ライター
Yu Villegas 元パティシエ&日本語教師

娘二人が産まれてからも、旅は引き続き人生の生きがい。格安航空券を見つけては、週末旅に出かける日々。元パティシエ&日本語教師。旅で何よりも楽しみなのは、そこでしか食べられないローカルフードや地元の人々との交流。渡航国数34ヵ国。現在はワーホリ以来12年ぶりにドイツ滞在中。 インスタやブログでも旅情報を発信中。

唯一無二の美。世界遺産「アルカサル」

photo by Yu Villegas
イスラム・キリスト教建築の美を結集した、スペイン王室の豪華な宮殿「アルカサル」。1987年にユネスコの世界遺産に登録されたこの宮殿は、なんといっても繊細でエキゾチックな建築美が見ものです。

ヨーロッパを旅していると、どうしてもキリスト教建築を目にする機会が多いためか、一歩敷地に入った途端、「すごい!エキゾチック!今まで見たことのない美しさ!」と、しばらく放心してしまいました。

photo by Yu Villegas
1番の見どころは、14世紀に完成したペドロ1世の宮殿。イスラム教とキリスト教の建築様式をミックスした「ムデハル様式」で装飾されています。

ムデハル様式の特徴であるイスラムの繊細なモザイクタイルや漆喰細工、アラベスク模様の美しさに見とれてしまうこと間違いなし。

photo by Yu Villegas
こちらは、宮殿内の「大使の間」にあるドーム型の木製天井。この一面にイスラム建築の美がギュッと凝縮されています。

黄金の装飾の煌びやかさといったら……!私たちのほかにも、天井を見上げてじーっと見つめる人や、写真撮影をする人たちで賑わいを見せていました。

photo by Yu Villegas
そしてアルカサルといえば、この景色を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ペドロ一世の宮殿内にあるここ「乙女の中庭」は、アルカサルで1番の撮影ポイント。

当時の王ペドロ一世が強い憧れを持った、グラナダのアルハンブラ宮殿を模倣して造られたと言われています。

photo by Yu Villegas
個人的には、イスラム建築のこの繊細なアーチが魅力的。

時代の王たちによって増築が繰り返された結果、2階部分はルネッサンス様式の建築に。手すりや柱をよく見ると、イスラム式とのスタイルの違いや融合具合がわかっておもしろいです。

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こちらは、ペドロ一世の宮殿を出て少し歩いた所にある「マーキュリーの池」。神殿を思わせる建物に、タイルのカラーと自然の草花のコントラストが素敵です。

photo by Yu Villegas
アルカサルはセビーリャでも人気の観光スポット。入場ゲートは長陀の列でした。

予約制(30分間隔での時間指定)なので、事前にWebサイトでチケットを入手しておくことをおすすめします。

■詳細情報
・名称:アルカサル
・住所:Patio de Banderas, s/n, 41004 Sevilla, Spain
・地図:
・アクセス:カテドラル(Catedral)から徒歩3分
・営業時間:9:30~17:00
・電話番号:+34954502324
・料金:大人一名14.5ユーロ
・公式サイトURL:https://www.alcazarsevilla.org/

本場で見る情熱のフラメンコに涙

photo by Yu Villegas
セビーリャが、スペインを代表する「フラメンコ」の本場というのはご存じでしょうか?

フラメンコは、スペイン南部のアンダルシア地方で生まれた民俗芸能です。魂を震わせる歌声・ギター・踊りが一体となった、「情熱の国スペイン」のイメージそのものの伝統文化です。

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2010年にユネスコの無形文化遺産に登録され、近年日本での舞踊人口も増え続けているんだとか。

そこで今回は、セビーリャ中心部にあるフラメンコ博物館で観劇してきました。

こちらのショーは、17時、19時、20時45分~と比較的早めの時間に始まるため、夜遅くに出歩くのは不安という方や、小さな子ども連れの家族にもピッタリ。

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大きめのステージでのショーでしたが、観客椅子がステージをぐるりと囲む形のセッティングで、舞台が驚くほど近かったです。

ステージで踊るのは、現在スペインでもトップクラスの実力派ダンサーたち。なかでも、今回踊っていた女性ダンサーの技術、身体の動き、情熱的な感情表現と、力強い歌い手のコンビネーションは、今までに見たことのないレベル。涙が出るほどの感動体験でした。

photo by Yu Villegas
写真撮影禁止だったので、残念ながらセビーリャでのショーの様子は紹介できないのですが、かわりにマドリッドでのショーの写真を。

ショーの完成度とそれに見合わないお手頃すぎるチケット料金、本当におすすめです!

■詳細情報
・名称:フラメンコ舞踊博物館(Museo del Baile Flamenco)
・住所:C. Manuel Rojas Marcos, 3, 41004 Sevilla, Spain
・地図:
・アクセス:大聖堂から徒歩5分
・営業時間:11:00~18:30
・電話番号:+34954340311
・料金:大人25ユーロ、子供(6~12歳)12ユーロ、6歳未満は無料
・公式サイトURL:https://tickets.museodelbaileflamenco.com/

いつでもどこでもタパス三昧!


photo by Yu Villegas
「スペインに行ったら、バル巡りをして、おいしいタパス料理を楽しみたい!」。こんな夢を持つ方も多いのではないでしょうか。

日本でも人気のタパス(Tapas)。スペイン料理店の一種である「バル(Bar)」などで提供されている小皿料理のことで、さまざまな料理を少しずつ、お酒と一緒に楽しめるのが魅力です。

photo by Yu Villegas
セビーリャでも例にもれず、街中にバルがあり、どのお店に入るか迷ってしまいます。

下調べしてから行きたい方におすすめなのが、YouTubeでスペイン人カップルが運営するチャンネル「Spain Revealed」。

本当においしいお店のおすすめメニューをローカル目線で紹介してくれるのですが、とにかくどれもおいしそう!この旅では、彼らがおすすめするバルやレストランへ行きましたが、どこもハズレがなかったです。

セビーリャのおすすめバル紹介は「Seville’s MOST DELICIOUS Tapas!」で検索を!英語チャンネルですが、店情報はテロップで出てくるので、とってもわかりやすいですよ。

photo by Yu Villegas
さて、セビーリャのあるアンダルシア地方は、実は世界有数のオリーブの産地。バルに入ったら、まずはアンダルシア地方名産のシェリー酒とオリーブで乾杯するのがツウな楽しみ方です。

ちなみに私は、フラッと入ったバルで、人生ナンバーワンのおいしさのオリーブに出会ってしまいました。

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こちらは、「サルモレホ」という、この地方伝統のトマトのクリーミーな冷製スープです。トマトやオリーブオイル、にんにくなどの材料を、バゲットと一緒になめらかになるまで攪拌されているのが特徴。

今まで食べたことのない新感覚のスープで、とてもおいしい!ぜひ試してほしい、アンダルシア料理の一品です。

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もう一品、ぜひ試してほしいのが「牛テール煮込み(Rabo de toro)」。こちらもアンダルシア地方名物の料理で、セビーリャのバルでもよく見かけました。

ローマ時代から市民に愛されている伝統があるこの料理、トロトロに煮込まれたお肉は、口の中で溶けてしまうほど!

セビーリャでは、生ハムやトルティージャなどの定番メニューから、アンダルシア地方ならではのタパスも多々あり、どれも本当においしいんです。時間を見つけてはバルでタパス休憩をしたのもお気に入りの時間でした。

どこを切り取っても美しい下町の風景

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セビーリャは、スペイン第四の都市という大きさにもかかわらず、昔ながらのスペインの下町風情を感じられる美しい街。どのエリアを歩いても、どの小道を歩いても、とにかく写真映えのする絵葉書のような景色が続いています。

そんなセビーリャの良さは、のんびりぶらぶら歩きをすればするほど感じられるのです。

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小道からのぞく、旧市街の中心にある大聖堂の棟と、カラフルな花とタイルのコントラストが素敵。お土産屋さんの品ぞろえも、とってもおしゃれで可愛いものばかり。

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セビーリャは、こんなセピア色の建物が多くあり、窓先に飾られたカラフルな花々とのコンビネーションが絵になります。手すりや柵のデザインもおしゃれ。

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こちらはアルカサルの東側にひろがる「サンタクルス地区」。かつてユダヤ人が居住していた地域で、白い壁の家々が並び、他のエリアとはまた違った景色を楽しめます。迷路のように入り組んだ小道で、白い壁には花や陶器が飾られています。

セビーリャは、イスラム・キリスト・ユダヤ教の影響で、さまざまな建築様式が美しく調和している街。この宗教がミックスされた建築美は、ヨーロッパ内でもなかなか見ることのできない光景だと私は思います。

お互いの宗教を尊重し、お互いの良さを引き出しあう。そんなところがセビーリャの独特な景観をつくりだしていて、惹かれてしまうのです。

オレンジの木が生い茂る、世界遺産の大聖堂

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セビーリャ大聖堂は世界で3番目に大きい大聖堂で、1987年にユネスコの世界文化遺産に登録されています。完成までかかった期間は、なんと120年!

かつてはモスクだった建物で、ゴシック様式のなかにもイスラム建築の面影が感じられる、世界でも珍しい大聖堂です。

photo by Yu Villegas
セビーリャのシンボル、ヒラルダの塔。高さは104.1メートルあり、もともとはイスラム教の塔ミナレットとして使われていたものなんだとか。

塔の上は展望台になっていて、大聖堂内部から登ることができます。

photo by Yu Villegas
30階相当の階段をひたすらのぼると待っているのは、セビーリャの絶景!

セピア色の景色が、ただただ美しい。ちなみに正面に見えるのは、世界最大級の闘牛が行われる「マエストランサ闘牛場 」です。

街中にあるのに、自然とまわりの景色と調和しているのが不思議ですよね。

photo by Yu Villegas
大聖堂内部には、大量の金で塗装された木製祭壇やクリストファー・コロンブスの墓など、見どころがたくさんあります。

ちなみにこちらの大聖堂、祭壇中央にはキリストではなく聖母マリアが鎮座しているのも大きな特徴。まわりには200体以上もの聖人像が置かれており、まさに圧巻の光景です。


photo by Yu Villegas
私が行った春には、中庭に並んだオレンジの花のいい香りのなか、素敵な景色を眺めながら休憩できました。オレンジの実がなるシーズンにも行って、果実と大聖堂の景色も見てみたいなぁと思いました。

■詳細情報
・名称:セビーリャ大聖堂
・住所:Av. de la Constitución, s/n, 41004 Sevilla, Spain
・地図:
・アクセス:トラムT1号線 Archivo de Indias駅から徒歩5分
・営業時間:月~土は10:45~17:00、日曜は14:30~18:00
・電話番号:+34902099692
・料金:12ユーロ
・公式サイトURL:https://www.catedraldesevilla.es/

世界中の人を虜にするセビーリャ

映画の世界に入ったかのような、美しいセビーリャ。

年間で300日間が晴れという温暖な気候、異文化が共存してきた長い歴史あるこの街は、旅人を自然に受け止めるような、穏やかな雰囲気に包まれています。

いつかの旅の参考に、またこの記事で、セビーリャを身近に感じていただけたなら嬉しいです。

ライター
Yu Villegas 元パティシエ&日本語教師

娘二人が産まれてからも、旅は引き続き人生の生きがい。格安航空券を見つけては、週末旅に出かける日々。元パティシエ&日本語教師。旅で何よりも楽しみなのは、そこでしか食べられないローカルフードや地元の人々との交流。渡航国数34ヵ国。現在はワーホリ以来12年ぶりにドイツ滞在中。 インスタやブログでも旅情報を発信中。

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