ライター
西嶋 結 ライター・編集者

出版社出身のライター・編集者。本の仕事をしています。これまで訪れた国は70か国ほどで、自分を驚かせてくれる街や国が好みです。有給休暇をフル活用して弾丸旅に繰り出すべく、筋トレに励んでいます。

2月14日(木)の旅大学にて、ご自身の「旅と仕事」についてお聞かせくださった高原大輔さん。セブ島を本拠地に、エンジニア留学を提供するNexSeedの代表を務めています。

そんな高原さんが海外で挑戦した背景には、20代後半に経験した世界一周があったからだそう。今回は、自身もNexSeedにてエンジニア留学を経験したTABIPPO.NET編集長の前田塁との対談という形で、高原さんの世界一周とキャリアについてうかがいました。

高原大輔さん

大学卒業後、採用、マーケティング、事業再生、事業開発を経験したのち、死ぬ前に世界中をこの目でみたい!という衝動を抑えきれず、世界40カ国を巡る。帰国後、2013年に、プログラミングスキル、英語力、異文化適応力などのグローバルスキルをもち、世界で活躍できる人材を育てたいという思いから、「LIFE SHIFT PLATFORM(人生が変わる場所)」として、フィリピン・セブ島にNexSeed(ネクシード)を設立。2019年現在、卒業生数は1500名に達し、フィリピン最大手の日系テックスクールとして、優秀な人材を輩出している。

 

前田塁

1987年、大阪府生まれの三重県育ち。株式会社TABIPPOでWebメディア「TABIPPO.NET」の運用と開発が得意な編集長やってます。慶應義塾大学卒、ニューヨーク交換留学、大阪ガス、オプト勤務を経てTABIPPOを創業しました。

52ヶ国訪問、世界二周して、ワークライフカオスに生きてます。最近はWebメディアの仕事以外にも、コンサルやったり、ラジオのパーソナリティーしてますが、次の夢は宇宙飛行士です。

Twitter:@NY_ruisu
ブログ:Work Life Chaos

 

4社を経験後、20代後半で世界一周へ

前田 塁(以下、前田):高原さんが世界一周されたのはいつのことでしたか?

高原大輔さん(以下、高原):2011年に1年間かけて世界一周していました。社会人7年目のことです。

前田:社会人7年目というと、20代後半ですよね。ちょっと遅めですね。

高原:そうですね。今は社会人2~3年目で旅に出る方が多いようですから。

前田:それまでのキャリアはどんなものでしたか。

高原:大学卒業後、大手企業で人事を担当していました。その後、何度か転職し、ベンチャーにて営業を、中堅企業でマーケティングと事業開発をと、担当領域を変えながら4社を経験しました。

前田:当時、転職が多いのは珍しかったのでは?だからこそ、仕事を辞めて旅に出るのに抵抗がなかったのかもしれませんね。

高原:そうですね、それはあるかもしれません。

 

死ぬまでにしたいこと第1位は「世界中を旅したい」

前田:そんな高原さんですが、どうして旅に出ようと思ったんですか?

高原:当時の彼女(今の奥さん)と一緒に世界一周したんですが、彼女にせっつかれていたんですよね。「早く行こうよ。あなたが行かないなら一人で行くよ」と。当時の僕は仕事が楽しくて、旅に出るのを引き延ばしていたんですが、彼女に何度も誘われて重い腰をあげました。

前田:なるほど。とはいえ、いつでも行けるわけじゃないですか。もっと強く背中を押してくれるきっかけがあったのでは?

高原:当時、高級高齢者施設にかかわる仕事をしていたんですが、お客様の夢を叶えるプロジェクトで「あなたの夢はなんですか?」というアンケートをとったんです。

前田:どんな声が多かったですか?

高原:ダントツで多かったのは「◯◯に行きたい」という旅への要望(希望)でした。

前田:高級な施設に入所している方なら、今までたくさん旅してきたはずですよね。

高原:そうなんです。お金も名誉もある。そんな方たちでも人生の最終章には、もっと旅したいと思っている。その事実を突きつけられたことで、やっと決断できました。

 

彼女の両親からの反対

前田:反対する人はいなかったですか?

高原:彼女のご両親からは反対されましたね。彼女と結婚することを決めていたので、ご両親に挨拶に行ったんです。でもご両親からすると、「仕事をやめて世界一周!?しかも結婚!?」って感じですよね(笑)。

前田:たしかにショックでしょうね(笑)。

高原:絶対こいつとは結婚させない!って感じでしたよ。本当は夫婦として旅に出たかったんですが、結局、帰国後2年ほどしてから結婚することになりました。

前田:高原さんのご両親の反応はいかがでしたか?

高原:何か言ってたとは思いますが、全然覚えていないですね(笑)。

前田:4社経験されていることもあって、すでに変化に対する耐性があったんでしょうね。

高原:男性だからというのもあったでしょうね。でも、反対される人も多いんでしょうね。

 

海外と日本の架け橋になる仕事がしたい

前田:帰国後、セブ島でNexSeedを立ち上げた高原さん。海外での挑戦を考えたのは世界一周中のことだったんですよね。

高原:そうです。旅するなかで、世界で活躍できる人材を育成する必要性を感じました。

前田:どんなきっかけがあったんですか?

高原:発展途上国でも先進国でも、日本人にはないハングリーさを感じたことですね。たとえばインドでは、「英語を話せる人いますか?」と聞くと、話せない人であってもみんな手を挙げます。チャンスをつかむためです。こんなハングリーさは、今の日本人にはないものだと思うんですよね。

前田:そのとおりですよね。

高原:先進国では、自国以外の言語を話せることや、多国籍な環境で揉まれて生きているのが当たり前。一方、日本は単一民族国家だから、そんな経験はしていません。少子高齢化が進む現代、このままではまずいのではないかと感じさせられました。

前田:海外の方とうまくやっていけないのは、今後かなりまずいですよね。

高原:もちろん日本人には、いいところもあります。たとえば海外の人の多くは我が強くて、個人主義。ファイティングポーズをとりがちです。

一方、日本人には「肩を組もうぜ」という雰囲気がある。シェアリングエコノミーを発展させたり、格差をなくしたりすることをめざすにはぴったりの特殊な国民性です。

リーダーというキャラクターではないかもしれませんが、サポーターとして日本人が活躍すれば、もっと世の中はよくなっていくだろうと思います。

前田:それが今のお仕事につながるわけですね。

高原:海外と日本の架け橋になる仕事がしたい、とぼんやりと感じるようになっていました。人事として、誰かを育てる仕事を経験していたことも影響しているはずです。

前田:シリコンバレーでは、「30分後に会社を出て行ってください」と引き継ぎもなく解雇されることがあると聞きました。「解雇されるような人の仕事なんて引き継がなくてもいい」という風潮があるそう。このドライさ、日本人にとっては驚きですよね。

高原:どんな理由で退職するにせよ、送別会くらいはやりますからね(笑)。

ライター
西嶋 結 ライター・編集者

出版社出身のライター・編集者。本の仕事をしています。これまで訪れた国は70か国ほどで、自分を驚かせてくれる街や国が好みです。有給休暇をフル活用して弾丸旅に繰り出すべく、筋トレに励んでいます。

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