ライター

高橋歩さんの「BELIEVE YOUR トリハダ」という言葉に影響を受け、自身も人の心を動かせる仕事をしたいと決心。サックスとジャズへの愛が止められず、メンフィスとニューオーリンズを訪れたことから旅に目覚める。好きなものはお酒といちご。

島全体が修道院となっているフランスの「モンサンミッシェル」。筆者がその地を訪れたのは、約4年前でした。

渡航国数はわずか3カ国、まだまだひよっこ旅人だった当時の筆者は、その姿を見たときに「初めて心揺さぶられた感覚」になったことを覚えています。

バスの窓から見える景色に興奮


photo by Abe saxophone

当時の筆者にとっては、自分で飛行機を取ったりホテルを予約したりすることさえ、かなり難易度が高いものでした。大学の卒業旅行として、目的地にはヨーロッパを選択。スペイン、イタリア、フランスをまわる大手旅行会社のツアーを申し込みました。

モンサンミッシェルへは、パリからバスで向かいます。片道5時間、雨に降られながら進んでいきました。もともと、モンサンミッシェルを希望していたのは、一緒に旅行をした友達。彼女が「そこだけはどうしても行きたい」と話していたので、バスツアーを申し込んだのでした。

このあたりは、雨が多い地域。当時も直前までずっと雨が降っていたのですが、目的地に着いた瞬間、お天道様が味方をしてくれたのです。日頃の行いの良さが、ここで現れたのかな。

バスの窓から見える修道院の姿が、だんだんと大きくなっていきます。カメラを片手に、モンサンミッシェルをこの目で見てみたい!とうずうずしていました。

修道院の中から見えたもの


photo by Abe saxophone

着いたのは、夕方の3時か4時頃だった気がします。外観を一通り撮影してから、島の中へと入っていきました。メインの通りは一本道で、かなり狭く坂になっています。右を見ても、左を見ても、可愛いお店が並んでおり歩いているだけで楽しい気分に。

そうそう、けっこうな頻度で日本語を見かけたことにも驚きました。日本人観光客が多いためか、お店の人も簡単な日本語を話しかけてきたので、お土産選びも楽しかったです。

しばらく散策をした後は修道院へ。モンサンミッシェルと聞くと、パンフレットでよく見る「あの」外観を思い出しませんか?筆者もそのイメージしかなかったので、正直「島の全体像を見たら終わりかな」と思っていました。

 

ところが、修道院のなかに入ってみるとびっくり。外からは想像できないような広い空間、荘厳な彫刻、そして中でも印象に残ったのは、修道院からの景色でした。

どこまでも続くような海、そして日本では見たことがないような広い空。車のエンジン音や忙しないビジネスマンの会話などの余計な音もなく、静かな空間に自分一人だけいるような感覚。

今まで有名な観光スポットを周り、定番の写真を撮るだけの旅をしていましたが、初めて異国の地で心地よくなった瞬間でした。これからは、こんな旅をしてみたい。そんな風に思っていました。

初めて口にしたスフレ状のオムレツ


photo by ラ・メール・プラール東京

モンサンミッシェルの名物といえば、ふわふわの「オムレツ」。「日本のオムレツとは全然違うので、きっと驚かれますよ」とガイドさんから言われていましたが、全く想像がつきません。どんな形なんだろう、ふわふわってことはすごく柔らかいんだろうなあ。楽しみに待っていると、見たこともないスフレ状のオムレツが運ばれてきました。

目の前に差し出されたオムレツは、想像よりずっとふわふわ。お皿を揺らすと、オムレツ全体も揺れるのです。日本のオムレツは卵をふんだんに使い、全体的に黄色に仕上がったものが一般的。しかし、モンサンミッシェルのオムレツは白っぽく、口の中でとろける食感です。

食べるのがもったいない……と思いながらも、ペロリと完食。後ろ髪を引かれる思いでしたが、外も暗くなってきたのでモンサンミッシェルを後にします。


photo by Abe saxophone

外に出てみると、来たときに見た光景とは全くの別物。島全体がライトアップされ、海のなかに浮かんでいる姿はとても幻想的でした。世界を旅していると、各地の夜景に心動かされることが多々あります。ここモンサンミッシェルの夜景は周りに明かりが少ない分、暗闇のなかにキラキラと光る様子が印象的でした。

まだまだ旅の経験が浅かった筆者に、「もっといろんな世界を見てみたい」と思わせてくれたのが、モンサンミッシェルだったのです。

日本でもあのオムレツを味わえる


photo by ラ・メール・プラール東京

海外から日本へ帰ってくると、必ず検索してしまうことがあります。それは「海外料理を提供するレストラン」。あそこで食べたあの味をもう一度味わいたい。旅先で食べたあの料理を楽しみながら、旅の思い出を語りたい。そう思って、海外料理の専門店を探すのがルーティーンになっています。

「モンサンミッシェルで食べた、ふわふわのオムレツって日本でも食べられるのかな」そう思って探してみると、世界的に有名な「ラ・メール・プラール」のお店が東京にもあることがわかりました。

ラ・メール・プラールとは?

「ラ・メール・プラール」は、1888年モン・サン=ミッシェルに創業された同名のオーベルジュ(レストラン兼宿屋)の有名女性シェフであるアネット・プラールの呼び名であり、日本語で「プラールおばさん」を意味します。彼女は世界中に知られるスフレオムレツと、実に700種類にのぼるレシピを考案し、フランスの重要な料理文化に貢献しました。レストランは創業以来130年にわたりモン・サン=ミッシェルを訪れる何百万人という人々を迎え入れてきました。


photo by ラ・メール・プラール東京

有楽町・東京国際フォーラムのレストラン「ラ・メール・プラール東京」は、6月30日(土)よりリニューアルオープン。それに伴い、オムレツをお皿に盛り付けるパフォーマンスを、テーブルで行う新サービス“アニバーサリーオムレツ”が登場するそうです。なんと、その動画は様々なメディアで話題となり、全世界で1500万回以上再生されたのだとか。

リニューアルにあたり、外観はフランス本店と同じく赤を基調にしたデザインで、内装はラ・メール・プラール本店のレセプションを思わせるデザインに。ダイニングはオープンキッチンで、オムレツの卵をかき混ぜるラ・メール・プラール伝統のリズムも聞こえてくるそう。

■詳細情報
・店舗名:ラ・メール・プラール東京(LA MÈRE POULARD TOKYO)
・リニューアルオープン日:2018年6月30日(土)11:00~
・営業時間:<レストラン>11:00~23:00  ※休前日を除く日曜祝祭日~22:00(ラストオーダーは閉店1時間前)<カフェ>11:00~22:00  ※休前日を除く日曜祝祭日~21:30(フードラストオーダー21:00)
・定休日:なし
・席数:レストラン94席/カフェ44席
・住所:千代田区丸の内3-5-1 東京国際フォーラム  ホールA 1階
・アクセス:JR有楽町駅より徒歩1分、地下鉄有楽町線:有楽町駅とB1Fコンコースにて連絡、日比谷線:銀座駅より徒歩5分、日比谷線:日比谷駅より徒歩7分 など
・電話:03-5252-7171
・HP:http://www.la-mere-poulard.jp/

ラ・メール・プラールは1888年に創業して、今年で130周年。懐かしい味に、きっと旅の思い出話も弾むはずです。4年前、一緒に旅をした彼女を誘ってみようかな。

ライター

高橋歩さんの「BELIEVE YOUR トリハダ」という言葉に影響を受け、自身も人の心を動かせる仕事をしたいと決心。サックスとジャズへの愛が止められず、メンフィスとニューオーリンズを訪れたことから旅に目覚める。好きなものはお酒といちご。

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