ライター
Yu Villegas 元パティシエ&日本語教師

娘二人が産まれてからも、旅は引き続き人生の生きがい。格安航空券を見つけては、週末旅に出かける日々。元パティシエ&日本語教師。旅で何よりも楽しみなのは、そこでしか食べられないローカルフードや地元の人々との交流。渡航国数34ヵ国。現在はワーホリ以来12年ぶりにドイツ滞在中。 インスタやブログでも旅情報を発信中。

日本では近年のテロ事件や紛争などの報道によって、イスラム諸国に「怖い」という印象を持つ方も多いと聞きます。

ところが実際には、イスラム教の人々はとても平和的で親切、そしてフレンドリーです。子連れ旅をしてみて、どの国よりも旅しやすく感じましたし、娘たちもとても楽しんでいました。

我が家はすっかり人々の温かさに魅了され、またイスラム諸国を訪れたくなっています。

この記事を読んだあと、子連れ海外旅行でイスラム諸国もアリだな、なんて旅先候補に入れてもらえれば嬉しいです。

そもそもイスラム諸国ってどこ?


イスラム諸国とは、イスラム教に関連が深い国々のこと。定義はさまざまですが、「国教がイスラム教」「人口の多数がイスラム教」の国を指すことがほとんどで、私も今回はその定義でお話ししていこうと思います。

具体的には、地理別に大きく分けると、次の4つが該当します。

①アラビア半島全域(サウジアラビア、イエメン、オマーン、アラブ首長国連邦、バーレーン、カタール、クウェートの7か国)

②その近隣諸国(レバノン、ヨルダン、イラク、シリア、トルコなど)

③中央アジアや東南アジア(ウズベキスタン、インドネシア、マレーシアなど)

④アフリカ諸国(エジプト、モロッコ、チュニジアなど)


同じようにイスラム教を信じる国であっても言語や文化が違うので、旅行者は事前にその国の文化や習慣を調べておくことが大事。

例えばイスラム教の教義に厳格なサウジアラビアでは、女性のほとんどが髪を隠し、アバヤという全身を覆う服を着ています。2018年に着用義務が廃止されて少しずつ変わりつつあるようですが、露出が多かったり足のラインが出るレギンスやジーンズはNGなどといったルールはあるので、旅行する際は注意しましょう。

かたや、同じくイスラム諸国であるトルコでは、世俗主義・政教分離の国で自由度が高く、髪を隠していない女性の姿も多く見かけます。

現在、世界のイスラム教徒人口は約16億人。世界の4人に1人がムスリム(イスラム教を信じる人のこと)という計算になります。

また、イスラム教は信仰者数の増加率がどの宗教よりも高く、近い将来には世界最大の宗教となる可能性が高いと言われているんだとか。これからの世代を生きていく子どもたちにとって、学校や職場、旅行先などでムスリムの人たちと出会う機会がどんどん増えていくことになります。

小さなうちから「世界にはいろいろな人たちがいるんだ」と理解していってほしいものです。

そもそもイスラム教ってどういう宗教?


そんな子どもたちのためにも、大人である私たちがイスラム教についての理解を深めておくことも大事です。

イスラム教は、7世紀ころ生まれた世界三大宗教の一つ。聖典「コーラン」にはイスラム教の大事な教えが書かれていて、信仰に関することだけでなく生活規範についても記されています。1日5回の礼拝、豚肉やアルコールの禁止、ラマダン月の断食などが代表的な戒律ですね。


厳しそうなイメージがあるかもしれませんが、イスラム教は「困っている人がいたら手を差し伸べること」と「平和・寛容・多様性」に重きを置いた、とても優しい宗教なのです。

ただ、悲しいことに一部の過激派によるテロ攻撃や紛争などで「イスラム教=危険な宗教」というイメージがついてしまったのも事実。


しかし、そもそもコーランでは自爆攻撃は認められていませんし、絶対に自分から攻撃するなとの教えがあるそうです。

また、イスラム教は同じ一神教のユダヤ教とキリスト教の教えに寛容で、それらの信者たちを尊重しているという一面も。にもかかわらず、過激派は差別や恵まれない環境に不満を募らせる若者たちに誤った解釈を刷り込み続け、他宗教への攻撃が続いているという背景があるのです。


モロッコを旅しているときに感銘をうけた出来事を紹介させてください。

現地のタクシー運転手さんが、イスラム教が誤解されていて悲しいという話をしていました。そしてモロッコの国旗を見て、と。

「私たちは歴史上いろいろな宗教の人たちを友人として受け入れてきた。今でもそれは変わらない。友人にはイスラム教徒もいればキリスト教もユダヤ教徒もいる。それをこの中央の星が表しているんだよ。それぞれの頂点(人)が交わって一つの星(国)をつくっているし、それをモロッコ人たちは誇りに思っているんだよ」と。
(公式に紹介されているモロッコ国旗の意味合いとは違いますが、とても素敵な解釈だなあと思ったので紹介しました)

こういう考えを持ったイスラム教徒の方が大多数だということを決して忘れたくないものです。

私が子連れ旅にイスラム諸国をおすすめする4つの理由

続いて、私が子連れ旅にイスラム諸国をおすすめする理由を4つ紹介します。

とにかく子どもに優しい


いろいろな国を子連れで旅してきて、どの国の人もたいてい子どもたちに優しくしてくれました。

しかし、イスラム諸国はその中でも群を抜いて子どもに優しい国だと感じます。コーランで「子どもたちは人生の喜び」と説かれていることもあってか、誰もが子どもに対する思いやりを備えているように見えました。


例を挙げると、バスの停留所や空港では、近くにいた現地の人が娘たちと遊んでくれることがしばしば。バスでは娘たちを運転席の隣の見晴らしのいい特等席に座らせ、車内マイクを使わせて観光ガイドごっこをさせてくれたことも。列に並んでいると、先に行かせてくれることも多くあります。

困っていてもそうでなくても、さっと親切に接してくれる「子どもファースト」な場面が数えきれないほどたくさんあり、本当に感激しました。

ライター
Yu Villegas 元パティシエ&日本語教師

娘二人が産まれてからも、旅は引き続き人生の生きがい。格安航空券を見つけては、週末旅に出かける日々。元パティシエ&日本語教師。旅で何よりも楽しみなのは、そこでしか食べられないローカルフードや地元の人々との交流。渡航国数34ヵ国。現在はワーホリ以来12年ぶりにドイツ滞在中。 インスタやブログでも旅情報を発信中。

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