編集部

こんにちは、旅を広める会社である株式会社TABIPPOが運営をしている「旅」の総合WEBメディアです。世界一周のひとり旅を経験した旅好きなメンバーが、世界中を旅する魅力を伝えたいという想いで設立しました。旅人たちが実際に旅した体験をベースに1つずつ記事を配信して、これからの時代の多様な旅を提案します。

この記事では、TABIPPOがつくりあげた最初の旅の本、『僕らの人生を変えた世界一周』のコンテンツをTABIPPO.netをご覧の皆様にもご紹介したいと考え、本誌に掲載している世界一周体験記を厳選して連載しています。

今回の主人公は、吉田有希さん(当時26歳)です。

「世界一周」。それは、誰もが憧れる旅。でもその旅、夢で終わらせていいんですか?人生最後の日のあなたが後悔するか、満足できるかどうかは今のあなたが踏み出す一歩で決まります。

そんな一歩を踏み出し、何も変わらない日常を生きることをやめて、世界中を旅することで人生が変わった15人の感動ストーリーをまとめました。

\この記事は、書籍化もされています/

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・吉田有希(当時26歳)/ 会社員 2007. 9 〜 2010. 5 / 700日間 / 50ヵ国

・世界一周の旅ルート

フィリピン→インドネシア→マレーシア→タイ→カンボジア→ベトナム→ラオス→ミャンマー→インド→ネ パール→フランス→アイルランド→ドイツ→スウェーデ ン→フィンランド→ラトビア→リトアニア→イタリア→ モナコ→スペイン→イギリス→エジプト→ウガンダ→タンザニア→ケニア→エチオピア→イエメン→ヨルダン→シリア→トルコ→ギリシャ→ブルガリア→マケドニア→アルバニア→モンテネグロ→クロアチア→ボスニア・ヘルツェゴビナ→セルビア→ルーマニア→デンマーク→ア ルゼンチン→チリ→ブラジル→パラグアイ→ボリビア→ ペルー→メキシコ→グアテマラ→アメリカ

 

土日のために、平日を頑張る会社員

「売れるまで帰ってくるな!」

「売れないのならお前の価値はない!」

罵声。けれど、そんな言葉はもう聞きなれた。僕は、普通のサラリーマンだったから。

会社に言われるがまま、数字に追われる毎日。だけど特に不満もなかった。サラリーマンである以上は当然。

(仕事って、そういうもんだ。お金って、こうやって稼ぐんだ)

土日のために、平日を頑張る。26 歳の冬まで、これが僕の人生だと思っていた。

 

世界一周に出た理由?きっかけなんて些細なもので。

「世界一周に行きたい」

パッケージツアーでしか海外に行ったことがない彼女(葵)が、 突然言い出した。

僕はというと、学生時代にタイへの一人旅を経験していた。

その時のカルチャーショックは本当に大きくて、空気の違いや、自分の周りに外国人しかいないことに ビックリした感覚は今でも覚えている。

 

(あの時の感覚を世界中で味わうことができるなら、 どんなにステキなことだろう?それを葵と二人でできるなんて、どんなにステキだろう?)

 

現実問題、いつ行くのがベストなのか?

何のリスクもないなら絶対に行きたい。

でも、社会に出てしまった今、リスクは絶対にあるわけで。

じゃあ、現実問題、いつ行くのがベストなのか?

退職してから老後にのんびり、でも体力的に…。

30 歳ぐらいで転職。そのタイミングもいいかもしれない。でも、30歳を過ぎたら葵が子どもを産むのも遅れるかな…。

 

なんてことを考えたら、結局は今すぐ行くことがベストのような気がしてきた。

(今だったら、多少社会から脱線してしまったとしても、 まだ取り返しがつくんじゃないか?)

(20 代で世界一周して、30 歳になった頃には子どもがいて。 それってめちゃくちゃ幸せなことなんじゃないだろうか?)

(僕が社会から外れようとも、とりあえず葵は一緒にいてくれるわけで、それでいいんじゃないか?)

 

考えれば考えるほど、僕は世界一周に前向きになった。

僕たちは、約束した。

「口座をつくって、1年後までに毎月二人で貯金していこう」

「もしも1年後、世界一周への熱が冷めてしまっていたら、そのお金で、二人の結婚式を挙げよう」

 

人生を賭けた新婚旅行へ

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photo by shutterstock

それから1年後。

僕と葵は籍を入れ、その日そのまま成田空港へ向かった。

 

出発の日、葵と葵のお母さんは、泣いていた。

僕も、それを見て泣いた。

葵が言った。

「お母さんが泣いているの、初めて見たかも」

もうやるしかないんだ。後戻りはできない。 人生を賭けた新婚旅行に、僕たちは大きな一歩を踏み出した。

 

「旅のテーマは、何にしよう?」

(ただ旅をするのもいいけれど、そこにテーマがあれば、 もっと充実したものになるかもしれないね)

僕たちは、世界一周に出るにあたって、話をした。

 

正直、帰国後のことが不安な部分もあったから。

何かに向かって一生懸命やっていれば、その先が見えてきて、 もしかしたら、それが帰国後の仕事に繋がるかもしれない。

 

試行錯誤の結果、僕たちのオリジナルTシャツを販売して、

その売上を現地で出会った人々のために使うことにした。

 

「Smile Earth Project」始動

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photo by pixa.jp

Tシャツは1枚 2,500 円。

原価が1,000円くらいで、送料なんかもかかるから、 利益は1枚あたり1,000 円くらい。

 

僕の想いが伝わった人にTシャツを買ってもらって、 旅中に関わらせてもらった方々のために、そのお金を使う。

学生の時、アジアを旅して見た物乞いの存在や貧富の差。

(自分にできることはなんだろう?)

ブログをつくり、そんな思いを伝えると、 たくさんの方々が僕たちのTシャツを買ってくれた。

そのお金を受けとった瞬間、「Smile Earth Project」 僕たちの世界一周の旅は始まったんだ。

 

タンザニアのフリースクールでは、黒板を。

インドの小学校にて、子どもたちの写真の大きなパネルを。

ウガンダの孤児院では、校舎の塗り替えをし、壁一面に世界地図を描かせてもらった。

 

始めてみれば、案外なんとかなるもの

分からないながらも、始めてみると案外なんとかなるもので、僕たちは、いくつかの場所で成果を上げることができた。

初めてTシャツの売上を使わせてもらったのは、 カンボジアの首都プノンペンにあるフリースクールだった。

このスクールには、1ヵ月間お世話になった。

 

やっぱり、最初はドキドキだった。

実は、僕たちにはボランティアの経験がなかったから。

そんなドキドキに気がついてくれたのか、 子どもたちから近づいてきてくれて、すぐに受け入れてくれた。

何ができるか分からない僕たちは、とにかく、

目の前の子どもたちと一生懸命遊ぶことから始めた。

 

そんなある日のこと。

 

カンボジアで、かくれんぼチャンピオン

僕は子どもたちにかくれんぼに誘われて、遊んでいた。

必死に隠れた。 なにせ小さな敷地だから、隠れる場所なんてほとんどない。

ものすごく難易度の高いかくれんぼだ。

僕が隠れたのは、大きな壺?ドラム缶?なんかそんな物の裏。意外と見つかるまでに時間がかかる。

 

「なんか臭いな、ここ…」

ふと臭いが気になった。

 

その瞬間、鬼に捕まり、かくれんぼは終了。

しかし、僕は見事、一番最後まで見つからなかったようで、 その日のかくれんぼチャンピオンになった!

 

その夜、先生とかくれんぼの時に感じた臭いの話をした。

 

先生「この学校は、トイレがないんだよね。我慢できない時は大家さんのトイレを貸してもらうんだけど、 子どもたちは気を遣う。

だから、男の子とかは壺の辺りでオシッコしちゃうんだよね」

僕「そ、そうなんだ」

 

(僕、トイレ代わりの壺のそばにしゃがみ込んでいたんだ…。 どうりで誰も僕を探しにこなかったわけだ)

 

先生「それでも子どもたちはそこで遊ぶから、衛生的にはよくないんだ」

僕「そうだよね。ちなみにトイレってつくれないの?」

先生「まぁ、つくれなくはないだろうけど…。」

僕「いくらぐらいかかるの?」

先生「150 ドルぐらいはかかってしまうね」

僕「え!150 ドルでできるの?!(Tシャツ15枚分じゃん)」

 

Tシャツ15枚分のトイレ

水道管の工事、便器の取り付け、手洗い用の水道、ドア、タイル、頼んでもいないのにシャワーまで!

大工さん付き(僕も手伝うこと条件)で、約 15,000 円。

 

Tシャツのお金を初めて使わせていただく喜び。

みんなが喜んでくれることを想像したら、嬉しくなった。

できあがったピッカピカのトイレに みんな、声をあげて喜んでくれた。真っ白な壁は、子どもたちの手形でカラフルに色づいた。

 

「またかんぼじあにあそびにきてください」

最終日は、もう本当に寂しくて大泣きしてしまった。

日本語で手紙を書いてくれた子もいた。

「ぼくはまだにほんごがじょうずじゃないです。

ゆうきさんとあおいさんともっとおはなししたいですから、 にほんごがんばります。またかんぼじあにきてください」

編集部

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