ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター・フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、大手メーカーで営業をしながら、トラベルライターを両立。長期連休は自転車旅に充て、土日は山に足繁く通うアウトドアスタイルを信条とする。 春は桜を愛でながらサイクリング、夏は冷涼な北日本へ自転車で大冒険、秋は秘境の紅葉を求めて登り、冬は輝く樹氷と白銀の世界に魅了される。そんな自然の中へ身を投じる旅がルーティーン。 「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞、「YAMAP夏のフォトコンテスト2020」入賞など。現在は夫婦揃ってトラベルライター。

「ひとたび趣味を持てば、さまざまな方向へと派生し、そして深まる」

学生時代から約5年間を振り返れば、この事実は明白で、いわば”趣味のクロスオーバー”こそ人生の充実度を高めてきたように思います。


私の場合、その一つのカタチが「登山ツーリング」でした。自転車で旅をしながら、その道中で登山を行なう、という旅のスタイルです。

例えば、

・女満別空港から知床連山最高峰まで1本のトレースで結んだ、北海道羅臼岳の旅。
・UFOラインから四国カルスト、四国の屋根をぶった切った、灼熱の四国縦断旅。
・島を一周し、九州最高峰・宮浦岳のいただきを踏んだ、屋久島の旅。

など。これまで短い休暇をフル活用した弾丸旅で、全国各地を駆け巡ってきました。いささか変?な旅スタイルのため、真似できないと言われることもありますが、実はそんなことはありません。


実際に、初めて自転車を購入した頃には、自分がこんな旅を行うようになるとは、予想だにしませんでした。しかし、気づいたらこの形に落ち着いたのだから、人生ってわからないものですね!

それでは今回は、そんな「登山ツーリング」へとたどり着いた経緯、そしてその魅力を紹介すべく一稿を記したいと思います。

「登山ツーリング」というスタイルを確立するまで


もともと、自転車にまったく関心を持っていなかった私。転機は、大学2年生の冬に訪れました。突如、通学用の自転車が壊れたため、クロスバイクへ買い換えることになったのです。

購入に立ち会った私の父は、当時、自転車通勤にハマっており、半ば無理やりクロスバイクを買うように説得されました。「自転車にこんな大金払うなんて……!」としぶしぶ購入したことを覚えています。

今や“自転車旅ライター”を名乗っている私も、5年前には自転車に対しては全然前向きではなかったのです。


しかし実際に乗ってみると、その先入観はたちまち消え、すぐにクロスバイクで走る楽しさの虜に。自転車で走ることが、こんなに気持ちよく、そして疾走感に富んだものだとは……!まさに目から鱗でした。

走る楽しさに目覚めた私は、30キロメートル→100キロメートル→150キロメートルと、みるみる一日の走行距離を伸ばしていきました。

クロスバイクを購入して半年が経つ頃には、いつしか自転車へ乗ることが、手段でなく”目的”へと変わっていったのです。

自転車ライフ原点の地、京都の峠に鍛えられた


まず私の自転車ライフで大きかったのが、学生生活を過ごした京都という土地の特性でしょう。京都市街は三方を山に囲まれていて、自転車で30分も走れば峠に当たります。しかも、その数が尋常ではありません。

1限前の朝の時間や、講義の間の時間を使って、京都の峠を攻めていたのは懐かしい記憶です。


夜明け前から街を疾走し、都会とは一線を画する京都山間部を一つひとつあみだくじを辿るように走破しました。時には、同じコースを走っては、タイムアタックも楽しんだこともあります。

また京都の峠を調べては、講義中にノートの片隅に情報をメモしていたことも!今思うと、かなりクレイジーな学生生活を送っていたと思いますが(笑)、そのおかげで走力や登坂力が鍛えられたのは間違いないでしょう。


私の偏った趣味に付き合ってくれた友人S君の存在も大きいかもしれません。半ば強制的に自転車の世界へ引っ張り込まれた彼ですが、社会人となった今でも最高のパートナーとして一緒に自転車旅を楽しんでいます。

初自転車旅で認識した、自転車で絶景を目にする快感と自己成長


自転車にのめり込んだ私は、夏休みのバイト代を返上してロードバイクを購入。クロスバイクを購入してから10ヶ月後のことでした。

我ながら熱中してからの瞬発力には目を見張るものがあります。その2ヶ月後に、血迷ってもう1台ロードバイクを購入してしまうのも、その証です(笑)。


そして、ロードバイクを買うやいなや、また一歩、趣味の方向性が進むことになります。それが、大学3年生の秋、京都から全自走で香川県小豆島を訪れた初の長距離自転車旅です。

3日合わせて約350キロメートルと、当時限界と言える走行距離。そして、選んだ宿がまさかの標高600メートルという高所にあり、凄まじいヒルクライムを強いられました。小豆島は島全体に渓谷の発達する、まさに“山の島”だったのです。


旅の道中では、自分の走力のなさ、精神力の弱さを痛感しましたが、3日間を通じて大いに成長することができました。また登った者にしか見られない絶景がある、ということが胸に焼きついた旅でもありました。

北アルプス・乗鞍岳でやり遂げた「登山ツーリング」


自転車旅にすっかり魅せられた私は、大学3〜4年生をほぼ旅に費やすことになります。そして大学4年生の夏休み、北海道ツーリング1100キロメートルの旅を経て、いよいよ卒業に向けての終盤戦。

社会人サイクリストの先輩から、一度は絶対に訪れた方がいいと猛烈に勧められた、北アルプス「乗鞍岳」へと足を踏み入れました。


北アルプス・乗鞍岳(標高3026メートル)には、乗鞍スカイライン/乗鞍エコーラインという2つの山岳道路が整備され、標高約2700メートルの畳平という場所まで自転車乗り入れ可能となっています。

国内最高標高の道であり、麓の飛騨高山からは標高差2000メートル以上となる超級山岳コースです。


季節は9月下旬でしたが、まさかのシチュエーションに驚愕!なんと、紅葉が最盛期を迎え、圧倒的なスケールで山肌を彩っていたのです。

季節の始まりは山から訪れます。まるで天国のごとき、道路上の極彩色に酔いしれました。


そして畳平に到着したら自転車を止め、そのまま乗鞍岳へと登山。ピークの剣ヶ峰(標高3024メートル)に足をかけた瞬間の感動は忘れられません。標高400メートルの高山市街から標高3000メートル超のアルプス山頂まで、すべて自力で辿り着いたことに、この上ない充実感を覚えていました。

「自分の足だけで、ひと続きでこの場所までやってきたのだ。」 一瞬、疑わしくもなるのですが、これは紛れもない事実。そして同時に、一つの映像作品のように、今までの道のりが脳内再生されていきます。


決して一つのアクティビティだけでは出会うことができない、旅のストーリーと絶景が、そこにはありました。

自転車と登山をクロスオーバーさせることで、味わえる旅の感動が何倍も高まり、そして抑えがたい好奇心を満たしてくれると知ったのです。

長期連休を駆使して、登山ツーリングで日本各地を巡る


乗鞍岳での新たな気づきを得た私は、ふつふつと湧き上がる旅欲が抑えきれなくなりました。

卒業旅行では、屋久島を自転車で一周し、九州最高峰の宮之浦岳(標高1936メートル)を登頂。自分のポリシーと言える「登山ツーリング」スタイルを確立しました。


社会人になった今でも、長期連休をうまく活用しつつ、こうした旅を継続しています。

これまで、北海道知床の羅臼岳や大雪山、東北の八甲田山・八幡平、北陸の荒島岳、四国の石鎚山や四国カルスト、九州の雲仙普賢岳やくじゅう連山など日本各地を、自転車&登山で巡ってきました。


いろいろな人に、働きながら大変ではないか!?と声をかけていただくことも多いけれど、実はそんなに大変ではありません。いや、瞬間的にはシンドイけれど、それを差し置いて余りある魅力がある、と言った方が正しいでしょうか?

(むしろ、自転車旅のために有休を申請することの方がサラリーマンとして精神的にしんどいです。笑)

ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター・フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、大手メーカーで営業をしながら、トラベルライターを両立。長期連休は自転車旅に充て、土日は山に足繁く通うアウトドアスタイルを信条とする。 春は桜を愛でながらサイクリング、夏は冷涼な北日本へ自転車で大冒険、秋は秘境の紅葉を求めて登り、冬は輝く樹氷と白銀の世界に魅了される。そんな自然の中へ身を投じる旅がルーティーン。 「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞、「YAMAP夏のフォトコンテスト2020」入賞など。現在は夫婦揃ってトラベルライター。

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