皆さんこんにちは。南の島の旅する医学生あっきーです!南国沖縄で医学を学びながら国内外を楽しく旅をしています。
さて、今回はマチュピチュ、ウユニ塩湖といった高地旅行の天敵「高山病」について医学的に、私自身の南米旅行の経験も踏まえて徹底的に解説していきたいと思います。
皆さんが事前に十分対策ができるようになること、もし高山病の症状が出てしまった時にも慌てず対応できるようになること、またそのような時に参照していただけることを目標に解説していきたいと思います。
かなりボリューミーな内容になっています。全部に目を通していただくのがベストですが、随時必要な項目だけ読んでも意味のある構成となっていますので、用途に合わせて読んでみてください。
1.高山病を知ろう
photo by akihiro saito
まず始めに高山病について皆さんに知っておいて頂きたいのは、高山病は完全に予防することができない病気ということです。「いきなり何をいってるんだ?それならこんな記事意味がないじゃないか」と面食らった方もいるかと思いますが、“完全に”という点が大事なのです。
高山病のかかりやすさ、症状の重さなどは個人差が大きく、実際に高地に行ってみないとどんな症状がどのような強さで現れるか事前には分からないのです。この点に高山病の難しさがあり、また事前の準備の大切さがあります。最悪の場合に備えてできる準備を事前にしておかなくてはなりません。
高山病はおよそ標高2000m以上の高地で起こるといわれています。例えば富士山の5合目の標高でも2300mですので、意外と身近な病気なのです。原因としては高所では気圧が下がり空気が薄くなります。
私たちの体はとても繊細にできているため、体がそのような変化に対応できずに高山病の症状が現れてしまうのです。
2.高山病の症状
高山病の主な症状は以下の4つです。これらの症状は高地に到着後6~12時間後くらいから始まることが多いです。どれか1つでも症状があるときには高山病を疑いましょう。
1. 食欲不振、吐き気、嘔吐などの消化器症状
2. 疲労感、脱力感
3. めまい、ふらつき
4. 眠れない、夜中に目がさめるなど睡眠障害
また、重症化のサインとしては以下のものがあります。これらの症状が1つでも現れた時には、早急に対応が必要です。
1. 体の疲労感、怠さが強くなる
2. まっすぐな線上を歩けずふらつく
3. 運動時の息切れが激しくなり、安静にしても息切れが続く
3.高山病にかかってしまったら
photo by akihiro saito
上で説明したような症状が現れた時には、高山病にかかっているといえます。
ここで皆さんに一番理解しておいて欲しいことは、高山病は事前に症状を予防することは難しいのですが、症状の発症や進行は非常にゆっくりのため、しっかりとその後の対応ができれば命の心配はほとんどない病気だということです。
高山病で命を落とさないために、以下のことを心得ていてください。
1. 高山病の症状をしっかりと知って十分に対策をすること
2. 1つでも症状が出たらそれ以上高地には行かず安静に休むこと
3. 同じ高度で休んでいても症状が改善しない場合には低い地点に降りること
4. 重症の症状があり、移動可能な時には直ちに低い地点に降りること
高山病の死亡例で多いのが、意外にも団体行動の場合です。他のメンバーに気を遣ってしまい、自分のペースで行動しにくい点や日程がキツキツで自分をケアする余裕がない点が原因として多いようです。
また自分の症状をうまく説明できない子供にも注意が必要です。高山病に限りませんが不調を感じた時は自分を第一に守ること、そして周りに具合が悪そうな人がいたらしっかりと気を配ってあげることが大切です。
これくらいならと我慢してさらに高地へと進んでしまうことが最も危険です。