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帆志 麻彩 旅と暮らしの文筆家

小学5年生のときにオランダでみた運河の光が忘れられず、旅が人生の大きな軸となりました。これまで、旅メディアの編集、企業広告コピーや雑誌取材記事、ガイドブック制作などを担当し、2019年からは〈サステイナブル〉をテーマに活動。その他、詩の創作や旅の貼り絵など、好きなことをしながらゆるりふわりと過ごしています。好きな言葉はモンテーニュの「自分は自分のものである」で、憧れの人はターシャ・テューダー。著書に『本能のデザイン』(実業之日本社)。

身の回りにあるものを意識して観察してみると、世の中は驚くほどプラスチックの製品であふれています。スーパーに並ぶ食品を見ても、お豆腐や納豆、卵のパックにお菓子の包装など、プラスチックだらけ。特に日本では丁寧に包装されているものが多く、プラスチックが生活に根付いてしまっているように感じます。

レジ袋の有料化や紙製のストローが提供されるなど、近年ではプラスチックが及ぼす環境への影響に関心が高まっていますが、もし私たちが何も気にせずにこのままプラスチックを使い続けるとどうなってしまうのでしょうか?今回は、世界の海で起きているプラスチックごみの問題についてお話します。

海のプラスチックごみ問題ってそんなに深刻なの?

photo by shutterstock
プラスチックは安価で耐久性もあるのでとても便利な素材です。その反面、すぐに捨てられてしまう「使い捨て」が多いという問題があります。そして、その使い捨てられた多くのプラスチックが最終的に行き着く先、それが海なのです。

環境省の海洋ごみシンポジウム2016によると、少なくとも毎年800万トンものプラスチックごみが海に流出しているそう。数字だけを見ると大きすぎてピンときませんが、800万トンはなんとジャンボジェット機5万機相当!とにかくものすごい量だということがわかります。

さらに衝撃的なのは、2050年には海洋中に存在するプラスチックの量が魚の量を超過すると予測されていることです。あとたった30年で魚よりごみの方が多い海になってしまうなんて…。

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私たちが出したプラスチックごみによって、たくさんの海洋生物が傷ついてしまったり、病気になって死んでしまっているという報告もあります。

クジラの死体から大量のプラスチックごみが発見される例も世界中で増えていて、昨年もスコットランドの砂浜に打ち上げられたクジラの胃から100キロものごみが出てくるという悲劇が起きてしまいました。

こういったニュースを目にする度に、私たちは表面上の海を楽しむばかりではなく、その海本来の美しさとそこで暮らす生物たちを守ることも同時に考えていかなければいけないのだと強く感じます。

日本は何位?地球規模で広がる海洋汚染

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少し古いデータにはなってしまいますが、「陸上から海洋に流出したプラスチックごみ発生量(2010年度推計)ランキング」を見てみましょう。

1位中国(353万トン/年)、2位インドネシア(129万トン/年)、3位フィリピン(75万トン/年)、4位ベトナム(73万トン/年)、5位スリランカ(64万トン/年)、飛んで20位アメリカ(11万トン/年)、日本は30位(6万トン/年)と、その結果から東アジアが上位を占めていることがわかります。

東アジア海域はプラスチックごみ問題が特に深刻であると言われていますが、それを裏付けるランキングになっています。

人間にも影響を及ぼすマイクロプラスチックとは?

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近年では、海洋プラスチックごみが私たち人間にも悪影響を及ぼすのではないかと懸念されています。海に流出したプラスチックが時間の経過と共に劣化して「マイクロプラスチック」となり、それらを飲み込んだ魚などを通して、人間の身体に取り込まれていると言うのです。

マイクロプラスチックとは、5mm以下の微細なプラスチックのこと。海で小さくなったプラスチックごみだけでなく、洗顔料などに含まれるスクラブ剤やフリースなどの合成繊維衣料を洗濯することでも発生します。

そして、このマイクロプラスックは北極や南極でも観測されています。2014年にドイツの研究チームが北極で行った調査では、海水1リットル当たり最大1万2000個ものマイクロプラスチックが含まれていたことがわかりました。

まだ海洋生物や人体にどのような影響があるのかはっきりとしたことはわかっていませんが、自然分解されずに数百年以上残り続けるプラスチックが、食物連鎖によって多くの生物に取り込まれているという事実は誰もが知っておいた方がいいでしょう。

すぐにできるアクション

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これらの問題を受けて、各国の政府や企業がプラスチックを削減する取り組みを行っていますが、私たち消費者一人一人の意識を高めていくことも大切です。全員でプラスチックゼロを実現するのは難しいとしても、エコバッグやマイボトルくらいならできる気がしませんか?

他にも、お買い物をするときに過剰包装されているものは選ばない、食材を蓋付き容器で保存する、捨てるときにはきちんと分別するなど、すぐに取り組めることもたくさんあります。

プラスチックごみ問題は、すべての人の自分ごと

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これはプラスチックごみの問題に限ったことではありませんが、私たち消費者にできるのは「持続可能な選択」を意識して行動することです。レジ袋よりエコバック、ペットボトルよりマイボトル、プラ製ストローよりステンレスストロー。その小さな積み重ねが、この世界や自分自身、自分の大切な人を守ることに繋がっていきます。

TABIPPO.NETの読者の方は、旅はもちろん、海が大好きな人もきっとたくさんいるはず!これ以上美しい海が汚れてしまわないように、そして生き物たちが安心して暮らしていけるように、何か一つでもいいので自分にできることを見つけてみてくださいね。

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帆志 麻彩 旅と暮らしの文筆家

小学5年生のときにオランダでみた運河の光が忘れられず、旅が人生の大きな軸となりました。これまで、旅メディアの編集、企業広告コピーや雑誌取材記事、ガイドブック制作などを担当し、2019年からは〈サステイナブル〉をテーマに活動。その他、詩の創作や旅の貼り絵など、好きなことをしながらゆるりふわりと過ごしています。好きな言葉はモンテーニュの「自分は自分のものである」で、憧れの人はターシャ・テューダー。著書に『本能のデザイン』(実業之日本社)。

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