最近、よく耳にする「SDGs(エスディージーズ)」という言葉。「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、貧困や気候変動など、世界が抱えるあらゆる問題を解決し、持続可能な社会をつくるためのビジョンのことをいいます。

そんなゴールが世界各国で掲げられている今、私たちにできることは何なのか。「SDGs」について、TABIPPOは考えます。

小柳津林太郎に聞く、今の働き方

小柳津林太郎
1981年生まれ、京都府出身。幼少期をニューヨークで過ごす。慶應義塾大学卒業後、サイバーエージェントに入社。Amazonプライム・ビデオの番組「バチェラー・ジャパン」の2代目バチェラーに選ばれ、注目を浴びる。現在は、ビジネスと表現活動の両輪をハイブリッドサラリーマンとして邁進中。Twitter:@mcrin72 Instagram:@rinsta_gram1002

SDGsの17つの目標の一つに「働きがいも経済成長も」という項目があります。これは、持続可能な経済成長、それと同時に働きがいのある人間らしい仕事を進めていくというもの。

この目標の達成のためには、失業者数の増加を止め、誰もが安定した労働の機会を得られること、長時間労働を見直すこと、柔軟な働き方がしやすい環境を整備すること、ジェンダーの格差を解決することなど、さまざまな取り組みが必要で、考えるべき材料がたくさんあります。

今回のゲストは、Amazonプライム・ビデオの番組『バチェラー・ジャパン』の2代目バチェラーとして脚光を浴びた小柳津林太郎さん。

昨年サイバーエージェントを退職し、現在はサラリーマンに「新しいライフスタイル/ワークスタイル」を提示するオンラインサロン「ハイブリッドサラリーマンズクラブ」を運営したり、事業会社を経営したり、タレントとして活動したり、複数の仕事を掛け持つ「複業」を実践されています。

そんな小柳津さんが考える「働きがい」、そしてこれからの「働き方」について聞いてみました。

ーーなぜ、サイバーエージェントを辞められたのですか?

サイバーエージェントで、直近ではAbemaTVの仕事をしていたんですけど、バチェラーに出演して以降、メディアやイベント、広告の出演依頼が増えたんです。会社はすごく好きだったんですけが正直、「本業」と「副業」のバランスの取り方が難しいなと感じる部分もあったし、何より、自分の中で選択肢が増えたんですよ。

普通のサラリーマンとしてやる以外の仕事が見えてきた、という感じです。それで、芸能の仕事を進めるのか、自分で起業するのか、それともそのままサラリーマンとしてやっていくのか悩みましたね…。とことん悩んだので、「こんなに悩むぐらいなら、1回辞めてみようかな」とアクションを起こしました。

ーー会社を辞めた決断について、今はどう思いますか?

よかったと思います。悩んでいた部分がスッキリしました。

…もともと僕は学生時代に英語で演劇をやっていたんですが、社会人になる手前で、役者を目指すのか、ビジネスマンをやるのか考えていたことがあって。浪人も留年もしていたので、まずは社会人になってみようと、就活を始めて、前職のサイバーエージェントに入社しました。そこで、入ったからにはしっかりやろうと思って、自分なりに頑張っていましたね。

そんな流れもあったことから、会社を辞めるときに、役者でやっていくという選択肢も少し考えました。自分の人生経験がそのまま活きる仕事だし、大きなチャレンジだなと思ったのですが、役者として飯を食っていくには、少し時間がかかりすぎるなとも思って。やはり今はビジネスに集中しようという決断をしました。

僕は「バチェラーの人」という形でまとまるのがとても嫌でした。“オワコン化”するのは絶対だめだなと思っていて。「バチェラーの人」ではない次の新しい“タグ”を見つけなければ、と強く思ったんですよ。

それで、いろいろなご縁があって、会社の顧問を務めさせてもらったり、サイバーエージェントとも一緒に仕事をしたりしています。僕は、組織の中で働く人たちのことをすごく尊敬しているし、決して否定しているわけではないのですが、僕自身は自分のふんどしで生きていこうと思ったんです。

ーーオンラインサロンやYoutubeなどでも活躍されていますよね。どういう意図があるのですか?

これからは「個」の時代だと思うからです。自分がどういう人で、何に興味があって、どんな価値観を持っているのか。SNSなどを通じてきちんと発信することの必要性を感じています。自分のパーソナルメディアを育てて、ブランディングをして、自分の値づけができるようにする。組織の外にいようが、中にいようが、「個」としての立ち位置を確立していく必要があります。

終身雇用で一生安泰の時代はもう終わりました。運営しているオンラインサロン「ハイブリッドサラリーマンズクラブ」では、組織人としてやりつつも、“&”を見つける、色濃い“タグ”を増やしていく活動を実践しています。趣味でも副業でもボランティアでもなんでも良いんです。新しいタグ同士の掛け算で、新しい価値を生める人材を世に出していくことが目標です。

日本は人口が減少していく一方です。日本の経済成長を考えた時には、一人あたりが稼ぐ力を伸ばしていくしか術はないのではないでしょうか。いちサラリーマンとして、雇用主側に給与を決められる生き方ではなくて、自分で自分の値づけができる人材を増やしていかないといけないと思っています。

ーー読者の中には、働き方について悩んでいる人も多いと思います。アドバイスをください。

気のあう仲間のために働くこと、好きな人やもののために全力を尽くすこと。それが「生きがい」や「働きがい」につながると素敵だなと思います。

やりたいことがないと悩んでいる人もいるかもしれないけれども、まずは好きなことを追求してみたらどうでしょう。それがすぐに仕事につながるとは限らないし、むしろ仕事としなくてもいいけれど、きっと何か発見があるはずだと僕は思います。

***

「これからは「個」の時代」。そう小柳津さんは言いました。それは「組織(会社)を辞めるべきだ」という意味ではなく、組織の中にいようが、外にいようが、自分はどう生きるべきなのか、しっかりと自分で考えて、人生の主人公になろうという意味なのだと思います。

何かあったら会社が守ってくれる、大手企業にいれば安泰だという時代は終わりつつある…と思っています。一人一人が働きがいを感じながら、生き生きと仕事をするために。小柳津さんの言葉を借りれば、「&」や「タグ」を増やして、つなげて、選択肢を広げる必要があるのでしょう。

私の「&」は何だろう。私の「好き」は何だろう。まずは、焦らずに考えることが大切なのかもしれません。

All photo by Kazuna Hanada

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ライター
五月女 菜穂 ライター/株式会社kimama代表取締役

1988年、東京都生まれ。横浜市在住。1児の母。 大学卒業後、朝日新聞社に入社。新聞記者として幅広く取材経験を積む。2016年に独立し、ウェブや紙問わず、取材・執筆・編集・撮影を行う。22年4月、合同会社アットワールドを起業し、旅好きのフリーランスが集まるコミュニティ「@world」を運営。23年5月、編集プロダクションの株式会社kimamaを創業。世界一周経験者で、渡航歴は45カ国超。

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