ライター
岡本 大樹 撮って書くひと

2015年、小笠原諸島で連続ブリーチングを繰り広げるザトウクジラの雄大さに感動。その勢いで旅を仕事にすることを決める。それまでは原付で47都道府県を旅したり、ドイツ留学中にドイツほぼ一周電車旅をしてみたり。仕事では、サイパンの海に潜ってみたり、ベルギーでチョコレート作り体験をしてみたり。現在は人の旅立ちを後押しできるような写真を撮って記事にするべく、奮闘の日々。

北海道が雄大な自然を擁しているのは日本人にとって常識といえますが、野生動物のウォッチングや撮影にも適している場所だということはご存じでしょうか。

特に世界自然遺産に登録されている知床(しれとこ)では、海の生き物に会いにいくクルーズも人気のアクティビティとなっています。

ウォッチングできる動物の中には、海の王者と言われるシャチも含まれています。今回はクジラ好きの筆者がシャチを見に、知床半島の羅臼町(らうすちょう)へ行ってきました!その様子をレポートします。

シャチに会いに知床へ


2021年7月現在、日本国内でユネスコ世界自然遺産に登録されている場所は4つ。さらに奄美大島や西表島などがその生物多様性を理由に、5例目としてまもなく登録される見通しです。

そんな国内の自然遺産の中でも特に広い面積を誇るのが、道東に位置する「知床」です。オホーツク海の南側に突き出ている半島で、ヒグマが多く生息している土地としても有名です。


そんな知床半島の羅臼町では、クルーズでの野生動物ウォッチングが人気を集めています。

動物はイルカやクジラなどさまざまですが、特に注目してほしいのがシャチ。実は日本でシャチを定期的に見られるのは知床だけなのです。

羅臼での2日間、1日目は「アルランⅢ世」で


羅臼町での初日。できるだけシャチに会う確率を上げるため、数日間アクティビティに参加できるような日程を組んでいました。

自然の生き物が相手なので、いつどこで出会えるかは誰にもわかりません。特にシャチに関しては、そもそもの目撃率が40〜50%程度と言われています。

しかも、シャチのウォッチングシーズンは4〜6月頃だけ。訪問したのが6月中旬だったため、すでにギリギリのタイミング。期待と不安を抱えてのクルーズがスタートです。


初日に乗った船は「アルランⅢ世」です。出港時間は8時30分で、約2時間半のコースとなっています。

港を出発して、沖合に出るにつれて海の向こうに見えている国後島(くなしりとう)が、どんどん近くなってきます。

最初に出会ったのはイシイルカ


出港してから20分ほどが経った頃、まず現れたのがイシイルカです。羅臼の周辺でよく目撃されるイルカで、身体に大きな白い模様があるのが特徴。ですが……

とにかく動きが俊敏、かつイルカといえば多くの人がイメージするジャンプも、あまり得意ではないタイプのイルカなのです。


そのため、肉眼でもその姿をしっかりと確認するのは難しく、背ビレがちょこっと水上に出ているのを水飛沫が上がる中に確認できる程度。

それでもやはり、まずは海の生き物に出会えて、その動いている様子を見られると、アクティビティに参加した甲斐があるというものです。


それに、知床連山をバックに躍動する野生動物の姿はそれだけで見応えがあり、一見の価値ありです。今年はこの時期になっても雪が多く残っているようで、素晴らしい自然の魅力に興奮しっぱなし。

ただ、ここからは沈黙の時間が続きました。イシイルカと離れてからは、1時間以上ほぼ何も出てこない穏やかなクルーズとなりました。

時期外れのマッコウクジラにも遭遇


終了の時間が近づいてきた頃、クジラのブロー(潮吹き)が目撃されたという情報が入りました。一気に期待感が高まり、そのポイントに向かいます。

ポイントに着いても、姿は見えません。潜ってしまったようです。が、船のスタッフさんが水中マイクで海中の音をチェックすると、鳴き声はきこえている!とのこと。

一度潜ると30分以上海面に上がってこないこともあるクジラですが、声がきこえるのは、確実に近くにいるということ。浮上を待ちます。


そこから15分ほど経った頃、とうとう筆者にも見える範囲にクジラのブローが上がり始めました!

そこにいたのは、マッコウクジラ。体長が優に10メートルを超える巨体が、ゆっくりと羅臼の海を泳いでいました。その大きさや潮の上がる様子などを間近で見られ、乗船客の興奮は最高潮に。


クジラもよくジャンプする動物と思われがちで、実際にザトウクジラのジャンプ(ブリーチング)は有名ですが、マッコウクジラはほとんど海上に飛び上がることはありません。

派手なアクションはなくとも、その巨体から感じられる生命力から感動をもらえること間違いなしです。


15分ほど私たちを熱狂させたマッコウクジラ。最後は尻尾を大きく上げ、また海の深い場所へと戻っていきました。そして興奮冷めやらぬまま、船は羅臼港へと帰港。

実はマッコウクジラのシーズンは例年7月頃からと言われていて、6月中旬に現れることは稀なのです。思いもよらぬ出会いに、気づけば筆者も100枚を超える写真を撮っていました。


とはいえ、です。今回のメイン目的はシャチのウォッチング。マッコウクジラとシャチのウォッチングシーズンには、ズレがあるとのこと。

つまり、マッコウクジラが現れ始める頃には、シャチはもう遠くへと旅立ってしまっている可能性もあるのだそう。その点は気がかりですが、次の日のクルーズに備えます。

■詳細情報
・名称:観光船アルランⅢ世
・住所:北海道目梨郡羅臼町船見町
・地図:
・電話番号:0153-87-4477
・料金:大人8,800円 小学生4,400円
・公式サイトURL:https://shiretoko.life

2日目のクルーズは「ゴジラ岩観光」のアクティビティに参加


2日目も出港は羅臼港。この日は、「アルランⅢ世」が運休ということもあり、11時発の「ゴジラ岩観光」のクルーズアクティビティに参加することとなりました。

初日と同じく、まずはウォッチングポイントである沖の方まで出ていきます。その際に羅臼側を振り返ると、知床連山に霧がかかっていました。

夏にはよく霧ができる道東。神秘的な風景を背に、この日のクルーズが始まりました。

待ちに待った瞬間が、とうとう来た!


港から船が走ること約30分。晴れてはいるものの、海上の風を受け少し肌寒さを感じ始めた頃、とうとうそのときがやってきました!

「シャチがいた!」と望遠鏡を持った船のスタッフさん。どうやら進行方向まっすぐ、肉眼では見えないくらい先にシャチの群れを確認できたよう。船のスピードが増します。


その姿をしっかりと写すことができた、記念すべき1枚目。シャチの特徴である白い模様も見えています。

と、出会えたことにホッとしたのも束の間、シャチがどんどん現れるではありませんか。「一頭だけでも何とか見たい」と思っていた筆者の期待を遥かに上回り、シャチの大群が目の前に現れました。


知床半島をバックにしたシーンも写真に収められ、大大大満足の一日に。後から聞いた話ですが、このときはこの一帯に100頭近いシャチが入ってきていたそう。

なおシャチは高い知能を持っていて、自らより大きなクジラやサメですら捕食するため、海においての食物連鎖の頂点に立つ動物でもあります。

そのため、「海のギャング」と呼ばれ、獰猛と思われることがありますが、人間を襲うことはほぼありません。


シャチは好奇心が旺盛で、船に寄ってくることも多いそう。クジラと同じく、ブリーチングやスパイホッピング(水面から顔を突き出し周辺を伺う行動)など、さまざまなアクションをする動物ということもあり、見応えも抜群です。

今回はブリーチングこそ見られませんでしたが、夢中で撮り続けた1時間はあっという間に終了。スタッフの方も「皆さん、一生分のシャチを見られましたね!」と、心なしか少し誇らしそうな様子でした。


ここで2日目のクルーズも帰港の時間を迎えます。最後には、イシイルカが船のすぐそばを通り抜けるサービスも。

近すぎて写真は撮れませんでしたが、大興奮のクルーズの最後に祝福の花を添えてくれたかのようでした。

■詳細情報
・名称:ゴジラ岩観光
・住所:北海道目梨郡羅臼町本町30-2
・地図:
・電話番号:0153-85-7575
・料金:大人8,800円 小学生4,400円
・公式サイトURL:https://kamuiwakka.jp

しっかり準備して、道東の海を満喫しよう


クルーズに参加するまでは不安もありましたが、振り返ってみると大当たりの日程だったといえます。もちろん自然相手なので、結果がどうなるかは先にはわかりませんが、その分野生動物に出会えたときの感動はひとしお。

船に乗る際の注意点としては、まず服装です。町では暑いくらいの気候であっても海上の風は冷たく、一気に身体が冷えることもあります。羽織れるものを余分に持っておく、風を通さない上着(ウインドブレーカーなど)を着ていく、といった対策をしておきましょう。


また、揺れが激しいときには、船に慣れていない人は高確率で酔います。あらかじめ酔い止め薬を飲んでおく、少しでも気持ち悪さを感じたら揺れにくい場所で休む、といった対処法を覚えておきましょう。

体調が悪くなっていては、動物に会えても楽しむことは難しく、本末転倒です。無理しすぎないようにしながら、チャンスを待つようにしてくださいね。


世界自然遺産の知床や北方領土の国後島をバックに海の生き物をウォッチングできるだけで、贅沢な体験になることは間違いなしです。動物好き、自然好きの方に心からおすすめできる羅臼のクルーズ。ぜひ次回の道東の旅に組み込んでみてくださいね。

All photos by Daiki Okamoto

ライター
岡本 大樹 撮って書くひと

2015年、小笠原諸島で連続ブリーチングを繰り広げるザトウクジラの雄大さに感動。その勢いで旅を仕事にすることを決める。それまでは原付で47都道府県を旅したり、ドイツ留学中にドイツほぼ一周電車旅をしてみたり。仕事では、サイパンの海に潜ってみたり、ベルギーでチョコレート作り体験をしてみたり。現在は人の旅立ちを後押しできるような写真を撮って記事にするべく、奮闘の日々。

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