ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「Yahoo!ニュース ベストエキスパート2024」地域クリエイター部門グランプリなど。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

昨今のコロナ禍で、大好きな旅行にも行けなくなり、どうやって楽しみを見出そうか?と考えている人も多いことでしょう。余暇が生まれても時間を持て余してしまい、日々の生活にハリが出なくなっている人もいるかもしれません。

しかし、そんな今だからこそ、逆に新しい趣味へ手を出す良いチャンスだとも言えます。そこで今回紹介したいのはロードバイク!漫画とアニメ『弱虫ペダル』で一世を風靡した、あの乗り物です。

ハードルが高いと思われる方もいるかもしれませんが、実はこのロードバイクは、身近なところで”旅”要素を探すのに最適なツールなんです。マイクロツーリズムへ焦点が当たっている今だからこそ、ぜひ注目したい趣味の選択肢と言えます。

今回はロードバイクの魅力とおすすめのツーリングスポットをご紹介したいと思います。

生活の足ではなく、楽しむための自転車=ロードバイク


多くの人にとって自転車とは、近所のスーパーへ買い物に行ったり、学校までの通学に使ったりする生活の足でしょう。いわゆるママチャリと言われる自転車は日常使いするには、とても便利な乗り物です。

一方で今回紹介するロードバイクとは、オンロードの長距離を楽に、そして速く走ることに特化した自転車。いわゆるドロップハンドルと呼ばれる、独特の形状が特徴です。

この自転車を見ると「いわゆるレースに出る人向けで、一般的な乗り物でないのでは?」という方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら実は、昨今メディアの影響もあり、徐々にロードバイクの大衆化が進んでいます。


そして今や、

・自転車でお散歩=ポタリング
・自転車で出る旅=ツーリング
・自転車で美味しいものを食べに=グルメライド
・自転車で緩く走ること=ファンライド

といった楽しみ方へ幅広く派生しています。ここで言えるのは、レースではなく、次第に旅志向へと向かってきているということです。

素晴らしい景色を見たり、美味しいものを食べるためにロードバイクへ乗る!そういったスタイルが当たり前の時代になってきました。

ロードバイクを購入したら旅の始まりだ!


最初こそ10万円以上の初期投資が必要なロードバイク。そのため買う前からロードバイクを趣味にすることを諦めてしまう人が数多くいますが、それではとても勿体ない!

なぜならロードバイクは、自分の好奇心と行動力を後押ししてくれる、最高のツールだから。そして初めこそお金がかかるものの、長期的にみれば、大きく元を取ることができるのです。

実際に現在、トラベルライターとして活動している私が、良い例になるでしょう。今の私の旅スタイルも、自転車に出会わなければ生まれなかったと考えています。


例えば、ロードバイクを入手した時まずできることは、

・自転車で自宅から距離が30km以上離れたアウトレットモールへ買い物に行ってみる。・大学生の頃、電車で通っていた片道約25kmのバイト先へロードバイクで通勤。

・学校の講義の前に、近所の峠や山へひとっ走り行ってくる。

・ふと思い立ち、香川県小豆島へツーリングへ行ってみる。

そしてロードバイクで走ることに慣れてくると、

・1日で琵琶湖一周。

・自転車で五島列等を縦断。

・飛行機にロードバイクを積み込み(輪行)、夏季休暇やGWの9連休を使って東北や北海道へ旅に行く。

などと、ロードバイクを使いこなせば使いこなすほど、楽しみ方が飛躍的に広がっていきます。(上記は全て私の実体験です。)


そしてふと振り返ってみれば、いつの間にか日常の足から、旅の最高のパートナーに!まさに購入した時から、あなたの自転車に乗る冒険は始まるのです。

マイクロツーリズムの視点とベストマッチな「ロードバイク」


さて近年、コロナ禍により「マイクロツーリズム」(=近場の魅力を再認識し、気軽に旅行へ行くこと)が唱えられていますが、実はこの考え方に、ロードバイクという趣味はとても適しています。

例えば、ロードバイクは小回りが良いため、ふと気になるスポットに出会った時、すぐ立ち止まることができます。

また目的地を一つ一つ点として訪れるのではなく、線としてつないでいくことで、車で回る時には見逃してしまいがちな現地の意外な魅力を発見することも可能です。


そしてそれだけでなく、旅先で歩いている地元の人たちとの一期一会を楽しんだり、ふと何気ない道に心奪われたり、より旅先をディープに楽しむことができるのです。

また一度訪れたことがある場所でも、毎回違う旅を味わうことが可能!そういう意味でも、ロードバイクは「近場でも、何度か行ったことがある場所でも、実は様々な発見があるんだよ」という、マイクロツーリズムの魅力を気づかせてくれます。

一度は走ってみたい!国内のツーリングスポット4選

びわイチも部分的にも楽しい!滋賀県「琵琶湖」


言わずと知れた関西の定番中の定番のサイクリングスポット「琵琶湖」。一周約200kmを走り抜く、通称びわイチが盛んですが、体力が付いてくる前に、少しずつ部分的に走っても面白いのが嬉しいところ。

例えば、黒壁スクエアや彦根城、安土城のある歴史豊かな湖東エリア。またメタセコイアの並木路や海津尾崎、白髭神社などを有す湖西エリアは、美しい景色を眺めながら極上のサイクリングを楽しむことができます。


中でも一押しは春のシーズンの「海津尾崎」!湖岸道路一面に、ソメイヨシノが咲き誇り、ピンクと青の美しいコントラストが広がります。桜の間から覗く遊覧船も一興です。

誰でも楽しめるサイクリング王国!香川県「小豆島」


近年、豆イチとして、こちらも一周サイクリングが流行している香川県小豆島。高松・神戸・姫路・日生・宇野と非常に航路が多く、アクセスがしやすい離島です。

フェリーへ自転車はそのまま持ち込むこともできますが、専用の袋に入れる(=輪行する)と、自転車代を無料にすることができます。

小豆島は総じて坂が多く、距離を走ると中々体力が必要なのですが、島の中には見所がとても豊富なため、ツーリングだけでなくポタリングでも楽しむことが可能!


観光メインなら島の西側・土庄町周辺でエンジェルロードや迷路の町巡り、前島一周サイクリングが楽しめ、少し走りごたえを求める方は、南部の三都(みと)半島がオススメです。

ヤマロク醤油やMINORI GELATO、レストランUCHINKUなどグルメスポットも盛りだくさん。

誰しも一度は憧れる!サイクリストの聖地「しまなみ海道」


ロードバイクを購入したら、誰しも憧れるサイクリストの聖地「しまなみ海道」。自転車のみで縦断できる海峡は極めて珍しいことから、今や世界各国からも注目を集めており、日本を代表するサイクリングロードとなりました。

そんな「しまなみ海道」、フルで縦断すると約70kmあり、初心者にとってはややハードルが高いです。

しかしながら途中には旅館やゲストハウスが多く位置しており、1泊2日でツーリングを組めば、ロードバイクに乗り始めて1ヶ月という人でも走破することができます。


島の沿岸を走る道は快走路で気持ちよく、橋の上からは雄大な多島美も望めます!感動と達成感で心を満たしながら、自転車でしか味わえない道の上の冒険があなたを待っていることでしょう!

自転車でかけ上がれ国内最高標高!岐阜県「乗鞍スカイライン」


そして最後に紹介したいのは、中級者向けの内容になりますが、北アルプス「乗鞍岳」!

実は、岐阜県高山市から乗鞍スカイライン、長野県松本市から乗鞍エコーラインという道路が、乗鞍岳の頂上近く、標高約2,700m付近まで通じており、自転車で上ることができます

ポイントは”自動車では入れない”ということ。なんと環境規制で、入れるのは自転車と登山バス、タクシーのみ!自由に立ち入りが許可されているのは自転車のみなのです。


そのプレミアム感もさることながら、険しい坂道を森林限界(=木が生えなくなる高度)まで至れば、そこは雲の上。日本離れした景色が広がっています。

かなりの体力をつけることが求められますが、それでもロードバイクを購入したら一度は挑戦したいヒルクライマーの聖地です。

ロードバイクに乗って、冒険の世界を広げよう!


一見ハードルが高いと思われる「ロードバイク」。確かに金銭的にも、体力的にも関門があるかもしれませんが、それを乗り越えてでも余りある魅力があります。

特に、現在旅に行けておらず、日常で旅らしさを探している貴方!ぜひ一度一歩踏み出して、自分にしかできない近場の冒険へ出かけてみてはいかがでしょうか?

All photos by Yuhei Tonosyou

【特集】NEXT JAPAN TRAVEL – あたらしい旅、だいすきな場所。-


TABIPPO.NETでは、新しいスタイルでの国内旅行について特集しています。他の記事もぜひチェックしてみてください!
特集を見る

ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「Yahoo!ニュース ベストエキスパート2024」地域クリエイター部門グランプリなど。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

RELATED

関連記事