する生態系の一部に自分が入り込む体験

photo by Yuki Higuchi
今回わたしが参加したのは、ハワイ州観光局とTABIPPOによる「Mālama Hawaiʻi Week 2022〜Monitor Tour Plan〜」。

「ハワイを思いやる心」=「マラマハワイ」をテーマにした、アクティビティの数々も体験しました。

その中で強く印象に残っているのが、タロイモ畑の整備体験です。タロイモはハワイの言葉で「カロ」と呼ばれ、古くから神聖な食べ物として大切にされてきたそうです。

photo by Hiroyuki Mera
ハワイに伝わる神話では、神の間に授かった子が死産となりその子を埋葬した場所から生えてきた植物がタロイモだと言われています。

今回は、そのタロイモ畑の畝(うね)を形作るお手伝いをさせていただくことに。ハワイの人々が大切に受け継いできた食べ物を敬う気持ちを抱きながら、畑へと足を踏み入れました。

photo by Hiroyuki Mera
また興味深かったのが「アフプアア」という仕組みについて。「アフプアア」とは、古代ハワイから用いられてきた土地区画のこと。

平等に土地を分けるために引かれた境界線のようなものですが、その引き方には特徴があります。ピザを切り分ける時に、生地の耳も具も入るように分けるのと同じで、山から川、畑、海岸線まで入るように、水の流れを意識して切り分けるようです。

山から川、畑、そして海まで全て繋がっていて、それらは切っても切り離すことはできないという考えがあることを学びました。

タロイモ畑から見上げた山々は、本当に雄大ですっかり魅了されてしまいました。ゴツゴツとした岩肌が見えていたり、鮮やかな緑色の木々が生えていたりと、日本のとは違った魅力のある山々から目が離せませんでした。

そんな山から流れてくる雨水が、滝や川を作りタロイモ畑に流れ込み、鳥や魚への恵みとなりながらまた川を通って海にたどり着く。この自然はすべて繋がっており、支え合って存在している、そんなハワイでの価値観を肌で体感することができました。

photo by Yuki Higuchi
私たちは、タロイモ畑の整備を通してハワイの自然とつながることができたのかな、と思います。そう思うと、豊かな水を運んできてくれた山々への感謝の意が湧き、そしてこの水が海まで無事に運ばれて欲しいという願いが心に浮かびます。

整備した後の畑には、鳥たちが集まってきていました。鳥や虫などの居場所を作ることもできたのかもしれないと思うとほのかな充実感に満たされました。

この美しい自然を自分たちの手で守ることができる、自分たちが自然とともに生きているんだ、ということをハワイの神聖なタロイモ畑で学びました。

■詳細情報
・名称:クアロア・ランチ(Kualoa Ranch)
・住所: 49-560 Kamehameha Hwy, Kaneohe, Hawaii 96744
・公式サイトはこちら

自然や文化を後世に残す姿勢

photo by Yuki Higuchi
ハワイ滞在中、様々なシーンでほぼ毎日感じていたのが、ハワイアンローカルの方々の自然や文化を後世に残す姿勢です。それは愛するハワイを守りたいという自分の心に素直な行動だと感じました。

日常の例で言うと、ウォーターボトルを持ち歩くことでペットボトルの消費を減らしたり、リーフセイフな日焼け止めを使うことでサンゴ礁を守ったり。

photo by Hiroyuki Mera
そんなローカルの日常をわたしも真似してみました。現地人のライフスタイルの一部を取り入れてみるのも、旅の醍醐味です。

すると、自分のためだけに旅をするよりも、その土地も喜ぶ旅をするとより大きな幸せを感じている自分に気づきました。

photo by Yuki Higuchi
またツアー内の植樹体験では、ハワイの固有種を後世に残していく活動をしている方のお話を聞いたり、実際に植樹の体験をさせていただきました。

ハワイの固有種であるミロの木とコウの木のどちらかを選んで、大地にそっと優しく植え込みます。そして水を注ぐ時に、手を添えて自分の「マナ」を一緒に注ぎます。

photo by Yuki Higuchi
「マナ」とは、ハワイの言葉で「気、エネルギー、スピリット」などの意味。ハワイでは空にも土にも全ての自然にマナが宿っていると考えられています。

そこに自分の「マナ」も注いでハワイの一部になれるのです。帰国した後も、ハワイに自分の「マナ」が宿っていると思うと、ハワイは単なる旅先ではなく自分のとっておきの場所になりました。

photo by Yuki Higuchi
私たちが植樹体験をした場所では、2018年当時ハワイ固有種が広大な土地の中で2本しか残っていないことが調査でわかり、そこから植樹活動を始めたそうです。活動を見て地元の方々の意識も変わり、当初の計画よりも早いペースで植樹が進んでいるそうです。

ハワイの自然をや文化を後世に残していく取り組みに、私も一旅人として貢献できたことがかけがえのない経験となりました。

photo by Yuki Higuchi

ハワイで見つけた「旅」と「食」の共通点

photo by Yurie Shiba
東京で月に一度の間借りスパイスカレー屋をやっている私は、食という観点でも「マラマなハワイ」を体感してきました。

この旅中に、ハワイで数々の賞に輝く人気ヴィーガン料理店「Peace Cafe」へ行ってきました。

photo by Yurie Shiba
Peace Cafeは「美味しく、楽しく、からだにやさしいヘルシーな食事を」をコンセプトとし、日本人のご夫婦が経営されているヴィーガンレストランカフェです。

photo by Yurie Shiba
動物性食材や卵、乳製品などを使わない、植物性由来の素材100%のお料理を提供しています。Peace Cafeのお料理を食べた感想ですが、まず第一にとても美味しい!そして食べ終わった後は体が軽くなってリセットされたような心地よさがありました。

食事をするとき一番大事な「美味しい」という感覚を飛び越え、体にやさしい、地球にやさしいといった第二の目的に自分の意識を向けられたこの時、ほくほくとした幸せを感じました。

この考え方は、「旅と同じだな」と思います。

楽しい、景色が綺麗、という感動体験を味わった上で、自分の住むこの地球に貢献できていると感じる時こそ、最高に幸せな旅になるのだと思います。

「楽しい旅」、その先にある「幸せになる旅」

photo by Hiroyuki Mera
私が今回学んだハワイの価値観は、いずれも「ハワイを愛する気持ち」から生まれているものでした。

ワイキキビーチでのヨガレッスンに参加した時も、インストラクターの「Feel the earth!」という言葉が印象的だったように、ハワイの人はハワイの土地にパワーがあって、「自分が今ここにいる意味がある」と強く意識しながら生活していることが伝わりました。

今後もまた様々な土地を旅していく人生が続きますが、どこにいても”自分が今ここにいる意味”を考え、その土地が喜ぶ旅をして幸せに生きていきたいと思います。

これからのあたらしい旅は、人生をもっと楽しく幸せにしてくれる、そう感じたハワイ旅でした。

《特集》美しきハワイを未来に語り継ぐ「あたらしいマラマなハワイ旅」

ライター
志波有里枝 旅するスパイスカレー屋

1995年・秋田県生まれ・千葉県育ち。大学在学中にセブ島留学、アメリカ留学を経験。日本47都道府県、世界35ヵ国以上を訪問。知らない街を自転車で探索する時間が好き。東京で月に一度、間借りのスパイスカレー屋をオープンしています。

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