ストックカングリ(6153メートル)の頂きへ
さて23:30になり時計のアラームが鳴って目を覚ますと、辺りは真っ暗。ベースキャンプのチームは夕食を作ってくれていました。今日は体を動かすためにエナジーが必要!登山前にこれでもかという程にお腹をいっぱいにしておきます。
登頂前に我らが登山ガイドスタンジンからサミットアタックに向けて、いくつか注意事項。
1:例え汗をかいて暑いと思ってもジャケットは脱がないこと、体を冷やす原因に。
2:頭痛や吐き気など体に異変を感じたら、手遅れになる前にすぐに知らせること。
3:ここから先は死のリスクもあるので、かならず登山ガイド(スタンジン)の言うことを聞くこと
スタンジンの真剣な表情に、今日ついに6153mの山の頂に立つんだという気持ちが高まってきて、いざ出発。
photo by Tomoya Yamauchi
真夜中に出発するのでヘッドライトを消してみると、満点の星空が空いっぱいに広がります。天の川までくっきり見えて「星ってこんなにたくさんあるんだー」と、感動のため息。
真っ暗なので周囲の景色は全く見えないし、どこを歩いているのかもわかりません。ただライトの光を頼りに、スタンジンについていきます。6月初旬のこの時期はまだかなりの積雪が。
徐々に夜が明けて、周囲の景色が見えてきます。周囲は雪を抱いた切り立った山々に囲まれており、心なしか空気も薄いような感じがしてきます。ここからついにアイゼンを装着。そしてロープを互いに結びクレパス地帯を越え、雪の積もった急斜面を登っていきます。
photo by Tomoya Yamauchi
どうやら岩場の隙間にも雪が積もっているらしく、たまに足がズボッと深く岩と岩の間にはまってしまうこともあり歩きにくい。そして5200mを越えるこの標高の高さで、斜面を上がるのはかなりのエネルギーを使います。
photo by Tomoya Yamauchi
少し登るとすぐに息が切れるので、「次はあそこまで登ろう」と目標を決めて徐々に登っていきます。
photo by Tomoya Yamauchi
あれ?どこからついてきたのかわからないけれど、後ろからは犬が追ってきます。なんでこんな場所に?謎だらけですが、標高5200mまで斜面を登ってついてきました。
photo by Tomoya Yamauchi
犬と別れ、ヘトヘトになりながらも、さらにさらに斜面を登っていきます。息を切らしながらもついにショルダーと呼ばれる5500mの地点までやってきました。
photo by Tomoya Yamauchi
しかし、ここでリコが後ろでかなり遅れています。どうやら体の調子が良くなく、少し吐き気も感じるらしい。スタンジンと相談して、リコはここから先は一緒には登らないことになりました。
この中で一番タフなリコなのに、ここでリタイア。高山症ってわからないものです。私はかなり疲れているのは間違いありませんが、頭痛や吐き気はまだ感じませんでした。
photo by Tomoya Yamauchi
この先はさらに危険な個所を登っていきます。「本当にこんな場所歩くの?滑ったら死ぬよね?」という感じの崖っぷちも歩いていきます。
photo by Tomoya Yamauchi
もう本当に数メートル登ったら一気に疲れる感じで、体がすごく重い。ひどくはないけれど、少しだけ頭痛のような症状を感じる気もします。しかし、周りの今まで見たことがないような、美しさを越えて神々しい景色を見ると、感動で今この場所にいる幸せを感じます。
photo by Tomoya Yamauchi
photo by Tomoya Yamauchi
雪がちらつく中、重い体に鞭を打ちながら頂上になんとか到達!やったー!標高6153メートルまできたー!ここまで到達できるか半信半疑だったけれど、達成できた!
いつも思いますが、できるかどうかわからない事に挑戦して、達成したほど気持ちいい時はありません。もう感動ですこし涙ぐんでた。ここまで連れてきてくれてありがとう!
photo by Tomoya Yamauchi
かなり寒かったので、頂上には少しだけ滞在して下山開始。登りで体力をかなり消耗したので、下りはすごくきつかったです。
翌日はレーに戻って、インドカレーとタンドリーチキンで頂上到達を祝いました。頑張ったぶんだけ好きなもの食べて飲んで。この挑戦は自分に誇れる良い思い出になりました。
おわりに
本当に6153メートルの山に登るなんて、行けるかどうか半信半疑でしたが挑戦して良かったです。本格的な登山装備も現地でレンタルできるので、現在登山道具を持っていない旅人でも挑戦できます。
誘ってくれたリコとソフィアに、ガイドをしてくれたスタンジンに感謝感謝です。この山は6000m級の山にしては、比較的簡単に登れる山らしいですが、かなりきつかったですよ!
ラダックに来て、何かに挑戦してみたい人は高所順応をしっかりして、ぜひともストックカングリに挑戦してみてください。感動すること間違いなしです。