暑さで溶けそうなみかんです。
今日も今日とてフラフラと近所を散歩していて思ったのですが、旅に出るほど世界は面白いということに気づきます。
ここでいう世界とは海外のことではなく、あなたの身の回りにある、ありふれた風景のことです。たとえば見慣れた街路樹とか、通学・通勤路の景色とか、よく通りかかる路地裏とか。
いつもよりも少し見方や考え方を変えるだけで、今まで見慣れた世界がガラッと変わることがあります。今回は、あなたの何気ない日常がより面白くなる?かもしれない旅のスタイルをご紹介します。
「なんとなく」で旅する哲学
余白に浸る
旅において・人生において余白ってめっちゃ大事だと思っているのですが、それは前回の記事「旅は処方箋。”漂う旅”をとおして自分の心を取り戻す、あなただけの旅を」にも書いているのでそちらをぜひ。
余白ってなんでこんなに魅力的なんだろう?と考えてみたのですが、それは非効率で非生産的であるからだと思っています。この社会はいかに効率よく活動し、その中でいかに生産性をあげるのかが大事だという風潮が強すぎる気がします。
僕たち人間は社会の波に流されまいと必死にがんばったり、目に見えぬ競争の渦にぐるぐる巻き込まれては、思いがけずせまい世界に流されていることもしばしばです。
無駄だと思える時間を
どこかへ旅に出るとき、有意義な旅にしたいと「行くべき観光名所〇選」や「効率よく巡るルート」を調べてしまいがちなのもそうです。
しかし!!
観光名所や遠い異国を訪れることだけが旅ではないと思うのです。身近な風景やありふれた景色であっても、見方一つで、心持ち一つで思わぬ発見や気づきがあったりします。どんな場所でもこれまでとは違った世界がみえてくること、これも旅の醍醐味であると思うのです。
効率性や生産性だけでは旅を測れないのと同じように、人生だっていろんな物差しがあったっていいのです。立ち止まったり、ぼんやりしたり、寄り道をしたりしないと見えてこない豊かさだってある気がします。
身近な世界の豊かさに気づく
あなたが求めている答えは、もしかしたら余白の中でみつかるのかもしれません。
「なんとなく」に全振りしてみる
これも前の記事で書いていますが、旅なんて全部「なんとなく」でいいと思います。〇〇しなければならないとか、〇〇を考えなければいけない、なんてこともないのです。自分自身のために旅はあるので、まずは自分の心の声に耳を澄ますことから始めてみると良いのかもしれません。
出会いをむかえる準備をする
ふしぎなもので、「なんとなくこっちに行ってみよう」精神で旅をしていると、思わぬ出会いや発見があるものです。ふと目に入ったなんてことない風景がやけに印象深く心にささったり、ふいに考えもしなかったことが脳裏をよぎったり、雨どいをつたう雫が何かを訴えかけるように光ったり。
自分にとって光るものを
その景色はどれもあなただけのもので、観光ガイドブックには載っていないものである気がします。万人受けはしなくとも、あなたがどう受け取るのかにこそ意味があると思うのです。気負わず、考えすぎず、あなただけの時間を過ごしてみてください。
旅に出てみた
だんだん旅に出たくなってきたので、ふらっと行ってきました。
電車に揺られながらどうしようかと路線を眺めていたところ、「根雨駅(ねう)」というなんとも素敵な名前の駅があったので、なんとなく降りてみました。
根っこに雨
そばにあった図書館で、根雨の由来を調べてみることに。一説によると、干ばつが続いていた頃に雨を祈願したところ、たちまち雨が降り始め大地が潤ったという。その雨が草木の根を潤したところから「根雨」という地名になったそうな。
ふと外を見ると都合よく土砂降りの雨が降り始めたので、さっそく散歩に出かけました。
いつかにつながっている慈雨
お茶屋さんで抹茶をいただきながら雨音に耳を澄ますことも初めて。
グワッとのしかかる山が表情を変えていくのを見るのも初めて。
水琴窟の音色を聞いたその裏手で蕎麦湯を飲むことも初めて。
雨上がり後のせみ時雨の始まりを聞いたのも初めて。
あなたにとっての根や水はなにか
「なんとなく」でスタートして、目的もなくふらふらしていた旅ですが、結果としていろいろな初めての景色と出会う旅になりました。「自分らしく根をはるように生きていきたいなあ」とか「自分の人生にちゃんと水をやれているかなあ」などなどを考えていたのですが、これらの問いは「なんとなく」から生まれているような気がするのです。
おわりに
まだまだ自分の知らない世界はたくさんあって、その世界は以外にも身近にあふれています。「なんとなく」のアンテナをもって一歩外へ出れば、そこはもう別世界です。少し視点をかえるだけで、ありふれた世界が特別な世界に変わったりします。
あちこち歩きまわってみたり、立ち止まってみたり、のぞき込んでみたり、屈んでみたり。旅は人生の縮図のようなものだと思います。だからこそ、自分だけの旅をすることに意義があるのではないでしょうか。
雨宿りした書店で出会った詩集。「ゆっくりと生きなくてはいけない」
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