ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞など。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

「水鏡(すいきょう)」という言葉をご存じでしょうか?その名の通り、水面がまるで鏡のように周囲の自然景観を映し取り、思わずうっとりと見惚れてしまうような絵画的風景を見せてくれる現象です。広義的には青空を映す水たまりなども含みます。

日本には本当に個性的な、そして色彩に富んだ水鏡世界があります。どれもアクセスはあまり良くないですが、そこに辿り着くまでが一つの冒険=旅。ゴールに広がる水面芸術は、訪れた者にしか見られない絶景で、言葉にできない感動をもたらしてくれます。

神秘の世界を見せる!日本各地にある山上の湖沼


国土の3分の2が山地に覆われている日本。世界的に見て、決して標高の高い山々に恵まれているわけではありませんが、四季の表情変化が本当に豊かで、ひたすらに美しい自然景観が根付いています。

それを象徴する場所は数多くありますが、今回その中でもフォーカスしたいのが「水鏡」です。


冬季、たおやかな山々の窪地にたくさんの雪が積もり、夏になっても溶け切らないその残雪が、豊かな湖沼を育みます。一つとして同じ顔のものはなく、周囲の山岳風景に溶け込んでいるのが特徴。水面には、春や冬の雪、夏の緑、秋の紅葉が映り込み、思わず絵画の中に迷い込んだような世界が広がります。

息を呑むほど美しい!日本各地の神秘の水鏡11選

今回はそんな日本が誇る「水鏡」スポットを全国から厳選して10つご紹介します。登山装備がなくても行ける場所を初級、必要な場所を中級として扱いたいと思います。

【北海道】道内有数の絶景!美瑛・神秘の水鏡「青い池」(初級)


北海道における水鏡スポットの代表格といえば「青い池」でしょう。十勝岳から注ぐ美瑛川本流に築かれた堤防のため池で、Apple社のOSの壁紙として使用されてから、一般的に認知されるようになりました。

ミルキーブルーの池には、カラマツの立ち枯れが埋没し、それが美しい森と一緒に水面へ幻想的に映り込みます。”神は細部に宿る”という表現にふさわしく、細部を凝視すれば、繊細な水面下の世界を楽しめます。

■詳細情報
・名称:青い池
・住所:北海道上川郡美瑛町白金
・地図:
・アクセス:美瑛市街から車で約20分
・所要時間:1時間
・オススメの時期:夏と秋、人が少ない早朝がオススメ

【北海道】知床最高峰!雄大な羅臼岳を映す「三の沼」(初級)


北海道の世界遺産・知床半島。オホーツク海・根室海峡という雄大な海から、本州でいう標高3,000メートル級の気候を誇る知床連峰まで、原生的な自然がそのまま残っている稀有な地です。

「三の沼」は、その知床半島を横断する知床横断道路(知床峠)の途中からアクセスできるスポット。知床の地形と残雪がもたらした秘池です。

小さな池ですが、知床の隔絶した自然に囲まれ、雄大な羅臼岳(らうすだけ)を映す佇まいは圧巻!緑と青のコントラストもたまらない、ただひたすらに絵になる眺めです。

■詳細情報
・名称:三の沼
・住所:北海道目梨郡羅臼町湯ノ沢町
・地図:
・アクセス:・登山口まで ウトロバスターミナル / 羅臼バスターミナルから羅臼湖入口までバス。車を知床峠に止めた後、徒歩約30分。入山後 往復徒歩約1時間。※11月上旬〜4月下旬まで道路が冬季閉鎖。
・所要時間:1時間
・オススメの時期:夏

【秋田県/岩手県】宝石の湖沼に見惚れる!天空の楽園「八幡平」(初級)


岩手県と秋田県にまたがる日本百名山・八幡平(はちまんたい)は、東北を貫く奥羽山脈の中でもなだらかな地形を呈しているのが特徴です。また奥羽山脈は、日本屈指の豪雪地帯でもあるため、結果として山上に豊かな湖沼が育まれます。

八幡平アスピーテラインの最高所・見返峠からハイキングコースへ足を踏み入れれば、そこはまさに別天地。青空を幻想的に映し出し、サファイヤ色の八幡沼が待っています。標高的に、すでに森林限界を迎えており、空に手が届きそうな世界観も特徴です。

■詳細情報
・名称:八幡平
・住所:岩手県八幡平市細野
・地図:
・アクセス:鹿角八幡平IC・松尾八幡平ICから車で1時間半。※11月上旬〜4月中旬まで道路が冬季閉鎖。
・所要時間:3時間
・オススメの時期:夏

【新潟県】頸城山塊の別天地!火打山「天狗の庭」(中級)


北信濃から北陸にまたがる頸城山塊(くびきさんかい)。「天狗の庭」とは、そのうち最高峰の火打山(ひうちさん)へ行く途中にある湿原。高山植物の宝庫であり、”地上の楽園”と称される、隔絶した地です。

笹ヶ峰登山口より往復15キロメートル近くあり、初心者には少しハードルが高いものの、訪れれば期待に違わない世界が広がります。湿原の池に、逆さ火打山が幻想的に映り込み、特に草紅葉が最盛期を迎える10月には、池の周囲を鮮烈に彩ります。

本当に天狗でも住んでいそうな神仙を思わせる絶景は、登山愛好家を魅了してやみません。

■詳細情報
・名称:天狗の庭
・住所:新潟県妙高市
・地図:
・アクセス:妙高市街から笹ヶ峰登山口まで車で約1時間。登山口から天狗の庭まで、徒歩片道約3時間。※11月中旬〜4月下旬まで道路が冬季閉鎖。
・所要時間:30分
・オススメの時期:秋(9月下旬〜10月中旬)

【長野県】緑美しい絵画風景!幽寂閑雅の「御射鹿池」(初級)


日本を代表する水鏡として知られる「御射鹿池(みしゃかいけ)」。有名な日本画家・東山魁夷(ひがしやまかいい)氏の作品『緑響く』のモチーフになった場所でもあり、多くの人にインスピレーションを与えて続けています。

特筆すべきは、その作品名からもわかるように、色彩を鮮やかに映し出す水鏡。細部まで輪郭がくっきりと、繊細に表現する佇まいは、まさに水面芸術と言っても過言ではありません。

緑美しい夏がおすすめですが、周囲のカラマツ林がオレンジ色に染まる紅葉シーズンも一興です。

■詳細情報
・名称:御射鹿池
・住所:長野県茅野市豊平 奥蓼科
・地図:
・アクセス:茅野市街から車で約30分
・所要時間:30分
・オススメの時期:夏と秋(10月下旬〜11月上旬)

【長野県】秋から冬の三段紅葉!ダイナミックな戸隠「鏡池」(初級)


北信濃の山間部に位置する戸隠(とがくし)。戸隠神社に象徴されるように、自然と神話、信仰が三位一体で結びつき、独特の雰囲気を醸し出しているのが特徴です。「鏡池」は、そんな戸隠が誇る絶景スポット。

神話・天の岩戸が飛来してできたといわれる戸隠山を正面に、迫力抜群の山塊と、美しい樹林が映り込みます。中でも紅葉の時期が格別で、運が良ければ紅葉と冠雪を一緒に望めることも!霧が発生すれば、幽玄さも加わり、ただひたすらにうっとりするような情景が演出されます。

■詳細情報
・名称:鏡池
・住所:長野県長野市戸隠
・地図:
・アクセス:長野市街から車で1時間弱
・所要時間:30分
・オススメの時期:秋(10月中旬〜11月上旬)
ライター
土庄 雄平 山岳自転車旅ライター|フォトグラファー

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤めながら、自然や暮らしに一歩踏み込む、情報発信に精を出す。 山岳雑誌『山と渓谷』へ寄稿、「夏のYAMAPフォトコンテスト2020」入賞、「創業110周年記念 愛知銀行フォトコンテスト」最優秀賞など。山での活動をライフワークとし、学生来、日本全国への自転車旅を継続している。

RELATED

関連記事