ライター
吉川 大智 ソムリエライター

世界40ヶ国200都市の酒場とワイナリーを旅した元バーテンダー。 ワインバーのマネージャーを経て、現在多数のメディアにてコラムやエッセイを執筆するライターとして活動中。JSA認定ソムリエ。 日光浴と散歩が生きがい。

こんにちは。「旅×酒」をテーマに、おいしいお酒を求めて40ヶ国200都市を巡ったソムリエの吉川大智です。

今回わたしがおすすめするのは、アルゼンチンの中でも最も有名なワインの銘醸地、「メンドーサ」です。ワインは今や世界各国で造られていますが、アルゼンチンでも盛んに造られていて、世界中に輸出されています。

ワインと言えばやはりフランスやイタリア、スペインといったヨーロッパ諸国のイメージが強いかもしれませんが、じつはアルゼンチンはワインの生産量、消費量ともに世界TOP10にランクインするほど、ワイン産業が活発な国なんです。

今回はそんなアルゼンチンのワイン生産地のなかでも最も有名な「メンドーサ」にフォーカスを当てていきます。

ワインの産地・メンドーサ


メンドーサ州はアルゼンチンの真ん中あたりに位置していて、ぶどうの栽培面積は15万9,800ha。国内全体の80%以上を占める大きさです。メンドーサ州は非常に広範囲ですが、主に栽培されているのは以下4つの地域。

・Maipu (マイプ)
・Lujan de Cuyo (ルハン・デ・クージョ)
・Valle de Uco (バジェ・デ・ウコ)
・San Rafael (サン・ラファエル)

なかでもLujan de Cuyo (ルハン・デ・クージョ)とSan Rafael (サン・ラファエル)2つの地域は「DO」と呼ばれるワイン法で定められた原産地呼称ワインの分類地域に入っているため、アルゼンチンの中でも最も品質の高いワインが造られていると言われています。

メンドーサで有名なのは「マルベック」


アルゼンチンでは白ワイン赤ワインともに生産されていますが、国内で最も盛んに栽培されているのが「マルベック」という名前のぶどう品種です。

マルベックはもともとフランスのカオール地区原産のぶどうでしたが、今では世界中で栽培されているマルベックの約75%をアルゼンチンが占めています。

マルベックで作られるワインは別名「ブラックワイン」の異名を持つほど、濃い色調の赤ワインができます。味わいはフルボディで、ぶどうの果皮から出る「タンニン」という渋みがしっかりと感じられ、飲みごたえのある赤ワインになることが多いです。

フルボディの赤ワインは世界中で造られていますが、なかでもアルゼンチンのマルベックの「重厚な渋みをともなうフルボディな飲み口」と「飲んだ後に抜ける黒果実を想わせるフレーバー」をぜひ味わってほしいです。

牛肉×ワインのペアリングを楽しもう!


そんな濃厚な味わいが特徴のマルベックを楽しむために不可欠なものがあります。それは「ペアリングする料理」です。

アルゼンチンといえば忘れてはならないのが「牛肉」。じつはアルゼンチンは牛肉の国内消費量が世界No.1です。知っていましたか?

牛肉はアルゼンチンをはじめ南米大陸の代表的な料理である「アサード」や「シュラスコ」など、国民の生活に根ざしている食材なのです。(※アサードは鉄串にさしたお肉を炭火でじっくり焼いた南米の伝統料理)

アサードの専門店やステーキハウスに行くのはもちろんおすすめですが、ここはぜひローカルのお肉屋さんに行って牛肉を買っていただきたいです。

肉屋さんで買うと原価が安く、またアルゼンチンの牛肉は赤身が多く調理がしやすいので、ゲストハウスでキッチンを借りて、フライパンで焼くのがおすすめ。

ローカルのお肉屋さんで手に入れた牛肉とスーパーで買えるマルベックの赤ワイン(5~10$ほどで十分美味しいです)を堪能してみてください。ペアリング抜群です。

ソムリエ流おいしいステーキの焼き方

ぜひともお試しいただきたい、ステーキの焼き方を伝授したいと思います。

①買った牛肉は室温に戻してから筋の部分を中心にフォークでさして柔らかくする。

②両面に塩胡椒をふる。(焼く直前が好ましい)

③熱したフライパンに油を適量入れて、強火にする。(もしあればお肉屋さんで牛脂を譲ってもらいましょう)

④肉の部位や厚さによって異なりますが、目安は強火の状態で片面1分、裏面45秒。牛肉の表面をカリッとするまで焼いて、肉汁を中に閉じ込めます。

⑤アルミホイルで包んで5分寝かせる。ない場合は火を消してフライパンに蓋をして3分放置。中までゆっくりと熱を通していきます。

⑥お好みのサイズにカットしていただく。荒い岩塩をふっていただくのが現地流。

ジューシーな赤身の牛肉と、マルベック特有の渋みと甘みのバランスがとれた赤ワインとの相性が抜群!

岩塩でいただくのもいいですが、わさびと醤油の組み合わせもおすすめです。これからアルゼンチンへ行く予定がある人は、「わさび」と「醤油」をお忘れなく!

メンドーサなら、ワインのイメージが変わるかも?


メンドーサに行ったら、やることはひとつだけ。アルゼンチンを代表するマルベックというフルボディの赤ワインと、現地の牛肉を焼いたステーキのペアリングをぜひ味わってみてください。

今までワインが苦手と思っていた方も、このペアリングを現地で体感すればワインに対してのイメージが変わるかもしれません。

All photos by shutterstock

ライター
吉川 大智 ソムリエライター

世界40ヶ国200都市の酒場とワイナリーを旅した元バーテンダー。 ワインバーのマネージャーを経て、現在多数のメディアにてコラムやエッセイを執筆するライターとして活動中。JSA認定ソムリエ。 日光浴と散歩が生きがい。

RELATED

関連記事