旅育例③:異なる文化・宗教を尊重することを学ぶ
ラマダン期間中の日中、公共の場での飲食は、水もふくめ一切禁止されます。(※子どもやお年寄り、妊婦、持病持ちの方、旅行者は断食をしなくてもOK)
このルールは基本的にはカタール国民やイスラム教徒に対してのものなので、旅行者としてどうすべきかはじめは戸惑いました。
しかし街中を歩くなかで、公共の場で飲食している方を見ることは一切なく、飲食店もカーテンで内部が隠される徹底具合。
以上のことからわが家も公共の場での飲食はしないようにし、日中の飲食はホテルへ戻りデリバリーか近場の飲食店でテイクアウトをするようにしました(※慣れない旅行者が暑いカタールで水分を絶つのは危険。水分補給はこまめに物陰でササっとしましょう)。
一見開店していなそうなレストランも、外国人用にテイクアウトやデリバリーはしていることが多いです。初日はそれを知らず、日没後まで空腹に耐えました。
スイーツ休憩や食べ歩きが大好きでいつも腹ペコな娘たちにとって、食べたいときに食べられないことに慣れるまでは時間がかかりました。
しかし一旦ラマダンについて自分たちなりに理解すると、公共の場でおやつをねだったりお腹がすいたと言わないように。
まだ年齢的にも深くは理解していないと思いますが、異文化を理解・尊重する体験ができたのは、今後の人生観の土台作りにいい影響になったのではないかと感じています。
砂漠でカタール人との交流
移民国家であるカタール。滞在中交流のあったUber運転手さんや、ホテルや飲食店のスタッフの方々、みんなパキスタンやネパールなど近隣諸国出身で、カタール人にはなかなか出会う機会がありませんでした。
それもそのはず、カタール人は人口のわずか10分の1程度。
一方で参加した砂漠ツアーではカタール人ガイドの方が多く、カタールの文化に触れる体験ができたのでその模様をご紹介していきます。
旅育例④:広大な砂漠体験
砂漠ツアーは、カタールに訪れる人の多くが体験するメインアトラクションです。
ドーハから車で約45分とアクセスもよく、砂漠キャンプやサファリ、ビーチなどさまざまな楽しみ方から選べるのも嬉しいポイント。
カタールの砂漠は、海に隣接しているのが最大の特徴です。また、”カタールの宝石”とも称される「インランドシー」という美しい内海も。
「娘たちに砂漠で砂遊びをさせたい」という目的も無事に達成。サンドボードで砂漠を滑り降りるアクティビティもめちゃくちゃ楽しく、近年人気上昇中だそうですよ。
4WD車で砂漠を疾走する砂漠サファリも子連れでOK。ドライバーの方も慣れているので、激しさをおさえつつ子どもも楽しめる運転をしてくれます。(※それでも上下左右に揺れるので、5歳くらい~がベター)
海外ならではの砂漠体験は”親子で楽しむ旅育”となったのでした。
旅育例⑤:カタール人との交流
旅行中なかなかカタール人と交流のチャンスがなかったのですが、砂漠ツアーのガイド兼ドライバーさんは生粋のカタール人。とてもフレンドリーな方だったので、いろいろ質問ができる機会になりました。
娘からの「断食中はお腹がすいて辛くないの?」との質問には「昔から当たり前にしてきたことだから、辛いと考えたこともないほどだよ」など、どの回答にも娘たちは興味津々。
疑問点を直接現地の人に聞ける貴重な機会にもなった、砂漠ツアーの締めくくりは「イフタール(ラマダン期間の日没後の食事)」。こちらもまた素晴らしかった。
ツアーには含まれていなかったのですが、日没時にガイドさんが「一緒に食事をしよう」と仲間に入れてくれたのです。
地面に列になって座る伝統衣装の男性陣の中に、わが家や他のツアー客も招待され一緒にごはんをいただきました。久しぶりの食事に和やかな雰囲気が漂っていて、ラマダンの習慣を少し垣間見れたような気がします。
食事後は、たくさんの方が娘たちにデーツ(なつめやし)のおすそ分けも。栄養豊富なこのデーツ、神の恵みの象徴なんだそう。あたたかいカタールの方々の優しさが沁みました。
ハプニングこそ「旅育」のチャンス
こちらには書ききれませんでしたが、親子で体調を崩して3日間ホテルに箱詰め……などハプニングだらけだった今回のカタール旅。
しかし、子連れ旅でのハプニングは「旅育」のチャンス。
“予定外のこともポジティブに受け入れ、柔軟に対応する”という、生きていくうえで重要なスキルも旅は教えてくれるのです。
さて、次の休日はまずは近場から親子で”旅育”してみませんか?
All photos by Yu Villegas