旅に出る理由を聞かれたとき、その地ならではの「食」を楽しみたいという方も多いだろう。
ガイドブックに掲載された人気店に立ち寄ったり、旅館の夕食でこだわりの郷土料理に舌鼓を打ったり。地域の食に出会うことは、地域の文化に出会うことでもある。
ただ、それが時には経済的にも心理的にもハードル高く感じることがある。もっと気軽に、手軽に現地の食を味わいたい。さらには、いいものがあればお土産に買って帰りたい。そこでおすすめしたいのが、地域独自で展開するご当地スーパー(ローカルスーパー)だ。
今回は、筆者が旅先で必ず立ち寄ると決めている、ご当地スーパーの魅力を紹介したい。
見出し
ご当地スーパーって?
飲食店が閉まっていた夜、ご当地スーパーが開いているとほっとする
食品や生鮮食品を中心に、多様な商品を取り扱うスーパーマーケット。こだわりの調味料探しに精を出したり、ちょっと休みたい日に手ごろなお惣菜を見つけて安堵したり。「庶民の味方」として、今や日々の生活に欠かせない存在だ。
それゆえ、「日々食べているものは他の地域にもある」と思いがちだが、一度、旅先のスーパーに入ればそれは幻想であることに気付く。「いつも使っているソースが売っていない」と衝撃を受ける場合も多い(ちなみに神戸出身の筆者は「どろソース」がどこにでも売っていると思っていた)。
このような「地域ならではの品」を数多く取り扱っているのが「ご当地スーパー」だ。限られた地域のみで展開されており、他の地域では出会うことのない商品に出会うこともしばしば。
郷土食あふれるお惣菜やお店独自のプライベートブランド商品を通して、地域で愛される「日常の味」に触れることは、筆者にとって旅の大きな魅力のひとつであると考えている。
こんなときに入ってみたい!ご当地スーパーの活用法
今日の夜ごはん、翌朝の朝ごはんを買いたい!
時間がない朝でも、旅先の味を感じられる
旅先でゲストハウスに宿泊する場合、その多くは素泊まりになる。
「紹介されたおすすめのお店もいいけど、ちょっと高いかも……」
「早朝に出発したいが、喫茶店でゆっくりする時間がない……」
そんなときにはご当地スーパーの出番。キッチン併設のゲストハウスであれば簡単なご当地料理を作ってみることもできるし、時間がない時にはオリジナルのお惣菜から地域を知ることもできる。200mlの牛乳と菓子パンを買ってゲストハウスに帰れば、翌朝は簡単なモーニングの出来上がりだ。
外食よりもコストを抑えつつ、地域の特産品を食することができることは大きな魅力。別の旅人と運よくキッチンで出会えば、一緒に作ってみるのもまた、旅の大切な思い出だ。
自分用のお土産を手軽に買いたい!
旅先のお土産。納豆は夜と翌朝に。
空港や駅のお土産屋さんに行くと、地域の特産品が数多く並んでいる。お酒や漬物、有名なお菓子や持ち帰り用のご当地ラーメンなどなど、「ちょっといいもの」が並んでいる。それらについ、手を伸ばしてしまうものだが、友人用に、家族用にと選んでいたらつい、予算を超えてしまいそうになる。
「自分用にはもう少しカジュアルに地域の食を持ち帰りたい」
その願いも、ご当地スーパーが叶えてくれる。
スーパーによっては「地域応援」などのコーナーで特集されていることもあり、乾麺や乾物、お漬物やお味噌、ソースなど、現地ならではの食品や調味料を手に入れることができる。また、味噌の種類(赤、白、合わせ)や出汁の違い(昆布、鰹)など、文化の違いにも出会えるのも魅力だ。
独自のこだわりに出会いたい!
海外のご当地スーパーで日本っぽいものを買ってみるのも楽しい
ご当地スーパーに入ってみると、地域の産品だけでなく、そのスーパー独自のこだわりに出会えることも多い。
例えば、長野県・群馬県で展開するご当地スーパー「ツルヤ」では、なんと300近くのオリジナルブランドの商品が販売されている。
ジュースやジャム、ドライフルーツなど「フルーツ王国」とも呼ばれる長野の地域性を生かした商品はもちろん、「野沢菜ふりかけ」「雑穀ふりかけ」など、日々のご飯に合うふりかけも多数あり、いつ行っても迷ってしまう。
ほかにも、地域で人気の飲食店のお弁当がお総菜コーナーに並べられていたり、商品のそばに「○○店長のおすすめ!」「○○(地域名)のお母さんたちの手作りです!」といった愛情あふれるPOPが添えられていたり、さらに、そのPOPやパッケージに地域の方言が使われていると、つい足を止めてかごに入れてしまう。
直接話したわけではないけれど、お店の込めた地域のメッセージを受け取ったような気がして、ほっと心があたたまる瞬間だ。
ご当地スーパーは地域と出会う「窓」
ご当地スーパーは、その地域で育まれてきた歴史や文化と出会う、まるで「窓」のような存在だと思う。販売される商品との出会いは、地域の方にとっては日常でも、遠方に住む旅人にとって貴重な、旅先ならではの体験になること間違いなしだ。
ぜひ、次の旅先ではご当地スーパーに足を踏み入れてみてはいかがだろうか。偶然出会った商品が、また旅先に足を運ぶきっかけになるかもしれない。