ライター
多葉田 愛 セールスディレクター

国内外でまちづくりを手がけるUDS株式会社にて広報と新規事業の立ち上げを経験後、株式会社TABIPPOにて観光PRを担当。現在は福岡⇄東京の二拠点生活を送りながら、フリーランス広報ユニット「ふたり広報」を運営。

私にとって新しい景色を自分の目で見ることは、生きる意味と直結していると言っても過言ではありません。学生時代から旅をはじめ、世界40ヶ国、国内47都道府県を訪れました。

昨年20代最後の夏をヨーロッパで過ごし、今年30代最初の夏をどこで過ごそうかと考えた時に、「まだ知らない日本を旅すること」を心に決めました。しばし日常から離れて向かった先は、日本に5つある世界自然遺産。自然美・生態系・生物多様性などの評価基準を満たし、自然の本来の姿が維持されている貴重な場所です。

まだ出会ったことのない美しい自然に触れることで、新しい自分にも出会いたい。そんな想いで、世界自然遺産を巡る旅に出ました。

飛行機に乗り、最初に向かった先は北海道。植物も動物たちも生き生きとしている、初夏の知床で自然のパワーを感じます。

続いて、青森と秋田の2県にまたがる白神山地へ。広大なブナの天然林を自分の足で歩き、長年守られてきた歴史ある自然に身を浸します。

そして、東京の港からフェリーで片道24時間をかけて、この旅の最終目的地である小笠原諸島を目指します。そこには、わざわざ訪れる価値のある、素晴らしい景色との出会いが待っていました……!

雄大な海と山が織りなす絶景、北海道・知床へ

海から川、そして森へとつながる雄大な自然の営みを感じる北海道・知床へ。世界遺産に登録されている区域は、海を含めて約7.1万ヘクタールに上ります。北の大地で、生命の息吹を感じる力強い自然に出会うことができました。

まるで絵画のような美しい湖を巡る、知床五湖ガイドツアー


羅臼岳や硫黄山など知床連山を背景に原生林の中にたたずむ「知床五湖」。訪れたのは、ヒグマ活動期(5月中旬から7月末)だったため、「知床五湖登録引率者」からお話を伺えるガイドツアーに参加して、「地上遊歩道」を散策しました。

※知床五湖の散策には「高架木道」と「地上遊歩道」の2つのルートがあります。高架木道は開園期間中、ガイド無しでの利用が可能です。ダイレクトに自然に接するエリアを歩く、「地上遊歩道」をヒグマ活動期に散策する場合は「知床五湖登録引率者」によるガイドツアーへの参加が義務付けられています。


ガイドさんは、ヒグマの生息地に人間が“お邪魔している”という謙虚な気持ちが大切だとお話しされていました。熊と遭遇しないための工夫や、万が一遭遇した場合の対策などを学び、出発しました。ガイドツアーでは、湖の成り立ちや生態系についてお話を伺いながら、それぞれ趣が異なる5つの湖を巡ります。



湖の奥には山々が見え、息を飲むような美しい景色が広がっています。気持ちの良いそよ風が吹き、水面と木々の葉がゆらめいていました。

ツアーの最後には、現在植樹が進んでいる未来の森の一部を見ることができました。過去の営みが現在につながり、外来種による生態系のバランス悪化などの課題が残っていることも事実です。ですが、今の取り組みを未来につなげることもできます。この知床の自然が何世代も先により豊かに残る未来を強く願いました。

■詳細情報
・名称:オホーツク自然堂
・住所:北海道網走市中園267−14
・地図:
・営業時間:8:00〜18:00(開催時期によって異なるため、公式サイトをご確認ください)
・定休日:不定休
・電話番号:0152-46-2777
・公式サイトURL:https://www.jinendo.net/

ヒグマの生息地へ。知床半島クルージングツアー


続いて、知床ブルーと言われる美しい海を探索するクルージングツアーに参加しました。天然記念物のオジロワシや、野生のエゾシカなどに加え、運が良ければイルカやシャチ、クジラ、アザラシに出会うチャンスも。

中でも今回のツアーの目的は、陸地では遭遇を避けるべきヒグマを船の上から見ること。彼らの生息地「ルシャ」の近くまで訪れるため、遭遇確率は80%以上と言われています。船に乗り、海上からの景色を楽しみます。断崖絶壁を滝が流れ、海はどこまでも青く広がっています。


そして、1時間ほど経った頃、「ヒグマ発見!」の声が。双眼鏡を覗き込むと、確かにヒグマが海岸線を歩いています。


そこは漁師の方とヒグマが共存するエリアだそう。ただ恐れるのではなく、動物から自然を奪わずにどうやって共生するのか。知床で長く守られてきた自然を改めて考えるきっかけになりました。

青と緑の爽やかな知床の夏の景色に心が洗われました。次回は、流氷で覆われ一面白銀の世界が広がる冬の知床クルーズにもぜひ参加したいです。

■詳細情報
・名称:ゴジラ岩観光(知床半島クルージング<ルシャコース>)
・住所:北海道斜里郡斜里町ウトロ東51
・地図:
・営業時間:10:00出航 / 14:30出航
・開催期間:4月下旬~10月下旬(詳細は公式サイトをご確認ください)
・電話番号:0152-24-3060
・公式サイト:https://kamuiwakka.jp/

羅臼の海岸線をE-バイクで駆け抜ける

知床半島の東南側に位置する羅臼(らうす)町にも足を伸ばして、サイクリングを楽しみました。E-バイクをお借りした「羅臼アポロ石油」さんがお手製マップでおすすめしてくださった「クジラの見える丘公園」へ。


その名の通り、見晴らしのいい展望台からは、クジラやイルカが見えることがあるそう。双眼鏡を使ってくまなく海を眺めたものの、残念ながら見ることはできませんでしたが、海岸線から沖合いまでを1時間ほど観察すると、出会える確率は高いそうです。

続いて向かったのは、「羅臼国後展望塔」。坂道ですが、E-バイクの電動アシストのおかげで無事辿り着くことができました。


カラフルな屋根が見え、海のそばでの暮らしが感じられます。空と海が溶け合うような美しい景色に、思わず見惚れてしまいました。最後には「道の駅 知床・らうす」のソフトクリームを食べて、サイクリングを締めくくりました。E-バイクで風を切って海岸線を駆け抜けるひとときは、とても心地よかったです。

■詳細情報
■詳細情報
・名称:羅臼E-バイクレンタル(羅臼アポロ石油)
・住所:北海道目梨郡羅臼町船見町45
・地図:
・営業時間:7:30~18:30
・定休日:ー
・電話番号:0153-87-2203
・公式サイト:https://kanko.rausu-town.jp/pages/view/42

白神山地で、広大なブナ林と多様な植生を探索

青森県と秋田県にまたがる約13万ヘクタールに及ぶ広大な山岳地帯、「白神山地」。約3,000万年前の植生に近い原生的なブナ林が残っています。広い面積で残されたブナの天然林と豊かな生態系が評価され、屋久島とともに日本で最初の世界自然遺産として登録されました。

どこまでも広がる原生的なブナ林を歩く、白神山地トレッキングツアー


青森県弘前市から、車で約1時間。ブナ林散策道、暗門渓谷ルートの出発地点である総合キャンプ場「アクアグリーンビレッジANMON」から白神山地に向かいます。この日はあいにくの雨模様でしたが、レインコートを装備して、地元ガイドさんによる案内のもと安全に配慮してトレッキングを行いました。


雨音を聴きながら、幻想的なブナ林を歩いていきます。平均樹齢は250〜300年。自分が生まれるずっと前から続く自然を体感し、神聖な気持ちになりました。


雨水が樹木の幹を伝って流れ下る「樹幹流(じゅかんりゅう)」。雨の恵みを受けて、植物も生き生きとしています。雨の日にしか見ることができない特別な景色に出会うことができました。


樹木を雨水が滴り落ちる「樹幹流」
梅雨時だけあらわれる神秘的な植物、ギンリョウソウ
ガイドさんによる解説で、山や植物のことをより深く知ることができました。初めて見る自然現象や植物に夢中になり、あっという間の2時間でした。

■詳細情報
・名称:合同会社 白神山地ガイド会
・住所:青森県弘前市藤代1-12-1
・地図:(集合場所)
・営業時間:8:00-18:00
・開催期間:通年(詳細は公式サイトをご確認ください)
・電話番号:0172-55-0090
・公式サイトURL:https://www.shirakami-guide.com/

古代海水の天然温泉「鯵ヶ沢温泉」で、身体と心を休める


雨で冷えた身体を温めるために向かったのは、鯵ヶ沢(あじがさわ)温泉。「化石海水」と呼ばれる三十万年前の古代の海水が天然温泉となった貴重な温泉です。

海水を含んでいるため塩分濃度が高く、保温と保湿に優れ、湯冷めしにくい特徴があるそう。今回訪れた「鯵ヶ沢温泉 水軍の宿」には、船を模した露天風呂もあり、まさに海を感じながら温泉に浸かりました。


気軽に日帰りで立ち寄ることができ、露天風呂、熱湯、瞑想足つぼの湯、サウナ、さまざまなお風呂を楽しめます。旅の疲れも癒され、身体と心をフル充電することができました。

■詳細情報
・名称:鰺ヶ沢温泉 水軍の宿
・住所:青森県西津軽郡鰺ヶ沢町舞戸町下富田26-1
・地図:
・営業時間:8:00〜21:00(日帰り温泉)
・定休日:年中無休
・電話番号:0173-72-8112
・公式サイトURL:https://www.suigunnoyado.com/

「世界自然遺産センター藤里館」で、白神山地を学ぶ


青森県から秋田県へ移動し、白神の南麓にある白神山地世界遺産センター(藤里館)へ訪れました。


窓に大きく映る実物大のブナの木の写真が印象的です。様々な展示を通じて、白神山地の歴史や、四季折々の動植物について学ぶことができました。森を訪れる前後の時間で訪問することで理解が深まり、その貴重な自然をより楽しむことができるようになる場所です。

■詳細情報
・名称:世界自然遺産センター藤里館
・住所:秋田県山本郡藤里町藤琴里栗63
・地図:
・営業時間:通常 9:00〜17:00 / 冬季 (12-2月) 10:00〜16:00
・定休日:通常 火曜日 / 冬季 月・火曜日
・電話番号:0185-79-3005
・公式サイト:http://www.shirakami-fujisatokan.jp/

地元の方で賑わう食堂で、白神ラム焼肉を堪能


白神山地の南に位置する藤里町は、ラムが特産品。そこで「白神ラム焼肉」を地元の人で賑わう「田代食堂」でいただきました。

白神ラム肉は臭みがなく、手作りのタレとの相性抜群。ご飯が進む味付けで、満腹になるまで味わいました!

■詳細情報
・名称:田代食堂
・住所:秋田県山本郡藤里町藤琴家の後14
・地図:
・営業時間:11:00~14:00/17:00〜22:00
・定休日:土曜日、日曜日
・電話番号:0185-79-1519
ライター
多葉田 愛 セールスディレクター

国内外でまちづくりを手がけるUDS株式会社にて広報と新規事業の立ち上げを経験後、株式会社TABIPPOにて観光PRを担当。現在は福岡⇄東京の二拠点生活を送りながら、フリーランス広報ユニット「ふたり広報」を運営。

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