ワールドカップ開催により、身近な国になりつつあるロシア。2018年8月から、極東ロシアにおける電子ビザの適用地域が拡大されました。一方、いくつか注意点もあります。どうぞ、この記事を参考にして、ロシアに足を踏み入れてみましょう。
そもそも、ロシアの電子ビザとは
Photo by 新田浩之
まずはロシアのビザシステムについて説明しましょう。基本的にロシアに入国する際はビザが必要です。今まではどの地域を訪れるにしても、写真や書類を揃えて、大使館もしくは領事館に行く必要がありました。また、大使館へは持ち込みに限られていたので、とても面倒なものでした。
2017年8月、ロシアは極東地域にあるウラジオストクに限り、電子ビザを導入。電子ビザとはインターネットを通じて取得できるビザ制度のことを指します。つまり、家にいながらビザを申請することが可能になりました。電子ビザのルールは以下のとおりです。
・申請可能日は入国予定日の20日前~4日前まで
・電子ビザでロシアに滞在できる日数は最大8日間
・入国した地域内のみの移動に限られる(電子ビザで他地域へは移動できない)
・電子ビザにかかる費用は無料
・入国当日はスマートフォンでメールで送られてくる電子ビザ発給通知を国境審査官に見せればいいだけ
・従来のビザ申請で必要だったバウチャーはいらない
大使館に行く手間が省けただけでも、ずいぶんと便利なものに。しかし、電子ビザがスタートしたときはウラジオストク港とウラジオストク空港のみ対応していました。その後、鉄道や道路の対応アクセスポイントは増えましたが、空港は相変わらずウラジオストクに限られていました。
「早く、他の空港でも電子ビザに対応してくれないか……」そのように思った人は私だけではないでしょう。
電子ビザで行ける地域はどこまで広がった?
Photo by 新田浩之
2018年8月19日、電子ビザが使える空港が1箇所から5箇所に増えました。2018年9月現在、電子ビザが使える国境ポイントは以下のとおりです。
ここで多くの旅人に関係するのはウラジオストク空港、ウラジオストク港、ペトロパブロフスク カムチャツィキー港、ペトロパブロフスク・カムチャツキー(エリゾボ)空港、ハバロフスク空港、ユジノ・サハリンスク(ホムトボ)空港ではないでしょうか。
今回の措置により、ウラジオストク、ハバロフスク、サハリン、カムチャッカ半島などが電子ビザで行けるようになりました。ウラジオストクのみであった昨年と比べると、行ける地域が大幅に増えましたね。
電子ビザでシベリア鉄道には乗れるのか
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鉄道ファンならずとも、旅人のあこがれになっているシベリア鉄道。ウラジオストクからモスクワまでの9,000キロを超える列車旅は旅人を魅了し続けています。さて、電子ビザでシベリア鉄道を乗ることはできるのでしょうか。
答えは「NO」です。電子ビザを使ってシベリア鉄道に乗り、ウラジオストクからハバロフスクへ移動することはできません。「ウラジオストクやハバロフスクは電子ビザで入れるのに、なぜ」と思うでしょう。
先ほども書いたとおり、電子ビザは入国した地域内の観光に限られます。つまり、ハバロフスクから入ったら、ハバロフスク地域のみ可能。ハバロフスクから入って、ウラジオストクから出るということはできません。
勘のいい旅人なら「期間内にウラジオストク~ハバロフスクを往復すればいいのでは……」と思うかもしれませんね。残念ながら、これもできません。ロシア国鉄では車両に乗り込む前にパスポートチェックがあります。そこで、バレるでしょう。