12月から3月にかけて全国9都市+バンコクで開催される「BackpackFESTA」。12月16日のBackpackFESTA札幌では、プロ無職・るってぃさんのトークライブを予定しています。
今回は、TABIPPO.NET編集長の前田 塁との対談という形でるってぃさん流の旅についてお話をうかがいました。
るってぃさんってどんな人?
1991年石川県/金沢市生まれ。高校卒業まで金沢で暮らし、大学進学のため大阪へ。関西大学の商学部を卒業してます。
ファッションが大好きだったので、大手アパレルメーカーに就職しますが、つまんなすぎて10ヶ月で退社(2016年2月フリーランスとして独立)。
現在は東京を拠点に「プロ無職」という肩書きで当ブログや「エアログ」などのWebメディアを運営。クラウドファンディングで資金を集め、「スマホ1台旅」などの企画を作って発信することが大好きです。最近はYouTube活動にも力を入れてます。
前田塁ってどんな人?
photo by nochi kosho
1987年、大阪府生まれの三重県育ち。株式会社TABIPPOでWebメディア「TABIPPO.NET」の運用と開発が得意な編集長やってます。慶應義塾大学卒、ニューヨーク交換留学、大阪ガス、オプト勤務を経てTABIPPOを創業しました。
51ヶ国訪問、世界二周して、ワークライフカオスに生きてます。最近はWebメディアの仕事以外にも、コンサルやったり、ラジオのパーソナリティーしてますが、次の夢は宇宙飛行士です。
Twitter:@NY_ruisu
ブログ:Work Life Chaos
典型的なバックパックカーに抱いた違和感
前田 塁(以下、前田):今日はよろしくお願いします! るってぃさんと僕、実は名前が同じなんですよね。「塁」という珍しい名前。
るってぃさん(以下、るってぃ):よろしくお願いします! 珍しいですよね。僕の場合、由来は特になくて、母が「今っぽいから」というノリで名付けたようですが(笑)。
前田:名前以外にも共通点がありそうです。僕の初海外は、21歳のときのNY留学でした。るってぃさんもNYに留学されていたんですよね。
るってぃ:僕もそう。初めて海外に行ったのは、学生のときのNY留学ですね。
前田:僕の場合、三重の田舎から上京してきて、2~3年で先が見えてきてしまったんですよね。このままこんな感じで一生を終えるのかなと。そこで「東京と同じかそれ以上の都市ってNYかロンドンくらいだな」という理由で、大した目的もなくNYに留学することを決めたんです。
るってぃ:僕の場合は、学生のときに熱中していたダンスがきっかけです。留学中は、ダンスの大会に出場してアメリカ中を回っていました。そして帰国後、大学を卒業する前にアジア一周の旅へ。そのときに日本人宿(注:日本人が集まる宿)に泊まってはじめて、バックパッカーという人たちと出会いました。
前田:どう感じました?
るってぃ:「なんかつまんないな」と。僕が「クラブ行こうよ」と声をかけても、「お金がないから」と断られて。彼らは定番の観光地に行って満足しているようでした。ダンスをしている人に声をかけ、彼らの練習に参加していた僕には、そんな旅のスタイルが奇妙に見えした。そこで抱いた違和感があったからこそ、Airbnbの”暮らすように旅をする”というタグラインに感銘を受けたのかもしれない。
前田:僕たちは、旅のはじまりがちょっと変わっていましたよね。留学生は、どっぷり現地に入り込んで、現地の人と交流しながら生活します。一方、旅人は、深く入り込むことなく次に行ってしまう。時間もお金もないから仕方ないんですけどね。僕たちも、留学ではなくアジアへのバックパック旅がスタートであれば、それがスタンダードになっていたかもしれません。
るってぃ:基本的には、旅のおもしろさは本人が決めればいいと思ってます。でも、現地に入り込もうとするスタンスがないと、なかなか思ったような旅にはならないかもしれない。何を求めるかは本人次第だけど、とりあえずいっぱい旅して感じたうえで取捨選択してほしいと思う。
スタバに行くくらいのノリで旅をする時代がやってくる
前田:るってぃさんが「世界一周がどんどん当たり前になっていく」と書いているのを見て、若者に旅を広めるために活動している身として非常にうれしく思いました。今後、「旅」はどのように変わっていくと思いますか?
るってぃ:誰も彼も世界一周するようになると思います。「みんな世界一周してるし、他の人と差別化するためにどんな旅にしようかな」と考えるのが普通になるはず。旅という概念がなくなるとも思います。旅はただの移動になる。今後航空券はどんどん安くなるだろうし、近所のスタバに行くくらいのノリで海外に行く時代がくるはず。
前田:これからどんな旅がしたいですか?
るってぃ:僕はもう、「この国に行きたい」というのがないんです。興味の矛先が場所ではなく、そこに住んでいる人や、そこにあるコンテンツに向いているんですよね。旅のスタイルとしては、「よし、行こう」と決めたその日に旅立つのが好き。
前田:その日に!
るってぃ:最近は、行き先をフォロワーさんに委ねるのが楽しい。この前、台風で沖縄から帰れなくなってしまったことがありました。それをツイートしたところ、愛媛でブログをやってる女の子が「来ませんか?」と言ってくれ、その場でチケットを購入。そしてその翌日には福岡へ。こういう感じがいいですね。旅も全部不確実にしたいんです。
前田:海外では、“last minutes sale”というのがあるらしいんですよ。渡航先を決めずに空港のカウンターに行って、出発直前の空席を割引価格で購入するという。そんな旅ばかりしているバックパッカーも存在するらしいですよ。
るってぃ:「行き先を決めてから行く」ではなく「行ってから考える」というのは、ミレニアル世代特有の価値観らしいですね。起業してから考える、会社を辞めてから考えるという順番。インターネットがあるからこそできることですよね。
“経験値”を積んだ人が勝つ
前田:インターネットが浸透するなかで旅のスタイルも変わりましたよね。
るってぃ:だからこそ、今後はフィジカルな感覚、つまり五感の重要性が増すと思っています。VR技術の進化で自宅にいながら旅できるようになるだろうし、コスパ重視で旅しようという人も増えるはず。でもそんな人よりも、世界を旅して、リアルな感覚を持っている人のほうが強い。たとえば古着が好きなら、世界中の古着屋を巡って、古着のにおいや手ざわりを知っているほうが魅力的です。同様に、旅する中で危ない目に遭うこともまた、強みになると思います。
前田:その感覚、よくわかります。
るってぃ:僕自身、旅先で危ない目に遭ったり、数百人の前で即興ダンスしたりした経験があるから、インターネットで何を言われようとまったく気にならない(笑)。ブログは一発勝負のダンスと違って、何日もかけて準備できますしね。
前田:経験値がカギになるんですね。
るってぃ:ネットが便利になればなるほど、現実世界での経験値や自分の目で見たリアルな経験の価値が上がると思います。そもそもリアルな経験をしていない人は、発信する内容もないはず。スマホを盗まれるといったネガティブな経験ですら、全部発信のネタになりますから。