仕事、生活、人間関係……忙しない日々を送るなかで、将来の不安や焦り、悩みの種はそうそう尽きないもの。コロナ禍が明けてもなお、こころに不調を抱える人が増えている現状です。
そうした現代のストレス社会において今、「マインドフルネス」という考え方が注目されているのをご存じですか?
今回は、そのマインドフルネスを取り入れた特別な体験プランを提供するOtonamiと京都の古刹・実相院での取り組みをご紹介します。
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今注目の「マインドフルネス」とは
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終わりの見えない現代のストレス社会。ストレスフルなものと折り合いをつけ、癒しを求め、時に現実逃避し、発散する方法はひとそれぞれ。そうしたなかで、今を生き抜く方法として近年注目されているのが「マインドフルネス」です。
マインドフルネスとは、周囲の評価や判断にとらわれず、雑念を払い、ただ今この瞬間に意識を集中する心の在り方のこと。古くから東洋に伝わる瞑想に通ずる考え方であり、こころの安定を促すメンタルトレーニングの一手法です。
Google社やApple社が社員研修に導入するなど、欧米では広く知られるようになったマインドフルネスの瞑想法。近年では日本でも導入する大手企業が増え、厚生労働省もその有用性について言及しています。
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そんなマインドフルネスの体験を寺院や文化財で体験できる特別プランを提供しているのが「Otonami(おとなみ)」です。
Otonamiとは、大人のための上質な時間や感動体験、つまり、“大人(Oto)のたしなみ(nami)”を通じて日本の知られざる魅力を再発見し、人生をより豊かにするきっかけを提供するカルチャープラットフォームのこと。2022年11月のオープン以来、現在までに全国400以上もの選りすぐりの体験プランが用意されています。
今回は数あるプランのなかから、京都洛北の寺院「実相院門跡(じっそういんもんぜき)」での体験をご紹介します。
約800年の歴史をもつ京都・実相院とは
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京都洛北に鎮座する「実相院門跡」は鎌倉時代から800年以上続く、もとは天台宗寺門派であった由緒ある京の古刹です。
「門跡」とは、皇室ゆかりや公家の血を引く高貴な方々が代々住職を務める寺院のこと。実相院もまた、そうした格式高い寺院のひとつです。
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現在の客殿(本殿)は、江戸時代中期、東山天皇の中宮(皇后)・承秋門院(じょうしゅうもんいん)のお住まい(女院御所)であった大宮御所の一部が下賜されたもの。現存する数少ない女院御所建築の一つとして国の有形文化財に登録されています。
また、鎌倉時代の作と伝わる御本尊の木造不動明王立像をはじめ、門跡寺院としての格が伺える珍しい寺宝を数多く所蔵しているのも特徴です。
そんな実相院ですが、近年とくに人気を集めるのはこのリフレクション。ピカピカに磨かれた部屋の床に映り込むもみじが印象的で、紅葉の秋には「床もみじ」、新緑の頃には「床みどり」、雪の日には「床銀華」として、四季折々に表情を変え、多くの観光客を魅了しています。
※床もみじを含む客殿内は通常撮影禁止です。今回は特別な許可をいただいて撮影しています。
この実相院でマインドフルネスを体験できる贅沢、ぜひ体験してみたいですよね。
実相院で味わうマインドフルネス体験
体験プランの主なポイント
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Otonamiが提供するプラン「京都「実相院門跡」皇室ゆかりの寺院で非公開エリアを執事と巡る特別拝観ツアー −行座・喫茶付き−」のポイントは大きく分けて以下の3つです。
・通常非公開の上段の間を含む寺宝の襖絵や障壁画、2つの日本庭園の鑑賞
・通常非公開の書院にて門主による喫茶体験や行座体験
歴史ある文化財で体験できる上質な非日常体験。まさに“大人のたしなみ”にふさわしい極上の感動体験ですね。
まずは「実相院」の歴史を学ぶ
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江戸時代における歴代坊官が綴った 『実相院日記』。その古文書を研究し、実相院の歴史を知り尽くす執事の案内ではじまるこのガイドツアーです。まずは御本尊の不動明王立像にお参りを済ませ、順路に沿って寺内をめぐります。
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画像は冬の「床銀華」。ガイドツアーではもちろん実相院自慢の滝の間の「床もみじ/床みどり/床銀華」の鑑賞も楽しみましょう。
門主の手ほどきで心を整える「行座体験」
お次は実相院門主の手ほどきによる行座を体験します。
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通されたのは、通常非公開の客殿奥の書院。壁には、寺宝で知られる後水尾天皇宸翰(しんかん、天皇自筆の書のこと)の「忍」の書画が掲げられ、窓の外にはひとつの絵画の如く、山水庭園の美観が広がっています。
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こちらは寺宝「行座釈迦(ぎょうざしゃか)」。宝物台帳にそう記載された手のひらサイズの小さなお釈迦様は、6年の苦行を経て御身はやせ細り、立膝を突いて修行する珍しいお姿をされています。
さらに驚いたことに、このお釈迦様はヤシの実からできた小さな厨子(ずし・仏具や経典を収める収納具)に納められており、こうした形態をとることは非常に珍しいそうです。
というわけで、行座釈迦にちなんで、ここでは行座体験を行います。
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門主・原敬寿氏の指導にしたがって、座禅を組み、姿勢を正し、呼吸を整えて心を鎮めます。深く息を吸って吐いてを繰り返し、雑念を払って、今、この時、この呼吸だけに集中して心を整えます。
次第に肩の力が抜け、頭が軽くなり、意識がクリアになるのを感じました。まさにこれが「マインドフルネス」の効果ですね。