ライター

高橋歩さんの「BELIEVE YOUR トリハダ」という言葉に影響を受け、自身も人の心を動かせる仕事をしたいと決心。サックスとジャズへの愛が止められず、メンフィスとニューオーリンズを訪れたことから旅に目覚める。好きなものはお酒といちご。

みなさん、こんにちは!TABIPPO編集部の阿部です。

今回は、12月4日にTABIPPOオフィス本社で行われたPOOLOの講義 「令和時代における「個人」のブランディング論」の様子をレポートします。

登壇者は、SNSマーケターの三川夏代さん、コラムニストのりょかちさん。ファシリテーターはTABIPPO代表の清水直哉さんです。※ゲストプロフィール詳細は、文末に記載しております。

そもそもPOOLOとは


POOLOのことを初めて知る方も多いかと思うので、簡単に説明すると、TABIPPOが今年3月に21世紀型のグローバル人材を育成するべく200名のメンバーを募集し、新しい学びの場としてオンラインとオフラインの両軸でコミュニティを作りながら、1年間を通して21世紀型のグローバル人材に育っていくというプログラムです。

詳細については、POOLO公式サイトをご覧ください。次期POOLOに参加してみたいなと考えている方はぜひ読んでいただけたらうれしいいです。

登壇者・三川夏代さん、りょかちさんの経歴


三川さんは、ファシリテーターの清水さんがTABIPPOの前に働いていた広告代理店オプトの後輩にあたります。2012年にオプトに入社して清水さんと同じ部署に入り、今年の5月末で退職されました。

現在はブロックチェーンを使ったドリームシェアリングサービス「FiNANCiE(フィナンシェ)」というサービスに携わっており、正社員として働きながら複業でデジタルマーケの支援をしており、3〜4社とお仕事をしています。

りょかちさんは某IT企業でPMとマーケティングを担当。一方で2015年からアップしていた自撮り写真でバズり、ネットニュースなどに取り上げられました。以前は「自撮ラー」と名乗っていましたが、今はコラムニストと名乗り、SNSカルチャーやユースカルチャーについてのエッセイを書かれています。

「ブランディング」が形成された最初のきっかけ


この日のテーマは「個人のブランディング」。まずは今の軌道に乗り、なぜ有名になったのか最初のきっかけをうかがいました。

りょかちさんが現在のブランディングを形成したきっかけは大きく2つ。1つ目は自撮りがバズったことで、これは完全なる偶然だったそう。

「当時の彼氏と水族館デート中に、その時流行っていたアプリで自撮りをしたら神のように盛れている写真が撮れたんです。それをウケ狙いで投稿したらどんどん拡散していきました」。情報が広まってくことに快感を覚え、「自撮り女子あるある」などのコンテンツを作るうちに取材されるようになったそうです。

もう1つのきっかけは、自撮りをテーマにしたブログを書いたこと。ただ単に「自撮りでかわいい女の子」という評価で終わるのではなく、自撮りであがってきた「りょかち」の知名度を利用して、学生時代から挑戦したかったライター業での自分の注目をあげたいという狙いで書きました。その文章が幻冬舎の方の目に留まり、はじめてのコラム連載のお話がきたのだとか。


三川さんが考えるりょかちさんのコラムの魅力は、世の中に求められている需要を察知する能力。りょかちさんは、それが自分がウェブでコラムを書く意味だと思っているそうで、読んだ人が共感してTwitterでリアルタイムに反応してくれるのがおもしろいといいます。

SNSを運用する人の中には、「バズりたい」と思っている人も少なくないはず。りょかちさんによると、バズることと、自分の好きなことで有名になっていくのとは分けて考えたほうがいいとのこと。

「バズって有名になっても、そこから、周りがウケるコンテンツばっかり気にして消耗して嫌になってしまう人もいます。何がウケるのかわかるようになって、そこから自分の作りたいものを探すのが第2のフェーズがあると思います」。

三川さんも同じく2つきっかけがあったそうで、1つはソーシャルメディア界隈が盛り上がろうとしていた2012年、オプト入社時に実名でアカウントを作ったこと。当時は会社の正社員で実名を公開する人が多くなく、SNSコンサルタントの認知が少なかったのでトレンドを作っていく形に。

もう1つのきっかけについて、ここ数年はSNSを「つながる場」として意識している点だといいます。発信すれば同じトピックが気になる人が集まってきて、仕事につながっていきました。

なぜお二人にはファンが多い?


Twitterで約2万人のフォロワーを持つ、ファシリテーターの清水さん。しかし多くのフォロワーを持っている理由は発信するコンテンツがおもしろいのではなく、イベントなどで数千人の前で登壇して単純に接する人が多いのが理由だといいます。

そこで疑問に思ったのが、三川さんとりょかちさんはなぜ「ファン」が多いのか。

Twitterを「つながるツール」として使う三川さんは、発信する内容も幅広く大きなテーマしか設けていないそうです。本人のツイートを見るのはもちろんですが、意外だったのは「いいね一覧」を見ているファンが多いということ。

清水さんは、発信するコンテンツよりも「三川さんの感性に惹かれているファンが多いのではないか」と分析します。

一方でりょかちさんは、「役立つこと」と「共感してもらえること」を分けててつぶやいているそう。「最初は役立つアカウントと思ってフォローしてもらって、そのあとりょかちを好きになってもらう。この人おもしろいなって思ってもらえるように、パーソナルな部分を見せたりします」と語りました。

SNSツールはどう使い分けするべきか


ここで参加者から出た質問は、「Twitter、Instagram、Facebookはどう使い分けているか」というもの。三川さんは誰に届けたいかによって使い分けており、Facebookはリアルな知り合いのみ、Twitterはオープンな場所だから「誰に届いてもいい」っていう前提で発信しているそうです。

noteを書く前にTwitterでつぶやいて、反応を見ることも。Instagramは拡散されにくいため、プライベートな内容が多いといいます。

りょかちさんはTwitterを「実験場」として捉えており、どういう反応がくるか試す場所として使っているそうです。Instagramは自分のログ(記録)として、長文書ける特徴を生かして自分の大事な気持ちと書いているのだとか。

マーケティングの観点から考えると、「本人が何をしたいかによって優先順位は変わってくる。人を巻き込みながらコンテンツを大きくしたいならTwitter、自分の世界観を見てほしいならInstagramの方が良いと思う」と三川さんは語ります。

りょかちさんが大事だと語るのが、「前提として自分が楽しいかどうか」。自分が好きじゃないことをしても、続けるのは難しいもの。結局途中で終わってしまう人がほとんどで、成功している人は「続いてる人」なので、自分にとって何が楽しいかが大事だといいます。

本業と副業のバランス


一見、フリーランスのような働き方をされているお二人ですが、会社に所属しながら個人の仕事をされています。本業と副業のバランスについて参加者から質問が出ると、りょかちさんは「これからも時間を許すかぎり会社員をやめたくない」と答えました。

理由として挙げたのは、会社とフリーランスとでは働き方が全く異なること。会社にいると大人数で議論をぶつけあいながらモノづくりをして、世の中に起きなインパクトを与えられる。

「フリーランスは自分がすでにできる仕事がくる場合が多いけれど、会社は自分を背伸びさせてくれる大きい仕事に携われる機会が多いから、成長・挑戦できる。今は副業できる会社も多いので、個人プレイを組織に生かす働き方が楽しいのではないか」とりょかちさんは語ります。


一方、三川さんは本職と副業の境目を意識していないそう。本職は1日数時間のコアタイムで握っているため裁量のある働き方ができるといいます。「副業をやることで、本職に何を還元できるかという視点が大事。外で仕事することで会社に還元できます!って明言して、実行できたらすごくかっこいいと思う」。

お二人に共通していたのが、個人の活動(副業)を本職(会社)に還元し、良い循環を作ること。もしもの時の保険として会社に所属するのではなく、個人がスキルアップして会社に還元するスタンスで仕事をするのが、理想的な働き方なのではと話しました。

未来のインターネットはどうなる?


ここ数年で、インターネットは急速に進化してきました。未来のインターネットについて三川さんは、リアルとバーチャルの間にある「ミラーワールド」が出来上がっていくのではないかと予想。「POKEMON GOのような、現実に属さないワールドが出来上がっていくと思う。ミラーワールドで違う仕事を与えられて、稼ぐ人も出てくるのではないか」と考えているそうです。

またりょかちさんは、「自分がインターネットと同化していく傾向にある」と分析。スマホがパスワードからタッチになり自分の身体で自分であることの認証ができるようになるのもその一例で、自分にネットが近づいていき、これからどんどん選択肢が増えていくのではと予想します。

清水さんによると、時代が変わっていく中でマーケティングに関しては「過去」を語る人が多いとのこと。その中で三川さんとりょかちさんは、未来を見据えながら今のネット社会を生きている。「ふたりの話を聞いていると、これからの時代を生きようとしていて、価値観を考えて向き合っていると感じる」と語りました。

令和時代の個人ブランディング

最後に、個人ブランディングをしていきたい参加者に向けて、メッセージを送りました。

三川さん「きっと30歳くらいで結婚や家庭など、仕事以外の人生の分野が入ってくると、考えることが多くて苦しくなる時がくると思う。自分らしく生きるにはどうしたらいいのかと考える視点が大事で、”働く”軸だけで考えるのはもったいない。自分はどういう風に生きたいのかと長い目で考えること、それがブランディングだと思う」。

りょかちさん「ブランディングは自分のためにすること。我慢してよく見せようとしても苦しくなってしまうから、楽しむのが一番。自分がどうやったら楽しめて、その楽しさを伝え続けられるのかを考えていくのが良いのでは」。

ゲストのご紹介


覗き見欲求で生きてる平成のファーストロット。 広告代理店にてSNSマーケティングに従事しながら、Webメディア「kakeru」の編集長を経験。パラレルキャリアとして、ブランディング戦略や新規事業サポートなども務める。 NHKニュース番組「シブゴジ!」やフジテレビ「ノンストップ!」出演、Twitter Japan「#はじめてのTwitter動画広告」のモデレーターも務める。
https://twitter.com/nach33


1992年生まれ。京都府出身。学生時代より、「自撮ラー」を名乗り、話題になる。現在では、自撮りのみならず、若者やインターネット文化について幅広く執筆。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎刊)。その他、朝日新聞、幻冬舎、宣伝会議(アドタイ)などで連載。 https://twitter.com/ryokachii

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高橋歩さんの「BELIEVE YOUR トリハダ」という言葉に影響を受け、自身も人の心を動かせる仕事をしたいと決心。サックスとジャズへの愛が止められず、メンフィスとニューオーリンズを訪れたことから旅に目覚める。好きなものはお酒といちご。

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