生きていく上で欠かせない食事
地域の地理的理由や文化的背景から世界には数えきれないほど異なる「食」がある。
つまり「食」を経験することは、その土地の一部分を知ることでもある。旅の醍醐味の一つと言っても過言ではないくらい、楽しみの一つにもなりうる「旅先の食事」
旅好きとしてはありがたいことに私はアレルギーや好き嫌いはほぼないに等しく、お腹もセンシティブではない方。初回はわりとなんでもおいしく頂けるほうだ。
とはいえ「タイプの食事」というものはあるわけで、「味、雰囲気、価格」の三拍子が揃った時にとても満足感を得られるという自論がある。
そんな三拍子がいとも簡単に揃ってしまうのが、これまで訪れたところでいうと東南アジアの国タイである。
今回はそんなタイでの食事エピソードを、旅先での「マイ食事三原則」に沿ってご紹介したい。
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原則1. 食わず嫌いをせず新しいものにオープンでいる
蒸し焼きの白身魚にレモングラスやナンプラー(フィッシュソース)、パクチー、ライムなどでさっぱりに味つけされたプラー(魚)ヌン(蒸す)マナオ(タイライム)
そもそも私は、海鮮や南国フルーツといった島国ならではものや、パクチー、ナンプラーといった癖強めのものが大好き。そんな独特の風味のある海鮮料理やフレッシュフルーツが楽しめるタイはどこへ行っても食べたいもので溢れている。
タイの食事で大発見だったのが「カオニャオ・マムアン」。通称マンゴースティッキーライス。
タイのもち米と一緒に、生のマンゴーと甘いココナッツミルクをかけて食べるのだ。
米粒状のものはしょっぱいものとして食べられるのが一般的と思っていた私には衝撃的な組み合わせだった。
初めは、きっと好きじゃない組み合わせだろうと感じていたものの、あまりにもあちこちで見かけるため試してみることにした。
これが個人的に大ヒット。
ココナッツソースの甘味が絶妙にもち米のもちもち感とマンゴーの酸味をマッチさせるのだ。
それからというもの、タイレストランやタイでのトランジットがある度に必ず食べる一品になった。
至る所でフレッシュスムージーや果物が実丸ごとフレッシュジュースで提供されている
タイには食べたことのない食材や味覚が多い。
誰かと一緒の旅行であれば、それぞれ違うものを頼んで色々な味を試してみるのも楽しみのひとつだ。
強烈な匂いを放つドリアンや、見た目から食べるのを躊躇してしまう珍味にも、この機にと挑戦してみることで新たな発見や旅のハイライトになり得る。
食わず嫌いをせず常に新しい発見をする心構えでいると旅先の食事がより豊かなものになるのではないだろうか。
原則2. ローカルも観光地もどちらも楽しむ欲張りでいい!
屋台やフードマーケットでローカルを味わうのも、島ながらのリゾートレストランやファインダイニングもどちらも楽しみたい!そんな欲張りな私にうってつけなタイ。その魅力はローカルとラグジュアリーが絶妙に共存していることにある。
ローカルな食事で得られる経験
単に料理を味わうだけでなく、さまざまな価値や経験が得られる貴重な機会でもあるローカルの食事。
ローカルの食事には次のような魅力がたくさんある。
☑︎地元の人との交流によるホスピタリティ体験
☑︎地元の生活風景や習慣を間近に見れる
☑︎安く多種類の料理を試すことができ食の選択肢が広がる
☑︎小規模生産者の経済や文化を支えるサステナブルな消費活動
ローカルな食事は、単なる観光を超えた「その土地を生きるように楽しむ旅」を実現させる。
唐辛子と砂糖、塩の混ざった粉をつけて食べるタイのグリーンマンゴー
道端で買ったマンゴーはグリーンマンゴーで、完熟ではなく硬く酸っぱめ。これに付属の唐辛子+砂糖+塩の混ざった粉をつけながら食べる。
完熟とは程遠いため一口目はその慣れない食感と味にびっくりするが、慣れてくるとそのさっぱりさが蒸し暑いタイの気候では食べやすかったりもする。
足もとにはラット!?露店で楽しむデザート
こちらはタイに嫁いだ日本人のお友達とタイ人の旦那さんに連れられて行った露店で頼んだデザート。
じつはこのテーブル周りにはラットが数匹。奥さんと一緒にギャーギャー言いながらも、内心面白がっている私がいたのも事実。こんな東南アジアのローカルな光景が見れたのもなんだかいい経験とさえ思ってしまう。
大人気ストリートフード!タイ発祥のローリングアイスクリーム
タイ発祥のローリングアイスクリーム
冷たい鉄板の上で、フルーツやチョコなどフレーバーを練り込むようにクリームと混ぜることでできるカスタマイズアイスクリーム。固まったところをロール状にヘラで巻いてさらにトッピングする。
注文を受けてから作られるためフレッシュで、冷却プレートを使用することで空気が含まれにくく、より滑らかな口当たりになるのだそう。
作る工程がパフォーマンスのようで目で見ても楽しい子供にも大人にも人気なストリートフードのひとつだ。
衛生的に大丈夫?と疑問にも思いつつも、タイでやっぱり楽しいのはこんなストリートフードの食べ歩き。屋台の一般的なタイ料理であれば一食100円〜300円で済んでしまう。お友達曰く、自炊より屋台で済ました方が安くなるのだそう。
フード系からデザートまで幅広く楽しめる、一度は試したい食事事情だ。
リーズナブルに特別空間を楽しむ(ビーチサイドレストラン編)
ダイニングの雰囲気の良さは外食をする上で決め手の一つにもなる大切な要素。素敵なビーチサイドバーやレストランに溢れるタイの島々。ローカルをひと通り体験した後はやはりリゾートらしい雰囲気も味わいたい。
こちらはサムイ島でのある日のディナー
波の音を聞き、ビーチの砂を足裏に感じ、キャンドルの灯りに癒され、潮風と料理の混ざる香りに包まれ、新鮮な地元料理をたらふく味わう。まさに五感で楽しむ食事。
五感を刺激してくれる食事は心身をともに癒し、記憶により長く残る。
食後には場所を移動し、ナイトライフを楽しみにいく。
バーやクラブはもちろん、ビーチでのライブミュージックやファイヤーショーと一日中楽しめるのもタイの島の魅力。
ココヤシで造られたイタリアンレストランCoCo Tam’s。バンコクの人気ピザ屋「ペッピーナ」とのコラボレーションにより石窯で焼く本格ピザや、新鮮なシーフード、タイ料理のタパスが提供されている。バーのみの利用やファイヤーショー目的に来る観光客も多い。
リゾート感満載で、木製ブランコのイスが並ぶバーカウンターには遊び心があり、大きなクッションでくつろげるビーチエリアは満腹時にリラックスするには絶好の場所だ。
トロピカルフルーツを使ったオリジナルカクテルや、シーシャを嗜む人も多く、そうこうしているうちにファイヤーショーが始まる。
19時過ぎから30分ほどのショーで、その迫力は多くの観光客を魅了する。
昼間の落ち着いた雰囲気とは一風変わった夜のビーチへ出向かうのも、タイの島での楽しみ方の一つでもある。
・名称:CoCo Tam’s
・住所:62 Tambon Bo Put, Ko Samui District, Surat Thani 84320, Thailand
・地図:
・アクセス:サムイ島空港から車/タクシーで約15分
・営業時間:13:00~0:00
・定休日:無定休
・電話番号:+66 91 915 5664
・所要時間:19:15~19:45(ファイヤーショー)
・公式サイトURL:https://facebook.com/CoCoTams
リーズナブルに特別空間を楽しむ(マウンテン・オーシャンビューレストラン編)
四つ星ホテルが提供するレストランThe Jungle Club。海とサムイ島全体を山の上から一望できるパノラマビューが最大の魅力である。
涼しい風が心地よく、辺りをジャングルに囲まれた環境で都会の喧騒を忘れさせてくれる静寂がある。
しかし山の上に位置しているだけに、そのホテルへ行くには急勾配な坂道を登る必要があり、馬力のある車両が必要になる。地元の人や観光客でもスクーターで登ろうとする人々はいるが、なかなか危なっかしい。
1グループ200バーツ(約900円/2024年12月時点)で店の麓から店までの往復の送迎車が出ているためそちらをおすすめしたい。
レストランではタイ料理のみならず多国籍料理が提供されており、雰囲気だけでなく料理のレベルも高く評価されている。
美味しい食事と絶景、そして簡単に辿り着けないその秘境さがその場所にさらに付加価値をつけるのかもしれない。
・名称:The Jungle Club
・住所:Chaweng Noi beach Soi Panyadee, Koh Samui, Suratthani, 84320, Thailand
・地図:
・アクセス:サムイ島空港から車で約30分
・営業時間:10:00~21:00
・電話番号:+66 81 894 23 27
・公式サイトURL:https://www.jungleclubsamui.com/restaurant/
ローカルな食事と比べてしまえば値段は高くなってしまうが、ミシュランスターレストランや普段味わうことのできない絶景や環境の中でリーズナブルに食事ができたらやはり満足度も高まる。
いつもよりちょっと贅沢な食事空間が選択しやすいのも東南アジアの国の魅力のひとつ。
リーズナブルに現地の生活を体験しつつ、少し贅沢をすれば世界クラスの高級体験も手に入る。そんな多様性と選択肢の豊かさが、タイ旅行の特別な魅力を生み出している。
原則3. 心ゆくまで食べ(過ぎ)た自分を責めず、帰国後調整する
知らないもの、美味しそうなもの、素敵なロケーションに魅了される旅先では、食べすぎることもしばしば。重たい食事や塩気の効いたもの、甘いものや、アルコールなど、普段より食事が偏ったり、食に旅費を費やし過ぎて後悔しそうになることもある。
そんな時こそ私は素直に新たな発見やそのひとときを楽しんだ自分を良しとする。
食べ過ぎたなら、帰国してから食事量を調整すればいいし、旅費を使い過ぎたなら、自炊して節約してみればいい。
また気に入った食事があったならどうやったら同じような味が家庭でも楽しめるか調べて試してみるも良い。食べた分また一つ自分の料理レパートリーにもなる。
グルメであろうがそうでなかろうが、絶対に欠かせない旅先での食事。どんなものをどのように頂くか、ほんの少しの意識が変わるだけで、大きくその旅のおもしろみが変わるような気がする。
All photos by Saeno Okayama