ライター

ファッション系編集プロダクションでの勤務、事業会社の採用広報業務を経験したのち、フリーランスのライター・編集者として独立。ファッション、不動産、地域系メディア等にて取材・執筆(雑誌/WEB問わず)をおこなう。ファッションモデルとしても活動中。東京を仕事の拠点にしつつ、2023年春より地元・北海道との二拠点生活を続けている。

人としてのあり方・暮らし方の多様性が尊ばれる昨今。どんな人でも、その人らしくあることがもっとも素晴らしいことだ、と考える方が徐々に増えてきました。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大から、「今の暮らしって本当にこれで良いんだっけ?」と振り返り、自らの生活を見つめる機会が以前よりも多くなったように思えます。

4月15日(木)、新たな暮らし方を提唱するライフスタイルブランド「SANU」がリリースされました。“Live with nature.(自然と共に生きる。)” をテーマに掲げ、これまでの「暮らし方」が持つイメージにとらわれない自由なあり方を認めながら、確かな形にしていくブランドです。

ここでは、そんな「SANU」が見つめる、未来の姿にフォーカス。偶然にも日を続けてリリースされた、TABIPPOの次世代リーダー養成スクール「POOLO NEXT」にも講師としてご参加いただく、SANUファウンダー/ブランドディレクターの本間 貴裕氏にインタビューをおこないました。

聞き手は株式会社TABIPPO代表取締役・清水直哉氏(通称:しみなお)。両者サービスに共通するのびやかな信念を、ぜひお楽しみください。

本間貴裕
Backpackers’ Japan Co., Ltd.を創業し、toco.やNui.、CITANと言った人気ゲストハウス、K5などのホテルを多数手がける。現在はライフスタイルブランド「SANU」を設立し、広い意味での「暮らし」を伝え、「Live with nature. / 自然と共に生きる。」という新しい生活様式を提案すべく活動している。
清水直哉
TABIPPOの創業メンバーとして、旅への想いをさまざまな方に伝える。旅の力で世界を豊かにすることに人生を賭け、観光・旅行業界の未来を変えようと奮闘中。

“自分の純粋な「好き」を形にしてみたかったんです”

ーSANUのリリース、おめでとうございます!

本間さん

ありがとうございます。ずっとやりたかったことが形になってうれしいです。

「SANU」が4月15日、「POOLO NEXT」が4月16日、連日リリースとなったことを勝手に運命だと思っています(笑)。それに本間さんは、TABIPPOがずっと追いかけてきた“かっこいい大人の背中”なので、初めてじっくりお話できる今日の機会を楽しみにしていました。よろしくお願いします!

まず、「SANU」をリリースしようと思ったきっかけについて聞いてみたいです。

しみなお

本間さん

「SANU」をリリースしたきっかけは、大きく分けて2つあります。ひとつは、僕の生まれた場所・福島県 会津若松市の存在ですね。幼いころからずっと、磐梯山の近くで暮らしていて。小学校・中学校・高校・大学と、22年ほど福島に住んでいました。
なるほど。

しみなお

本間さん

暮らしのなかに「自然」があることを、当たり前だと思っていたんです。春や夏は湖で釣りをして。寒くなってくれば、カップラーメンをひとつ持ってスキー場へ。ずっと自然に囲まれた暮らしをしていたんです。

24歳の時に「Backpackers’ Japan Co., Ltd.」を立ち上げ、いくつかのホステルやホテルを手がけてきたのですが、ふと、もっと自然に入り込みたいなぁと思ったんですよね。

自然に入り込む。たしかに、本間さんが手がけてきた「Nui.」や「CITAN」などを見ると、ちょっとアーバンな感じがしますよね。シティっぽい、というか。

しみなお

本間さん

そうなんです。もちろんすべて納得したうえで作っていったし、個人的にもすごく好きな場所たちなのですが、もっともっと自然に入り込んだ事業もやってみたいな、って。一度離れたからこそわかる魅力があったんですよね。自然には。
なるほど。すごく勝手な意見なのですが、本間さんのこと、完全な「シティボーイ」なんだと思っていました(笑)。

しみなお

本間さん

いやいや、僕なんか田舎っぺですよ(笑)! 事実、東京に出てきたくなかったですもん。怖くて(笑)。

ただ、「福島でゲストハウスをオープンすること」と「東京でゲストハウスをオープンすること」を比べた際、圧倒的に後者の方がスタートしやすいなぁと思ったんですよね。僕らはいつもそれを「アリの行列」になぞらえて話すんですが。

アリの行列……?

しみなお

本間さん

アリの行列の真ん中に砂糖を置くのか、それとも、まったく違う場所に砂糖を置いて行列そのものをズラしていくのか、ということです。東京で始めたのは、まさに「真ん中」に置いたイメージ。

観光客の方がたくさんいる東京で、適切なプレゼンテーションをおこなってきたのが「Backpackers’ Japan Co., Ltd.」だと思っています。

本間さん

でも、「SANU」は違う。元々たくさんの人がいる場所ではない、都市ではないところで挑戦してみたかったんです。なんとなくそんなことを思っていたところ、のちの共同創業者となる福島 弦と出会って。もともとエネルギー系のコンサルの仕事をしていた人で、「Backpackers’ Japan Co., Ltd.」の役員も務めていました。

彼はいわば “大きく仕掛ける人” なんですね。面で仕掛ける、というか。一方で、僕は “小さく深く仕掛ける人” だと思っているんです。狭いけれど深く突き刺すようなイメージ。この二人が手を組めば、きっと大きなインパクトを残せるなと思ったのも、「SANU」を始めたきっかけのひとつです。

いわゆる “セカンドハウスサービス” じゃない。広い意味での “暮らし” を叶える場所。

ー「SANU」を手がけたきっかけについて聞いてきましたが、「ゆくゆく目指す未来」についてはいかがですか?

本間さん

「SANU」というブランドが目指すのは、いわゆる “シェアリングサービス” ではありません。“別荘” の考え方でもないんです。シンプルに自然の中で過ごすだけならば、月額〜〜円で他の家を持つのならば、それは「SANU」でなくとも叶えられるかもしれません。

私たちが大きく違うのは、“Live with nature(自然と共に生きる。)”という大きなコンセプト、理想の暮らし方に向かっていくために新しい生活のあり方を考え続け、わかったことを情報発信し続けるブランドである、ということです。4月15日にリリースした2nd Homeというのは、そのための手段でありメディアである、ということになります。

都会で過ごす日常のなかで、新聞を読んだりニュースを観たりして「自然環境問題について何かしなきゃ……!」とは思えど、結局「ペットボトルを買わない」や「ストローを使わない」などといった方法しか、今は貢献する方法が浮かびづらいんですよね。何かしたくても、どうしていいかわからない。そもそも自分ごととして自然を大事にしないと、という感覚を持つこと自体が難しい。

本間さん

僕たち「SANU」は、それを変えたいなって。空間と体験の持つ力を使って。「滞在」って、そこに数泊するなら数十時間もの間泊まってくれてる人に情報発信し続けられるんですよね。そのなかで、たくさんのプレゼンテーションができるんです。

長い時間を使って、“体感” の形で伝えることができる。そういう意味では、旅にも近いんだろうなぁと思いますよ。

僕も「SANU」のコンセプトを見たときに、これはTABIPPOのあり方とすごく似ているな、と思ったんです。「SANU」ほど具体的な形にはできていないにせよ、信念は同じだな、って。それは「当事者意識」の問題なんじゃないかなと思うんですよね。

しみなお

本間さん

うんうん。まさに。

僕らが旅を広めたい理由って、そこに尽きるんです。世の中のさまざまな問題に対して、“当事者” になってもらう。まっすぐに見つめてもらう。教科書やニュースを通じて目にするものでなく、事実を見てもらう。それこそが旅の醍醐味だと思っているし、そこではじめて「これは変えなくちゃ!」と気づくんですよね。

しみなお

本間さん

本当にそうですね。僕らが目指すのは、「より多くの人に自然を好きになってもらうこと」なんです。自然のなかでの暮らしを通じて、好きになってもらう。それがまずはスタートだと思っていて。

たとえば、恋をしてもらうような感じですね。恋人には幸せでいて欲しいじゃないですか。そして守りたいと考えるだろうし、そうなるためのアクションを起こしますよね。

それを、自然にも向けてほしいなって。「問題があるから」じゃなく、そもそも「資源」として捉えるのでもなく、ひとつの「相手」として好きになることが大切なんじゃないかと考えています。

これからは、“やさしい旅行” を見つめてみよう。

ー最後に、これからの「旅」や「暮らし」について聞いてみたいです。

本間さん

新型コロナウイルスの感染拡大によって、人々の生活が一変した事実はあれど、それはきっと「変化にドライブがかかった」のだと思っています。ワークスタイルで言えば、オンラインミーティングが、リモートワークが広がった。これらはただの「流行」ではなく、来るはずの未来が少し早く来たようなイメージだと思うんですよね。

僕たちTABIPPOも、新型コロナウイルスの影響はポジティブに捉えています。もちろん、事実として観光業界は大変なのですが、中長期的な目線で考えると、すごくチャンスに溢れているなと。

それこそ、2020年の春先はTABIPPOとしても仕事がガンと減ってしまい、ものすごく大変でしたが、いま改めて振り返ると社会は良い方向にシフトして行ったなぁと感じますね。みんなが「変わらなきゃいけない」と意識できた、というか。

しみなお

本間さん

もう、そろそろ「消費」に飽きるべきなんじゃないかな、と思っていて。都市部で溜めたストレスを旅行先やリゾートホテルでドーン!と発散するの、もう違うんじゃない? って。その結果、あれだけ綺麗だった海は物も言わず静かに死んでしまっているんですから。
うんうん。

しみなお

本間さん

もっと “やさしい旅行” を見つめなきゃいけないんです。旅先で消費者ではなく、生活者として在りたい。「暮らし」の部分ですね。

僕らも、それを課題のひとつだと思っています。僕らは「旅人を増やしたい」といった気持ちでずっと活動を行っているのですが、実質あまり増えていない。パスポートの所有率って、23%から10年以上まったく上がっていないんです。

その理由の1つは、旅がひとつの「レジャー」として捉えられてしまっているからだと思うんですよね。娯楽のひとつとして。払ったお金に対するコストパフォーマンスばかりがフィーチャーされてしまっていて。そこだけで考えると、正直、旅ってコスパ悪いんですよね。

しみなお

本間さん

でも、人生だから。
そうそう、そうなんです。

しみなお

本間さん

旅をするって、恋をしたり愛したりすることと同じですよね。恋や愛にコストパフォーマンスって要らないから。「対:人」でなく、「対:世界」で恋をすることなんだと思うんです。旅って。

だからこそ、「SANU」を通じて、あくまで旅のように身の回りの「自然」と恋をして、一緒に暮らしていってほしいなって。“Live with nature(自然と共に生きる。)” をテーマとして掲げていますが、本当は “Live as nature(自然として生きる)” なんですよね。僕ら「SANU」が目指すところって。

だからこそ、こうしたら楽しいよ、こうするともっと美しい自然に出会えるよ、と伝えていきたい。そんなリーダー像が求められていると思うし、きっと、「POOLO NEXT」の講義ではこういった話をするんだろうな、と思います。ちょっと無理やりつなげちゃったかな(笑)。

「POOLO NEXT」で話していただきたいこと、ほぼすべて網羅してくださった(笑)。ただ、きっとまだまだたくさんのお話が展開されるはず。

しみなお

本間さん

正直、まだ話し足りないぐらいです。講義のなかで皆さんにお伝えしたい内容をチョイ出しすると、「みんな、一年休もう!」 ですね。これについての詳しいお話は、ぜひ「POOLO NEXT」で。
ありがとうございました! ひとりの参加者としても、すっごく楽しみです!

しみなお

<SCHOOL DATA>今回のゲストが登壇する「POOLO NEXT」は、6/16まで参加者募集中!

POOLO NEXT」は、株式会社TABIPPOが運営する”2030年の観光業界を担う次世代リーダー養成スクール”のこと。参加者それぞれが本気で実現したいビジネスプランを、半年間の講義内で立てることがミッションです。(事業リリース記事はこちらからご覧いただけます)

今回の記事に出演したゲスト2名(SANU本間貴裕さん、TABIPPO清水)をはじめ、その他講師として登壇するのは、観光業界の第一線で活躍しているビジネスリーダーたち。宿泊施設や観光サービス、観光局を運営する豪華な講師陣から、リアルなビジネススキルを伝授してもらいます。

全12回オンラインで開講予定の授業や、受講生それぞれに手厚くバックアップするためのメンター面談などを経て、全スクール受講後に事業立ち上げを行えるよう、サポートしていきます。

<募集要項>
・応募期間:4/15(木)〜6/16(水)23:59
・開催期間:6/19(土)〜12/4(土)
・定員:50名
・参加費:通常プラン300,000円(税別)、特待生プラン 無料or50%オフ
・受講方法:オンライン
・公式サイト:https://poolo.tabippo.net/next/1st/

現在、上記の公式サイトにて受講生を募集中。TABIPPOと一緒に観光業界を盛り上げていきたい方、既に挑戦してみたい事業のプランがあるけれど、挑戦したことがなく悩んでいる方など、どんな方でもお気軽にご応募ください。

今回の取材地は、昨年オープンした人気ホテル「K5」

今回取材撮影で訪れたのは、ゲストである本間貴裕さんが同世代の仲間と共にプロデュースされた複合施設「K5」。東京・日本橋兜町に昨年2月ニューオープンした注目スポットです。

スウェーデンのデザインチーム「Claesson Koivisto Rune(クラーソン・コイヴィスト・ルーネ)」が設計した、洗練されたデザインのホテルの他に、ニューヨーク発のクラフトビールブランド「Brooklyn Brewery」の旗艦店、目黒にある「KABI」の新しいレストラン「CAVEMAN」、人気コーヒーショップの「SWITCH COFFEE TOKYO」などが集まっています。

また、薬膳メニューが楽しめる粋な空間のライブラリーバー「Ao」もおすすめ!

■詳細情報
・名称:K5
・住所:東京都中央区日本橋兜町3-5
・地図:
・電話番号:03-5962-3485
・公式サイトURL:https://k5-tokyo.com/

取材の様子はYouTubeでもチェックできます!

TABIPPO公式YouTubeチャンネルでも、本間さんとしみなおが話す様子を一部ご覧いただけます。ぜひ、チェックしてみてくださいね。

All photos by Shigeki Naganuma

ライター

ファッション系編集プロダクションでの勤務、事業会社の採用広報業務を経験したのち、フリーランスのライター・編集者として独立。ファッション、不動産、地域系メディア等にて取材・執筆(雑誌/WEB問わず)をおこなう。ファッションモデルとしても活動中。東京を仕事の拠点にしつつ、2023年春より地元・北海道との二拠点生活を続けている。

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