山上の別天地「木曽駒ヶ岳」千畳敷カールから往復
中央アルプスの盟主「木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ、標高2,956m)」。こちらも標高は3,000m近いのですが、2,600mまでバスとロープウェイで楽々アクセスできます。乗鞍岳と同じく、日本アルプス入門にもってこいの山です。
ロープウェイを降りれば、そこに広がるのは「千畳敷カール」。ダイナミックな氷河地形とその間に広がる緑が、一連の壁となって立ちはだかります。青空とのコントラストが清々しく、雪渓の周囲に展開するお花畑も美しいです。
千畳敷カールから木曽駒ヶ岳山頂までは、片道2時間弱。標高差も500m以下という易しいコースとなっています。また中岳や伊那前岳と組み合わせて、プチ縦走(山と山をつないで稜線を歩くこと)を楽しめるの魅力です。
暑い夏でも天国のように涼しく、雲が切れて雄大に広がる山並みに感動し、その雄大な景色を背景に咲く高山植物に癒やされます。少し慣れてきたら、宝剣岳のゴツゴツとした稜線をルートに組み込むのも面白いですよ。
・名称:木曽駒ヶ岳
・住所:長野県木曽郡上松町荻原/木曽町新開/上伊那郡宮田村
・地図:
・アクセス:駒ヶ根ICから菅の平バス停まで車で約5分、菅の平バス停~しらび平駅までバスで約30分、しらび平駅~千畳敷駅までロープウェイで約8分弱
・歩行距離:往復3.5km
・コースタイム:往復3時間半
・標高差:500m以下
・オススメの時期:6月〜10月
・公式サイトURL:https://www.chuo-alps.com/
本格アルプス入門の定番「燕岳」中房温泉から合戦尾根往復
北アルプス屈指の人気を誇る「燕岳(つばくろだけ、標高2,763m)」。安曇野ICから車で1時間ほど走った中房温泉から入山します。距離は10km弱、コースタイムは往復約8時間、標高差は約1,400mと、まさに本格的なアルプス入門にふさわしい内容です。
基本的に7合目くらいまでは樹林歩きとなり、やや単調ですが、アルプスならではの静かな山歩きと、気持ちのいい森林浴を満喫できるのが魅力。途中の合戦小屋で購入できる名物・安曇野産スイカも楽しみの一つです。
7合目以降は少しずつ展望が開け、天気がよければ富士山も眺められるように。そして尾根を登り切れば、槍ヶ岳や穂高連峰が連なる雄大な北アルプスの主脈と、燕岳を特徴づける鎧の如き「合戦尾根」の絶景が広がります。
カメラに収まりきらない360度の大パノラマに思わず立ち尽くしてしまうことでしょう。普段は出会うことのできない日本の天上世界が、そこには待っています。このクライマックスこそ、日本アルプス登山ならではの醍醐味です。
・名称:燕岳
・住所:長野県安曇野市穂高牧
・地図:
・アクセス:安曇野ICから中房温泉まで車で約50分
・歩行距離:往復約10km
・コースタイム:往復8時間〜8時間30分
・標高差:約1,400m
・オススメの時期:7月〜10月
・公式サイトURL:https://www.enzanso.co.jp/
異世界感を放つ「焼岳」新中の湯ルートで北峰往復
上高地の裏手にそびえる日本百名山の一つ「焼岳(やけだけ、標高2,455m)」。麓の中の湯から登れば、往復4~5時間ほどで登頂できます。手軽でありながら、雄大な北アルプスの絶景と迫力ある火山の世界観を味わえるのが魅力です。
前半は樹林を進んでいく道ですが、1時間ほど歩くと焼岳の山容が望めるように。ここから森林限界→火山地形へと景観がガラリと変わります。ゴツゴツとした北峰の溶岩ピークは圧倒的な迫力をまとっていますよ。
斜面を登り切ると、火山ガスが噴出し、まるで大地が呼吸する瞬間に立ち会っているかのよう。自然への畏怖の念を抱きつつ、噴火口から10分ほど歩くと山頂に到着です。
山頂から見下ろせば、北アルプスの山々に囲まれる秘境・上高地の姿が展開。いくつものカーブを描きながら、梓川が谷筋を流れていくさまは、どこか日本離れした景観です。霧が組み合わされば、よりいっそう神秘さを帯びます。
・名称:焼岳
・住所:長野県松本市安曇上高地/岐阜県高山市奥飛騨温泉郷中尾
・地図:
・アクセス:高山市街・松本市街から中の湯登山口まで車で1時間~1時間半
・歩行距離:往復約7km
・コースタイム:往復4時間〜5時間
・標高差:約900m弱
・オススメの時期:6月〜10月
・YAMAP公式サイトURL:https://yamap.com/mountains/145
この夏こそ挑戦したい!憧れの日本アルプス登山
ハードルの高いイメージがある「日本アルプス」。中級〜上級コースがたくさんあるのも事実ですが、しっかりルートを選定し、装備さえ整えれば、初心者でもアルプスの山岳世界を味わうことが可能です。
今回ご紹介した日本アルプスの4つの山とコースは、どれもアプローチや歩行時間、体力的に易し目でありながら、どれも圧倒的な絶景に出会える場所ばかり。ぜひこの夏、入念に準備をして挑戦してみてはいかがでしょうか?
All photos by Yuhei Tonosho