ライター
Yu Villegas 元パティシエ&日本語教師

メキシコ人の夫と2人の娘と世界中を引っ越し&旅行三昧の日々。元パティシエ&日本語教師。旅で何よりも楽しみなのは、そこでしか食べられないローカルフードや地元の人々との交流。渡航国数30ヵ国。現在は10年ぶりにドイツ滞在中。

こんにちは。現在ドイツ在住ライター・Yuです。私の主人はメキシコ系アメリカ人で、親兄弟以外の家族はみんなメキシコにいます。

今から約4年前、長女を妊娠中にはじめてメキシコへ主人の家族を訪ねに行きましたが、彼らが住んでいるのは、私が名前を知らない農村部。

シャワーのお湯もすぐに水になるし、便利なショッピングモールやスーパーもない。道も舗装されていないし、近隣はマフィアの巣窟で治安もよくない。そんな「ないない」尽くしの中で生活している彼らですが、みんなハッピーで笑顔がキラキラ輝いていたのがとても印象的でした。

今回は、メキシコの家族と数週間暮らしたなかで学んだ、彼らが人生で大事にしていることを紹介していきます。

メキシコ農村部の日常


主人の家族たちが暮らすのは、メキシコ中部・ゲレロ州にある農村部。メキシコシティからは、バスで3時間ほどのところで、観光名所もなく、旅行者はまず行かないエリアです。

山脈に囲まれた村の中は、塗装されていない道路も多くあったり、ニワトリやヤギが放し飼いされていたりと、昔ながらの風景を感じるのんびりとした雰囲気が魅力。


ただし、村の中心地はメキシコからイメージする「色鮮やかさ」「にぎやかさ」はなく、正直さびれた雰囲気があるのも事実。写真をよく見てもらうとわかるのですが、どの家も窓ガラスはなく、ドアや窓枠は鉄格子で覆われています。

というのも、近隣はマフィアやギャングの巣窟で、窓ガラスにするとすぐに壊され家宅侵入される危険があるんだとか。

また、お菓子や雑貨を取り扱う小さめの個人商店では、店はすべて柵で覆われていて、店内には入れません。柵越しに店主にほしい物を伝え、お金を先に渡して、店主が金庫にお金を入れてからようやく物が渡される、という流れが一般的で、治安はとてもいいとは言えないのが現実のようです。


日用品の買い出しには、みんなこの村の中心地にある市場へ行くそう。市場に近づくと、露天商の方たちが自宅の庭でとれたフルーツや野菜などを売っているのが目に入ってきます。


市場には、カラフルな花や見慣れないフルーツ、野菜などがところせましと並び、大声で飛び交うスペイン語や元気に走り回るこどもたちの姿など、活気で溢れていて、日々の生活を垣間見ることができたような気がしました。

不便な生活だけど、みんなハッピー!その秘訣は?


便利なショッピングモールやスーパーもないし、都市に出るには数時間バスを乗り継いで行かなければならない。(そのバスも時間通りには来ない……!)

日本人からしたら、とても不便な生活。でも、どの人もみんなよく笑い、めちゃくちゃポジティブ、ハッピーで笑顔がキラキラ輝いているのが印象的だったんです。

ここからは、そんな彼らのハッピーライフの秘訣を紹介していきます。

家族を大切にする


まず、主人の家族に限らず、メキシコの人たちは、本当に家族との絆が深いのが印象的。

週末ごとに家族で集まるのはもちろん、誕生日や何かの記念日には、近隣・遠方の家族総出で集まってお祝いするのも一般的です。

残業はしないし、職場の同僚と飲みに行くこともしません。なぜなら、彼らにとって家族は宝。家族と過ごす時間が人生の中で一番大切だと知っているから。


日ごろからハグをしたり、「大事に思っている」「心から大好き」という思いを、常に伝えていることも印象的。これは夫婦間だけでなく、祖父母や孫、子供、叔父叔母やいとこ、姪っ子甥っ子など、どの家族に対しても同じように愛情を伝え合っています。

このように日ごろから、家族からの愛情を感じている彼らは、「自分は愛されている」という自己肯定感が高いため、仕事や友人関係など、少々外の世界でうまくいかないことがあっても、あまり落ち込みません。

「家族愛」がハッピーライフの根底にあることは間違いなし。普段は恥ずかしくてあまり口に出せませんが、こんな時代だからこそ家族や家族のように大切な人たちに、きちんと思いを伝えたいものです。

おいしいごはんは笑顔の源


メキシコ人も日本人と同じように、おいしい物が大好き。レストランや屋台でも驚くほどおいしい物が食べられますが、普段から手間暇かけた家庭料理を家族総出で作るのも、日常の姿。

トルティーヤを粉から作ることはもちろん、大鍋や石臼を駆使して、先祖代々の味を日々作り続けています。


おばあちゃんが鉄板を出したら、料理スタートの合図。別の部屋にいた家族たちも、続々と料理に参加しだします。その間も、ビールや音楽に楽しい会話はつきもの。おいしい物を食べるまでの手順も大切にしているかのような姿が印象的です。


味のかなめであるサルサソース作りは、伝統のモルカヘテ(石臼)を使って、手間暇かけて。唐辛子やトマトやニンニク、スパイスを時間をかけてすりつぶします。

ミキサーも家にはあるけど、おいしさが全然違う!ということで、敢えてこの石臼を使っているそうです。おいしさの追求のためなら時間を惜しんではダメということですね。


丸一日かけてようやく出来上がった「タマレス」は、感動のおいしさでした。手間暇・愛情をかけて作られたごはんは、やっぱり違います。心に染みるし、一日の疲れも吹き飛びます。一口食べただけで、みんな笑顔。それを見ているおばあちゃんたちも、満面の笑顔。

万国共通、おいしいごはんは、みんなを笑顔にします。

ひと手間かけた手作り料理を食べたり、お気に入りのレストランで感動するほどおいしい物を食べたりすることは、忙しい日々において極上のご褒美になります。

適応能力が高い


彼らを語るうえで欠かせないのは、とにかく「適応能力が高い」ということ。それは物理面でも、心理面でも共通して言えることです。

例えば、トラックの荷台に子どもも大人もぎっしり乗せて車をビュンビュン飛ばす風景は、日常茶飯事。これは、大家族で遠出するときには、普通の車の座席では人数分足りないから。

そこで「じゃあ遠出はしないでおこう」という発想は、彼らにはありません。できることでカバーするのが彼らの日常。


私と主人が滞在中、近隣・遠方から親戚知人が毎日のように訪ねてきてくれたのですが、ある日は、家の中に人が収まりきりませんでした。そんなときは、家の前の道路にテーブルと椅子を並べて、そこで食べちゃいます。大きい車が通るときは、近所の人が交通誘導をしてくれたりと、とにかく適応力がすごい。

彼らは、現状に不満を持ったり、何か理由をつけてできない、という決断はまずしません。現状でできることで対応しようという適応力の高さ、ポジティブマインドには、私自身学ぶことが多くありました。

シンプルなライフスタイル


一緒に暮らしてみて、特に感じたこと、それは「生き方がシンプル」ということです。

その日使う食材は、市場で新鮮なものを。スーパーがなく一ヶ所では全ては揃わないので何軒も回ります。でもそれがかえって、日々の生活を豊かにしているんじゃないかなぁと私は思いました。

地元産の旬な食材を生産者から直接買えて、搾りたてミルクやフレッシュなチーズのおいしさが彼らには当たり前。メキシコ料理に欠かせない「マサ(トウモロコシ粉の生地)」も、毎日大きなお鍋を持って、近所のお店に買いに行きます。


主人の家族たちは、何世帯かの家族が一つ屋根の下で暮らしているのですが、朝起きたら主婦メンバーたちはほうきで家の中・外を掃くことからはじめ、昔ながらの洗濯板で大量の洗濯物を片付け、ごはんの支度を……としていたら、あっという間に夜。主婦たちは毎日がこの繰り返しです。

旦那さんたちは、徒歩で出勤し、昼食時には家に戻ってきて、家族でのんびりランチ。そして午後働いた後は、寄り道をせずにまっすぐ帰宅。

特に娯楽もありませんが、彼らにはそれが当たり前の日常。週末の家族の集まりや、パーティーなど特別なときには思いっきり羽目を外して楽しむ。シンプルなライフスタイルだからこそ、生活にメリハリがついて、日々を楽しめるのかもしれません。

ライター
Yu Villegas 元パティシエ&日本語教師

メキシコ人の夫と2人の娘と世界中を引っ越し&旅行三昧の日々。元パティシエ&日本語教師。旅で何よりも楽しみなのは、そこでしか食べられないローカルフードや地元の人々との交流。渡航国数30ヵ国。現在は10年ぶりにドイツ滞在中。

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