中央ヨーロッパに位置するポーランドは、戦争で大きなダメージを受けた国です。第二次世界大戦下には首都ワルシャワの85%が焼け野原になりましたが、戦後ポーランド人達が風景画や図面、写真などから煉瓦のヒビにいたるまで町並みを復興し、その努力を認められ世界遺産に登録されました。
そこで、今回はワルシャワをはじめとした、ポーランドにある13カ所の世界遺産を全てご紹介します。
アウシュヴィッツ-ビルケナウ ナチスドイツ強制絶滅収容所
第二次世界大戦中、ヒトラーの命によりユダヤ人の大量虐殺が繰り広げられたおぞましい歴史を持つ強制収容所跡。ここにあるガス室で、捕らえられてきた75%の罪無き人々が殺され、残りの25%の人々は過酷な労働条件の下で倒れるまで働かされ続けました。二度と同じような過ちが起きないようにとの願いから、1979年に世界遺産に登録されました。
ワルシャワ歴史地区
ポーランドの首都ワルシャワには中世から建つ歴史的な建物が数多く建っていましたが、第二次世界大戦でナチスにより破壊されました。
建築学の教授であったザッファトヴィッチを代表に復興が始まり、レンガのひび割れ一つの至るまで町が忠実に戦前の状態に復元された奇跡的な復興が評価され、1980年より世界文化遺産に登録されています。
photo by Marek i Ewa Wojciechowscy
クラクフ歴史地区
ワルシャワ以前の首都であった古都クラクフは、ポーランドの京都とも言われています。旧市街には中世の街並みがそのまま保存されており、ヨーロッパ最大の広場であるリネク・グウヴヌィを中心に広がる歴史地区には多くの人々が行き交っています。
ヨーロッパで最も美しい都市のひとつに数えられるクラクフは、1978年に世界遺産に登録されました。
ヴィエリチカ岩塩坑
廃坑になっていない岩塩坑の中では世界最古の塩の採掘場となるヴィエリチカ岩塩坑。現在は観光用に公開されるのみとなっていますが、年間100万人を超える観光客が訪れ、ポーランドを代表する観光地となっています。
地下には岩塩のみでできた聖キンガ礼拝堂や、様々な彫像など、当時の工夫達によって作られた神秘的な建造物が残っています。
マルボルクのドイツ騎士団の城
ヨーロッパ最大の城壁を誇る中世の要塞マルボルクは、13世紀にドイツ騎士修道会の本拠地として建設されました。中世には革新的とも言えるセントラル・ヒーティングの設備ややぐらを持った防壁など、当時の高度な建築技術を覗うことができます。城の内部には城塞博物館があり、かつて実際に使われていた武具などが展示されています。
カルパティア地方のポーランドとウクライナ領にある木造聖堂群
ヨーロッパに数多く存在していた木造教会のうち、代表的な教会群の一つです。16世紀から19世紀にかけて、カルパチアの山中に建設された木造教会は9件あり、聖パラスケヴァ聖堂や天使首聖ミハイル聖堂をはじめ、美しい外観だけでなく、内部にも独特の装飾が施されています。2013年に世界文化遺産に登録されました。
ザモシチ旧市街
貴族ヤン・ザモイスキ公が理想都市の建築を夢見て造ったザモシチは「ルネサンスの真珠」や「北のパドヴァ」などの異名をもつほどの美しい都市です。