アイキャッチ用ストックホルムの町並み
ライター
Miyako 旅のコンテンツクリエーター/インバウンドビジネスディレクター

長崎県大村市出身。アメリカ、オーストラリア、スウェーデンに一年以上の居住経験、カナダ・スイスでも就労経験あり。海外生活は5年以上、旅は33か国。フリーランスとして観光を軸に、インバウンド観光や長崎/九州地域を得意とするトラベルライター、SNS運用代行、マーケティング支援、通訳・翻訳、ガイドなどを行っている。

こんにちは、Miyakoです。日本でもSDGsやサステイナブル(持続可能な)という言葉を耳にすることが多くなってきた昨今ですが、欧米諸国では、SDGsという言葉が出てくる前からサステイナブルな生活を送っています。

特に北欧はSDGs達成率は世界でもトップ。私は環境大国とも言われる北欧・スウェーデンに住んでいたのですが、日本に帰ってきてから日本が環境後進国であり、ジェンダーや人種などの問題にも気づき、以前よりもずっと気になるようになりました。

今回は私が住んでいた北欧・スウェーデンを例に、日本よりも進んでいるサステイナブルな取り組みや市民の意識をご紹介します。

スウェーデンとSDGs

ストックホルムの町並みphoto by pixabay
フィンランド、ノルウェー、デンマーク、アイスランドなどとともに北欧の国の一つであるスウェーデン。世界のSDGsの達成・進捗状況を示す「持続可能な開発報告書2021」では、SDGs達成率ランキングでスウェーデンは第2位。2020年の報告書では1位でした。フィンランド・デンマークと合わせて上位3位を北欧の3か国が占めています。

SDGsの項目photo by shutterstock
SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連総会で採択された、2030年までに達成すべき17の目標のこと。環境や教育、ジェンダー問題、貧困、健康、福祉など、世界中で課題となっている社会問題を解決していくことを目的にしています。

今、世界中が一丸となって、人がこの地球に住みやすい環境を作る努力が行われているのです。

スウェーデンではSDGsという言葉が出てくる前から、環境問題への取り組みはもちろん、貧困、福祉、教育、男女平等、働き方など、人や自然に配慮して取り組み、持続可能な社会を実現しています。

スウェーデンではプラスチックにお金を払うのが当たり前

日本では2020年7月から有料になったプラスチックのレジ袋。スウェーデンではずっと前から有料でしたが、2020年5月からはレジ袋に税金が課されるように。袋の値段は以前の倍以上になり、一枚70円ほどかかるようになりました。果物などを入れるビニール袋も有料です。

ペットボトルの集まりphoto by shutterstock
また、プラスチック削減のため、野菜や果物は量り売り。ペットボトルやアルミ缶も“Pant(パント)”と呼ばれるデポジット制を採用しており、商品にその金額が含まれています。買ったペットボトルなどをスーパーにある自動回収機に返却すると、買い物で使える割引券がもらえるようになっています。

ゴミは資源!エネルギーや肥料にも

家庭から出るゴミに関して、スウェーデンのリサイクル率は99%。その半分は焼却施設で国内のエネルギーに変換されています。

ゴミを捨てる男性photo by shutterstock
再生可能エネルギーへの取り組みも進んでいます。現在は発電エネルギーの50%以上が再生可能な自然エネルギーでまかなわれていて、2040年までに再生可能エネルギーを100%にするという目標があります。

また、コンポストを使い、家庭内で出る生ごみを家庭菜園の肥料にする人も。最近では、生ごみを分別して回収し、肥料やバイオマスエネルギーに変えられるようにもなりました。スウェーデン国内では、バイオマスエネルギーで走るバスや電車もあります。

教育は大学まで無償、環境教育が義務化!?

国民の環境への意識が高い理由の一つに、こどもの頃から学校で環境教育を受けていることがあります。義務教育で、エコシステム、生物多様性、循環型経済、健康、よい消費者であることなどを学んでいるのです。

勉強中photo by unsplash
スウェーデンの義務教育は日本と同じ9年間。国民の誰でも教育が受けられるように、義務教育の期間はもちろん、その後の高校、大学まで無償で学校に通うことができます。

自立して生活費がかかったり、教材にお金がかかったりすることを見越して、大学では誰もが国から奨学金や学生ローンを受けられるようになっています。

18歳以下の医療費は無料に

病院での会話photo by shutterstock
医療に関してもスウェーデンでは18歳以下は無料。大人になってからでも医療費には上限があり、一定の額を超えると無料になります。診察や入院では日本円で約1万5000円ほど、処方箋の薬代も3万円ほどを支払ったら、その年はそれ以上の金額が控除されます。

持病があったり大きな病気にかかったりしてもお金の心配をする必要のない、安心した社会があるのです。

世界で最も女性に優しい国

男女平等が進み、女性の社会的地位も高く評価されているスウェーデン。女性の大臣や国会議員、女性が企業の管理職に就くことも当たり前。

女性のリーダーphoto by shutterstock
育児休暇は働く女性にとって当然の権利で、育児休暇を取った後、元の職場に戻れることが保証されています。育児においても女性だけが負担を強いられることがないよう、男性しか取得できない育児休暇の期間がありますし、共働きが普通のスウェーデンでは、男性も率先して家事や育児を行っています。

マイノリティの権利保障も

プライドフラッグphoto by shutterstock
男女平等が進むスウェーデンでは、LGBTの人たちの権利も守られ、同性婚も認められています。それだけでなく、2008年に新差別禁止法ができ、ジェンダーはもちろん、民族、宗教、障害などの理由で差別することが禁止されました。

誰もが安心して生活できる社会システムなのです。

日本にも参考になることがたくさん!

エコバッグを持つ女性photo by shutterstock
人にも環境にも優しい国・スウェーデン。税金は高いですが、それを国民に還元し、サステイナブルな社会を実現しています。そして、国民一人ひとりの環境や不平等への意識がとても高く保たれています。

2021年の日本のSDGs達成率は18位。環境問題への対策や男女平等において多くの課題が残されています。日本もスウェーデンのサステイナブルな取り組みや制度から多くを学べるのではないでしょうか。

ライター
Miyako 旅のコンテンツクリエーター/インバウンドビジネスディレクター

長崎県大村市出身。アメリカ、オーストラリア、スウェーデンに一年以上の居住経験、カナダ・スイスでも就労経験あり。海外生活は5年以上、旅は33か国。フリーランスとして観光を軸に、インバウンド観光や長崎/九州地域を得意とするトラベルライター、SNS運用代行、マーケティング支援、通訳・翻訳、ガイドなどを行っている。

RELATED

関連記事