ライター
西嶋 結 ライター・編集者

出版社出身のライター・編集者。本の仕事をしています。これまで訪れた国は70か国ほどで、自分を驚かせてくれる街や国が好みです。有給休暇をフル活用して弾丸旅に繰り出すべく、筋トレに励んでいます。

みなさん、こんにちは!TABIPPO編集部の西嶋です。

今回は、12月10日にTABIPPOオフィスで行われた講義 「観光プロデュース論」の様子をレポートします。登壇者は「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」プロデューサーである詩歩さん、ファシリテーターはTABIPPOマーケティングチームの篠原輝一さんです。

そもそもPOOLOって?


POOLOのことを初めて知る方も多いかと思うので、簡単に説明すると、TABIPPOが今年3月に21世紀型のグローバル人材を育成するべく200名のメンバーを募集し、新しい学びの場としてオンラインとオフラインの両軸でコミュニティを作りながら、1年間を通して21世紀型のグローバル人材に育っていくというプログラムです。

詳細については、POOLO公式サイトをご覧ください。来年POOLOに参加してみたいなと考えている方はぜひこの記事を読んでいただけたらうれしいいです。

経歴のご紹介


詩歩さんは、みなさんもよくよくご存じの「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」プロデューサーとして、今まで6冊の書籍を出版されてきました。その数なんと、累計63万部にのぼるそう!

詩歩さんの最新刊は、『ダナン&ホイアン PHOTO TRAVEL GUIDE』。

ベトナム・ダナンは、羽田からLCCの直行便が就航するなど、話題の街です。「ストーリーがある街だし、風景がフォトジェニックなところも魅力です」と話してくださいました。詩歩さんが今のお仕事を始められたきっかけは、新卒で就職した広告代理店の新卒研修として、Facebookページ「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」を開設したこと。

あれよあれよとファンが増えていき、投稿に6万いいねがついたこともあったといいます。会社員2年目のタイミングで独立され、今年で6年目です。今年(2019年)6月には、10年間住んだ東京を離れ、京都に移住。地元浜松市の観光大使を務めたり、テレビ『行列のできる法律相談所』に出演したりなど、活動の幅をどんどん広げておられます。

Q. 絶景プロデューサーってどんな仕事ですか?


「絶景プロデューサー」という、詩歩さんのちょっと変わった肩書き。そのお仕事には、2つの側面があるそうです。

まず、詩歩さんご自身が表に立ってインフルエンサー的に活動するもの。もう一つは、観光産業のコンサルタントです。「写真家だけなく、コンサルタントだけでなく、その両方を併せ持った今の肩書きが一番しっくりきています。とはいえ、まだまだ模索中!」とお話しくださいました。

Q. どんな働き方をしてるんですか?


いつも旅をしているというイメージが強い詩歩さん。お忙しいはずなのに、いつ仕事をしているんでしょう?

2015年から2018年までは、月に1回は海外に行くと決めていたそうです。東京にいる間に集中的に仕事をこなしていたので、かなり忙しかったと話してくださいました。

旅を続ける理由は、常に最先端の情報を入手し、仕事に生かすため。「旅人としての感覚を鈍らせてはいけない」という信念のもと、プライベートでもどんどん旅をされているそう。プライベートの旅も、お仕事の一環なんですね!

Q. どうすればインフルエンサーになれますか?

「何より大事なのは、常に発信し続けること。発信の頻度が落ちると、フォロワーが減っていきますし、エンゲージメントも悪くなるから」と詩歩さん。また、自身のことを身近に感じてもらうこともポイントだそう。発信をすることで、詩歩さんご自身のパーソナルな部分も知ってもらうように努めているそうです。

最近詩歩さんが力を入れているのは、TikTok。「インフルエンサーになりたいなら、今からインスタを始めるのは遅すぎる。一方でTikTokなら、実績やアカウント開設時期にかかわらず、フォロワーが増えやすいのでおすすめです」とのこと。

Q. 写真を撮るときに意識してることはありますか?

詩歩さんが大事にしているのは、「誰でもマネできる写真を撮ること」「絶景の規模感がわかる、親近感のわく写真を撮ること」だそう。

「誰でもマネできる写真を撮る」の背景にあるのは、「私と同じところで絶景を撮ってほしい」という想い。詩歩さんだけの唯一無二の作品や、インフルエンサーだけが見られる絶景を撮りたいわけではないのです。

「絶景の規模感がわかる、親近感のわく写真を撮ること」の例として見せてくださった写真がこちら。

「紅葉、きれいだね」だけではなく、「紅葉のすぐそばを歩けるんだ!」「こんなに大迫力の紅葉なんだ!」と感じてほしい。また、詩歩さんが映り込むことで、景色に親近感がわくようにという狙いもあるそう。

また詩歩さんが海外を旅している写真からは、「女性ひとりでも行ける、治安のいい場所なんだ」ということが伝わります。素敵な写真を撮るために意識しているのは、次の4点だそう。

・人がいなくなる一瞬の隙を狙う
・絶景は下調べが9割!目の前の景色が一番美しく撮れる時間帯を知る
・画像検索やインスタを使って、撮りたい写真のイメージを固める
・自分が映り込むなら、目立ちすぎず差し色になる、ちょうどいい服を選ぶ

Q.なぜニット帽を被ってるんですか?


「自分が表に立って発信していくなら、トレードマークがあるとお得ですよ」と詩歩さん。詩歩さんがニット帽を愛用し始めたのは、会社員時代のこと。会社を抜け出してインタビューを受けるとき、丁寧なヘアセットをする必要がなく、手軽に旅人らしさを出せるアイテムとして、ニット帽がぴったりだったそう。

やがて「詩歩さん=ニット帽」のイメージが定着し、ブランディングに成功。詩歩さんと出会って10年ほどという篠原さんも、「ニット帽をかぶってない詩歩ちゃんはほとんど見たことないかも!」という徹底ぶり。

特に愛用しているのは、黄色のもの。写真に映り込んだとき、悪目立ちせず、差し色になる色です。また、背景が青空でも、森林でも、海でも、紅葉でもぴったり合います。(「ニット帽をかぶってないときは誰からも気づかれないので楽なんです!」なんて裏話も)

Q.観光誘致を考えるとき、気をつけた方がいいポイントはありますか?

絶景の課題は、写真を撮って帰ってしまう人が多いこと。もちろんこれは、絶景がある土地の方にとっては残念なことです。

詩歩さんが例に挙げてくださったのは、東京から2時間半ほどのところにある、美しい池。東京から日帰りできますし、池なので入場料も不要です。観光客が訪れても、地元にまったくお金が落ちないのです。騒音やゴミの問題もあります。いずれ、その池は立ち入り禁止になってしまうかもしれません。

地元にお金が回れば、警備員さんやガイドさんを配置でき、誰もがハッピーに絶景を楽しめるようになるでしょう。これからの観光を考えるにあたり、「サステナブルツーリズム」は、外せないキーワードだといえそうです。

ワーク:ハワイのこれからの観光戦略を考えてみましょう


最後に、参加者を小グループに分け、ハワイのこれからの観光戦略を自由に考えてもらいました。レポートでは、3つのグループのアイデアを紹介します!

・「ついでにハワイ」案
旅慣れた人は、ハワイを後回しにしがち。そんな旅人がアメリカに行くとき、ハワイを経由してもらうというアイデアです。ハワイ経由アメリカ本土行きは、比較的リーズナブルなチケットが見つかるそう。また、ハワイのほうが日本から近いため、身体的負担も軽減できます。ハワイとアメリカ本土を比べ、それぞれのよさに気づいてもらえるのではないでしょうか。

・「ワイハくん」案
TikTokでディズニーランドの清掃員さんが人気を集めていることに注目したこちらのグループ。「ハワイを活性化させる」を、「ハワイにたくさん観光客がいて、かつ、きれいな状態」と定義しました。とはいえ、「ハワイをきれいに」「ゴミはゴミ箱へ」と言われても観光客のテンションは上がりません。ゴミ箱を背負ったキャラクター「ワイハくん(仮)」をバズらせて、「ワイハくんの背中にゴミを捨ててみたい!」「ハワイに来たらワイハくんに会わなきゃ!」と思わせるというアイデアです。

・「タロイモボール」案
「ハワイでタロイモの農業体験」を観光の新定番にしてはと提案したこちらのグループ。「大学生向けに、農業体験で単位がもらえるようにしてもいいかも」なんてアイデアも。各グループのプレゼンを聞いた詩歩さんは、「旅行することで親近感がわきますよね」とコメントしてくださいました。「行ったことがある街で地震があれば心配になるし、その街でとれた野菜を見かけたらつい買いたくなる。そんな親近感のわく街を、世界中につくることが旅のゴールなのかもしれません」と話してくださいました。

詩歩さん、ありがとうございました!

ゲストのご紹介


1990年生まれ。静岡県出身。世界中の絶景を紹介するFacebookページ「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」を運営し、70万以上のいいね!を獲得し話題に。 書籍シリーズも累計63万部を突破、アジア等海外でも出版される。

昨今の”絶景”ブームを牽引し、流行語大賞にもノミネートされた。 現在はフリーランスで活動し、旅行商品のプロデュースや自治体等の地域振興のアドバイザーなどを行っている。静岡県・浜松市観光大使。

Facebookページ:「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」
Twitter:@shiho_zekkei
Instagram:@shiho0107
ブログ:「Shiho and…」

All photos by Yukari Yamazaki

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西嶋 結 ライター・編集者

出版社出身のライター・編集者。本の仕事をしています。これまで訪れた国は70か国ほどで、自分を驚かせてくれる街や国が好みです。有給休暇をフル活用して弾丸旅に繰り出すべく、筋トレに励んでいます。

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