この記事では、四角大輔さんとTABIPPOが一緒に作り上げた話題の新書籍、「The Journey 自分の生き方をつくる原体験の旅」の中から、旅のエピソードを抜粋して紹介していきます。
今回ご紹介するのは、TABIPPOの代表であり、創設者である清水直哉さんのエピソードです。
人生を追求する14人の「時代の疾走者たち」による原体験
自分らしい生き方をつくる「手段」として旅がある!「人生」を追求する14人の“時代の疾走者たち”による「原体験」としての「旅」のストーリーをまとめた一冊。「旅に出て人生は変わるのか?」をテーマに、高橋歩、山川咲、西野亮廣、村上萌×著者(四角大輔、TABIPPO)とのスペシャル対談も収録。
「The Journey 自分の生き方をつくる原体験の旅」は「自由であり続けるために20代で捨てるべき50のこと」の著者、四角大輔さんと長い時間をかけて一緒に作り上げた、話題の新刊であり「旅」と「生き方」をつなげる1冊となっています。
旅に出ると視野が広がり、自分がいかに狭い世界で生きていたかを思い知らされる時があると思います。
旅とは何か?自分はこれからの人生をどうやって生きて行きたいのか?この本を読んで今一度自分の心に問い掛ける時間を作ってみてはいかがでしょうか。
「やりたいこと」がやれる、その幸せに気づけた旅|清水直哉/ TABIPPO 代表
夢物語だと思っていた「世界一周」が現実になった旅
初めて一人旅に出たのは19歳のころ。たった30日間の旅だったけれど、僕の「世界」を広げるには十分過ぎる経験だった。移動するたびにまったく違う世界が広がっていることもそうだけれど、衝撃だったのは、ドイツへと向かう鉄道で、今まさに世界一周の旅をしているという大学生に出会ったこと。
当時、世界一周なんてただの憧れ。ましてや大学生なんかができるものじゃないと思っていた。だから「どうやったら世界一周に行けるのか」と聞きまくり、世界一周航空券というものがあること、全体的に思っているよりもずっとお金がかからないことを知った。
話を聞けば聞くほど、夢物語だと思っていた世界一周への現実味が増す。もしかしたら、僕にだってできるかもしれない。これが僕の「世界一周」に対する好奇心の始まりだった。
死んで焼かれることが「夢」だという少年に出会ったある日
ガンジス川で小さな舟をレンタルし、夕日を見ていたとき。漕ぎ手の若いインド人の少年が、陽気に話しかけてきて、僕らは楽しく会話をしながらゆっくりと川をくだっていた。
すると、急に少年が寂しそうな顔をして僕に語りかけてきた。「あの火葬場は、僕らの夢だ」。
目線の先にあるのは、ガンジス川で一番有名な火葬場だった。火が魂を浄化し、肉体から解き放って生まれ変わらせると信じられているヒンドゥー教式の葬儀では、死体を焼いたあと、骨や灰をガンジス川に流すそうだ。
だから毎日、数百人の人が焼かれていて、インドではその光景が日常になっている。
「知っているだろう?このガンジス川は僕らインド人にとっては聖地なんだ。だから、死んだあとにあの火葬場で葬られることは、名誉なことだし、みんなが憧れている。でも…」。
彼は少し遠くにある電気式の火葬場を指差しながら言った。「でも、あそこで焼かれるには、たくさんのお金が必要なんだ。僕みたいにお金がないインド人は、あっちで安く焼かれるのさ」。
「僕の夢は、あの火葬場で焼かれて死ぬことだ。でも、それは叶わない夢」。