ライター
西嶋 結 ライター・編集者

出版社出身のライター・編集者。本の仕事をしています。これまで訪れた国は70か国ほどで、自分を驚かせてくれる街や国が好みです。有給休暇をフル活用して弾丸旅に繰り出すべく、筋トレに励んでいます。

70万人のファンを擁するFacebookページ「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」を運営し、書籍の累計販売数は60万部を超える詩歩さん。2018年9月10日、新刊『世界を旅するシンプル英会話50』を出版されました。今回はTABIPPO.NET編集長の前田 塁との対談という形で、英語と旅についてお話をうかがいました。

 

詩歩さんってどんな人?

「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」プロデューサー
1990年生まれ。静岡県出身。世界中の絶景を紹介するFacebookページ「死ぬまでに行きたい! 世界の絶景」を運営し、70万以上の「いいね! を獲得し話題に。書籍「死ぬまでに行きたい! 世界の絶景」シリーズを出版し累計60万部を突破。アジア等海外でも出版される。昨今の”絶景”ブームをけん引し、2014年は流行語大賞にノミネートされた。現在はフリーランスで活動し、旅行商品のプロデュースや企業とのタイアップ、自治体等の地域振興のアドバイザーなどを務めている。浜松観光大使。

Facebookページ:「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」
Twitter:@shiho_zekkei
Instagram:@shiho0107
ブログ:「Shiho and…」

 

前田塁ってどんな人?

前田塁ってどんな人?

photo by nochi kosho

1987年、大阪府生まれの三重県育ち。株式会社TABIPPOでWebメディア「TABIPPO.NET」の運用と開発が得意な編集長やってます。慶應義塾大学卒、ニューヨーク交換留学、大阪ガス、オプト勤務を経てTABIPPOを創業しました。

51ヶ国訪問、世界二周して、ワークライフカオスに生きてます。最近はWebメディアの仕事以外にも、コンサルやったり、ラジオのパーソナリティーしてますが、次の夢は宇宙飛行士です。

Twitter:@NY_ruisu
ブログ:Work Life Chaos

 

“正しい”英語を話すよりも大切なこと

前田 塁(以下、前田):新刊の出版、おめでとうございます! 今回の本の紹介をお願いします。

詩歩さん(以下、詩歩):ありがとうございます! 今回の本『絶景を旅するシンプル英会話50』は、6冊目の単著本になります。「絶景」をキーワードにしつつ私の経験を織り込んでいて、旅行で使うシンプルな英会話が学べる一冊になっています。

前田:詩歩ちゃんといえば絶景本だけど、どうして今回は英会話の本になったんですか?

詩歩:「英語の読み書きはできるけどしゃべれない」は日本人あるあるですよね。
私自身、英語の勉強は得意だったんです。でも19歳のときに初めて海外に行ってみると、全然しゃべれなくて。

前田:たしかに、よく聞く話ですよね。

詩歩:しゃべれないことに気づいてしまったものの、英語ができなくても海外旅行には行けますよね。25歳まではボディランゲージと簡単な英語を駆使して20か国ほど旅行をしていました。

前田:そのままでもよかったのに、英語を学ぶことにしたきっかけは何だったんですか?

詩歩:独立してこの仕事を始めたことがきっかけでした。英語が話せれば、コーディネーターさんをつけなくてもその国をもっと深く知ることができますよね。今のままじゃいけないと思い、留学を決意しました。

前田:留学はどちらに?

詩歩:2016年末にはカナダのトロントに2か月間、2017年末にはマルタ島に1か月間行きました。

前田:留学の成果はいかがでしたか?

詩歩:もちろん英語力はつきました。でも、留学や海外旅行を通して気付いたのは、正しい英語かどうかよりも、話し方や伝え方のほうが重要だということ。
それまでは「文法通りに話さなきゃいけない」「間違えちゃいけない」という固定概念があったのですが、実際はそうでもないですよね。文法が間違っていても、主語がなくても、指差せば伝わります。そういう工夫ができるようになってからは、十分に英語でコミュニケーションが取れていると思います。

前田:それはありますね。「英語が話せないから海外に行けない」という相談をされることもありますが。

詩歩:そうですね。「英語ができない=海外の絶景を見られない」という固定概念にとらわれている方もいらっしゃるように思いますが、最低限のことが表現できれば問題ないですよと伝えたい。

前田:その最低限が身につくのが、この新刊ですよね。

詩歩:そうです。最低限かつ、私が海外でよく使うフレーズだけを厳選しています。

 

英語=コミュニケーションツール

前田:詩歩ちゃんは、どんな言い回しをよく使いますか? 僕は、“Can I?”が多いかな。座席を指さして“Can I?”と言えば「座ってもいい?」になります。便利なフレーズですよね。

詩歩:私は”No~”かな。クレームを言うときに使う(笑)。シャワーの水が冷たいときには、”No hot water!“っていえば伝わりますよ。

 

『絶景を旅するシンプル英会話』より。絶景の写真とともに便利なフレーズが紹介されています。

前田:相手が英語ネイティブではないと、流ちょうに話すことでかえって相手を混乱させてしまうケースもありますしね。

詩歩:日本語で話すときも、主語述語がきちんとある文章ばかりじゃないですよね。「このバスは東京駅に行きますか?」よりも、バスを指さして「これ、東京駅……?」と言えばコミュニケーションが取れる。同じ人間ですから、本当に聞きたいことなら相手にも伝わります。

前田:たとえば詩歩ちゃんのようになりたい人なら、英語はもちろんのこと、カメラのスキルもあったほうがいいでしょう。詩歩ちゃんのファンの方は、やりたいことがいっぱいある、多忙な人たちだと思います。必要なことを効率よく学ぶことが重要だから、英語はシンプルなものを身につければ十分ですよね。

詩歩:そのとおり。英語はコミュニケーションツールにすぎません。キューバやロシアに行けば、英語は通じませんし。かまえすぎず、必要な部分だけを学べばいいと思います。

 

前田:同時翻訳ツールも出てきていますしね。最低限の英語力を身につけつつ、テクノロジーをフル活用するのが今どきのトラベラーだと思います。今回の本も、そうした人がターゲットになっているんでしょうか?

詩歩:そうですね。英語を勉強しようというやる気に満ちた人というよりも、絶景の写真を楽しみつつ、自分が使いそうな英語から学んでみようかな、という人におすすめしたいです。

前田:今回の本を見てみると、すごく使えるフレーズばかりです。旅の間に話す相手というのは、自分より英語が堪能というケースが多いですから、きっちりと話さなくても伝わるものです。バスターミナルのチケット窓口の人とかね。

詩歩:そう。今回の本に載せているのは、中学生レベルの簡単な英語ばかり。でもちゃんと伝わるんです。相手の言っていることがわからなくても、わからないというそぶりを見せれば言い直してくれますしね。

 

「逆光です」って英語で言えますか?

前田:コンパクトな本だけど、フレーズがたくさん載っていますね。制作に苦労したのでは?

詩歩:大変でしたね。特に苦労したのは、フレーズを50種類リストアップする作業。「普段どう言ってたっけ?」と思い返しつつ、2、3語で言える表現を見つけていきました。制作中に3回海外に行ったので、実際に使ったフレーズをメモしたりも。日本で生活していて、「これ、英語でなんていうんだろう?」と思ったものも取り入れています。「縦にして撮ってもらえますか?」「逆光です」なんて、意外と言えないのでは?

『絶景を旅するシンプル英会話』より、「フォトジェニックな1枚にするOne more step」というページ。
言えそうで言えない、一歩踏み込んだ踏み込んだ表現も紹介されています。

前田:これだけ実用的なフレーズを50種類挙げるのは本当に大変そう。

詩歩:ネイティブの監修者さんからもいくつか案をいただいたんですが、あまり使わないフレーズもまじっていて……。厳しくチェックしました。

前田:たとえばどんな“使えない”フレーズがありました?

詩歩:「紳士服売り場はどこですか?」とか。せめてカメラ売り場だろうと。

前田:(笑)。

詩歩:たとえば、「3つ買うから安くして」とか「(お土産に)割れないように梱包材をつけて」とか、意外と言えないですよね。嘘をつきたくなかったから、手を抜かず、使えるフレーズだけを集めています。

 

シンプルな英語ができれば絶景は楽しめる!

前田:これを読んでくれた人に、どうなってほしいですか?

詩歩:「英語が通じた! 楽しい!」という感覚を味わってほしい。その次のステップとして留学があると思ってます。

前田:最近思うのは、英語が話せないなら話せないなりの旅の楽しみ方があるということ。「できないけど、する」って、すごく楽しいことですよね。英語が話せないときの旅から、この本を使って「通じた!」という楽しさを味わう旅、最後にはまったく英語に不自由しない旅へと、その段階も楽しんでもらえたら。

詩歩:そうですね。英語ができれば間違いなく旅はスムーズになります。でも、英語ができなくても、できない楽しさがあると思います。

 

前田:この本は、どういう使い方をしてもらいたいですか?

詩歩:コンパクトなサイズ感なので、旅に持って行ってほしいですね。日本にいるときには、「絶景の写真を眺めようかな」と本を開いてもらえれば、英語がちらりと目に入り、自然と英語を覚えていけると思います。「行ってみたい絶景を探そう」というモチベーションでもいいから、気になるページから見てもらえれば。

前田: 1日1フレーズずつ、50日間かけて勉強してもいいかも。社会人だったら、ちょうど飛行機を予約してから出発までの期間くらいかな。

詩歩:この本に載っているフレーズ縛りで旅してもおもしろいかも。

前田:では、最後に読者にメッセージをお願いします。

詩歩:英語はツールであり、英語の習得が最終目標ではありません。「英語ができないから」と尻込みせず、ぜひ絶景を観に行ってほしいと思います。

今回の本には、絶景を楽しむために必要な、シンプルなフレーズだけを厳選して掲載しました。絶景の写真も載せているので、旅の準備として読んでいただいてもいいし、旅先を決めるために使ってもらってもいいと思います。絶景が好きな方はぜひ、読んでいただければうれしいです!

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text:西嶋結
photo:前田塁

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西嶋 結 ライター・編集者

出版社出身のライター・編集者。本の仕事をしています。これまで訪れた国は70か国ほどで、自分を驚かせてくれる街や国が好みです。有給休暇をフル活用して弾丸旅に繰り出すべく、筋トレに励んでいます。

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