ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。トラベルライターとして寄稿した記事は2,000記事以上。 山岳雑誌『山と渓谷』掲載多数、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「Yahoo!ニュース ベストエキスパート2024」地域クリエイター部門グランプリ。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

こんにちは、トラベルライターの土庄です。いよいよ全国的に紅葉が最盛期というシーズンに入りますが、筆者が好んで足を運ぶ山のフィールドでは、すでに秋が終わりつつあります。山の秋は一瞬ですね。

しかしそれゆえに、秋ならではの絶景に出会えたときの感動もひとしお。そこで今回は、静岡県と山梨県にまたがる「毛無山〜竜ヶ岳」縦走をレポート!

富士山から伊豆まで見渡すパノラマと紅葉に心洗われる山旅となりました。

ふもとっぱらから登山!秋の情緒を楽しむ急登


登山口があるのは、富士山を望めることで有名なキャンプ場「ふもとっぱら」から車ですぐの場所。静かな樹林帯から登山スタートです。

タイミングは11月の2週目。紅葉は終わっているかも!?と思っていましたが、まだとても綺麗でした。


今回ご紹介するのは、静岡県と山梨県にまたがる天守山地「毛無山〜竜ヶ岳」の縦走ルート。雨ヶ岳を経由するので、通過する山頂は3つです。

累積標高差は約1,500m、距離は約12km。タフなコースとなっており中級者向きと言えるでしょう。


まずは毛無山(けなしやま、標高1,964m)を目指します。急登続きの前半こそ、最初にして最大の山場です。

標高を上げるにつれて秋の終わりを感じさせる道。寂しさの中に温かみも感じられる晩秋の情緒が心地いいです。木々の間に顔を覗かせる、透き通った青空が綺麗でした。

登り終えるとそこには、日本屈指の山々


登山口からガツンと標高を1,000m上げる前半には、しっかりとご褒美も用意されています。それが「富士山展望台」のパノラマです。

目の前には秀峰・富士山の姿が!どっしりと佇み、右手には駿河湾越しに伊豆半島までくっきりと見えていました。終始木々で遮られた道だっただけに、劇的に景色が変化した瞬間には、言葉では言い尽くせない感動があります。


急登に根気よく向き合って、ようやく毛無山・山頂近くの「地蔵峠」へ。ここまで標準コースタイム2時間半です。一番キツい区間は終わりました!

地蔵峠は完全に紅葉が終わっており、すっかり落ち葉の絨毯に。サクサクとした感触を踏みしめながら、一抹の寂しさとともに尾根道を歩いていきます。


山頂へ向かう途中には、南アルプスの山脈が望める展望岩も。すでに冠雪しており、早くも冬の訪れを感じさせます。

北岳〜間ノ岳〜農鳥岳(南アルプス一部)を歩いたときの思い出を振り返り、「4ヶ月前の自分はあの山並みを歩いていたのかぁ〜」と感慨深くなりました。

毛無山登頂!富士山横目のパノラマ縦走路へ


地蔵峠から約20分で「毛無山」山頂へ。山頂標識の先には、富士山が見事に顔を覗かせていました。

標高は2,000mに迫る、標高1,964m。太平洋の気候だからこそ、秋の終わりでもこれほど標高の高い山に登ることができます。

冬間近でも雪がなく、冠雪した富士山を望めるため、五湖周辺の山はおすすめです。


1座目の山頂へ辿り着きましたが、本番はここから。アップダウンは少ないものの、雄大な稜線を歩くロングトレイルが始まります。

常に富士山を横目に歩けるのは、この縦走コースならではの贅沢ですね。途中、持参したお昼ごはんをいただきながら、マイペースに進んでいきます。


風が笹原を撫ぜると、サラサラとなびいて、とても爽快。静かな道のなかに、秋の音や清々しさ、情緒を感じさせてくれます。

ベストシーズンと言えるタイミングに、こうした気持ちいい縦走路を歩けることは、登山愛好家にとってこの上なく幸せです。

登山の一期一会も。秋晴れに映える道を歩く


このコースのハイライトである「毛無山〜雨ヶ岳〜竜ヶ岳」の3座縦走区間。

もちろん富士山の雄大な景色もすばらしいのですが、青空とのコントラストも味わうことができました。

「このコースがおすすめな理由は?」と聞かれたら、「とにかく秋晴れの青空が美しかった」と答えたくなるほど、その瞬間瞬間がとてもフォトジェニックです。


木々の間に垣間見える青空や、パラグライダーが飛ぶ空に向かう上り坂。適度なアップダウンをテンポ良く進んでいきます。

雨ヶ岳(あまがたけ、標高1,772m)は中継地点なので、サラリと立ち止まりました。

ここで、毛無山のときからほぼ同じペースで歩いている2人組と仲良くなり、端足(はした)峠までご一緒することに。


2人ともカメラ好きということもあり、話に花を咲かせました。

ひとえに登山といっても、登るペースや楽しみ方が似ていると、即席パーティーが組まれることも。こうした一期一会も楽しいものです。

進むごとに近づく富士山。着実に距離を進んでいることを感じさせます。端足峠で2人組とはお別れ。登り返しで最後の「竜ヶ岳」を目指します。

縦走路の終着点は、山梨百名山・竜ヶ岳


個人的にもっとも好きな区間が「端足峠〜竜ヶ岳」。なかでも山頂までラストの山岳風情がたまりません。

笹原の稜線の先に、雄大な曲線美を描く富士山が。山から海まで一筆書きでつながる絶景がダイナミックに展開しています。


壮大な迫力に息を呑み、その奥行きに思わず引き込まれてしまいます。

山上から眺めることで、上にも下にも高低差を感じられ、一段と存在感の増した富士山のパノラマを楽しめますよ。

そんな秀峰を望むパノラマ縦走路の先に、「竜ヶ岳」の山頂が位置しています。


山梨百名山のひとつである「竜ヶ岳(りゅうがたけ、標高1,485m)」。毎年、12月〜1月にかけてダイヤモンド富士が見られることで有名な山です。

今回ご紹介した縦走路を使わずとも、本栖湖から3時間で往復できる手軽さから大人気!秋晴れの最高のタイミングの中、多くの登山客で賑わっていました。

紅葉色づく本栖湖。ロードバイクで登山口へ


名残惜しくも本栖湖へ下山します。ちらほらと彩る紅葉を眺めながら、淡々と下るコース。達成感を味わいつつ、サクッとこなしていきます。

本栖湖に着くと、湖畔を彩る紅葉を鑑賞しました。水面は秋晴れの空の青さを映し出しています。山頂だけでなく山麓でも美しい景色を楽しめるのが秋の醍醐味ですね。


そして最後にロードバイクが登場。じつはあらかじめ下山する登山口に仕込んでおいたのです。これでスタートの登山口まで戻ります。

朝霧高原を抜ける約30分のサイクリング!疲労は幾分あるものの、絶景を横目に、心も身体も解放された気持ちでした。

1日でこれほどの大冒険が楽しめる山のフィールド。「山が鮮やかに色づく秋にどこに行こうか?」と、毎年行きたい場所は尽きませんね。

■詳細情報
・名称:毛無山〜竜ヶ岳
・住所:静岡県富士宮市麓〜山梨県南都留郡富士河口湖町本栖
・地図:
・アクセス:富士ICから毛無山 麓登山口まで車で約40分
・所要時間:6〜8時間
・オススメの時期:秋(10月下旬〜11月中旬)

All photos by Yuhei Tonosho

ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。トラベルライターとして寄稿した記事は2,000記事以上。 山岳雑誌『山と渓谷』掲載多数、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「Yahoo!ニュース ベストエキスパート2024」地域クリエイター部門グランプリ。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

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