ライター
永崎 裕麻 生きる旅幸家

「旅・教育・自由・幸せ」を人生のキーワードとして生きる旅幸家。 2年2カ月間の世界一周後、世界幸福度ランキング1位(2014/2016/2017)のフィジー共和国へ07年から移住し、現在13年目。 100カ国を旅し、14カ国で留学した経験を活かし、内閣府事業に参画、教育企画の立案、ライターとして「ハフィントンポスト(日本版)」「日経doors」などで執筆、「幸せに気づくコーチング」、「40歳定年」などの活動中。 二児の父。著書に「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」(いろは出版)。

「神が時間を創り、悪魔が時計を作った」

いまなお未完成でありながら、世界遺産である「サグラダ・ファミリア(聖家族贖罪教会)」の主任彫刻家、外尾悦郎さんの言葉です。

私たちは悪魔が作った時計にコントロールされた日常を送っているのかもしれません。

「旅」は、私たちを時計から解放し、神が創った時間を取り戻してくれるものなのではないでしょうか。

ココロの地雷を撤去せよ

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時間に追われてしまっているとき、私たちの心には地雷が埋め込まれます。そしてその地雷は簡単に爆発します。

たとえば、出勤直前の朝の忙しい時間に、幼稚園に送っていかなければならない5歳の息子が水筒を倒してしまい、水を入れなおす必要が出たとき、「もう!なにやってるの!」と理不尽に怒ってしまいます。

息子は「ただ水筒をあやまって倒してしまっただけ」なのに、大きな罪を犯したかのように怒鳴られる。

私たちは忙しいとき、イライラしがちです。

「忙しい日々」は「充実している」とも換言できます。

ただ、ココロの地雷を撤去するためにも、脱「忙」することも重要なのではないでしょうか。

「時間環境」という言葉

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私たちは時間の中に生きています。そういう意味では、時間も環境といえます。インターネットが表舞台に登場して以降、時間環境が過剰にスピードアップしています。つまり、時間環境破壊が起きています。

時間環境が破壊されることで、私たちの多忙感が極限に達しており、イライラもピークに。それに気づかせてくれたのがコロナウイルス感染症の拡大でした。

コロナウイルス感染症の拡大によって、「Stay Home」が余儀なくされ、久しぶりにスローライフが戻ってきました。

各自の時間環境がスローダウンしたため、実際の地球環境も二酸化炭素の排出量が減るなど、環境負荷が下がりました。

温暖化の問題って、根本は時間環境の問題だったんだと気付かされました。

さて。コロナが収束したら、私たちは再び、心を失い始めるのでしょうか。時間感覚をリバウンドさせないよう、時間環境を美化していくことが大切です。

私たちに必要なのはアイドリング

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では、どうやって時間環境を美化するのか。

キーワードは「怠」です。

皆さんは「怠」という漢字にどういう印象をもっていますか?

あまりいいイメージはないかもしれません。「アリとキリギリス」でキリギリス的な感じですからね。勤勉なアリが礼賛されてきた日本では特に「怠け者」への冷遇が厳しいです。

「忙」という漢字は「心を亡くす」と書きます。

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では、「怠」は?

「怠」は「心をやわらげる」(台=やわらげる)と書きます。皆さんは心にゆとりを与える活動をどれくらいされているでしょうか。

英語では、「怠惰」を意味する単語が2つあります。「lazy(レイジー)」と「idle(アイドル)」です。

どう違うのか。

「lazy」は「やるべきことがあるのにサボっている」状態。一方、「idle」は「特にやるべきことがなく、ゆったりしている」状態です。

車のアイドリングは後者です。車のアイドリングは地球環境にとって悪ですが、人間のアイドリングは時間環境にとって善です。

旅はアイドリングを学ぶ最適ツール

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アフリカのことわざにこんなのがあります。

早く行きたければ、ひとりで行きなさい。遠くに行きたければ、みんなで行きなさい

聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。フィジー人にこのことわざを教えてみると、こんな質問をされました。

「行かないっていう選択肢はないのか?」

私たちは日常、「早く」「遠くに(効率的に)」行きたいとセカセカと生きています。でも別に「行かなくてもいい」のです。早く行かなくても、遠くに行かなくても、近所をウロウロと巡回しているだけでもいいのです。

旅にはそんな「行かない」という自由があります。今日は移動の気分じゃないからと予定を変更してその街に残ったり、そのまま沈没(ハマった街に長期で留まる)したり。

旅はわがままが許されます。日本人に馴染みの薄いアイドリングを学ぶには最適な機会です。

脱目的思考を目指そう

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私たちは目的や目標を設定しすぎなのかもしれません。ゴールがあるから、急ぐ必要が生まれ、時間がなくなってしまう。

旅では目的や終着点を決めず、心がときめくがままに移動するスタイルもよくあります。必要なのは、目的地に到着することではなく、なんとなく動いたり、止まったりしながら、道中の景色や出会いを楽しむこと。

「1秒たりとも無駄にしない」「Time is Money」という感覚で時間を大切に倹約し続けた結果、私たちはどうなったのか。

「やらないといけないことが今日も山積みだ!」と時間に追われ、時間を奪ってくる上司や友達にイライラする。これでは本末転倒です。

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世の中にはすきま時間を有効活用するための「タイムハック」が横行。テクノロジーが急激に進化し、サービスがより便利になったのに、いつまでたってもゆとれない…。

これからは「遅い」に価値が宿る時代。

旅のあの感覚を人生にも転用できれば、見える景色の解像度が上がって、人生がより彩られていくはずです。

悪魔が作った時計に支配される人生から徐々に降りていきましょう。

ライター
永崎 裕麻 生きる旅幸家

「旅・教育・自由・幸せ」を人生のキーワードとして生きる旅幸家。 2年2カ月間の世界一周後、世界幸福度ランキング1位(2014/2016/2017)のフィジー共和国へ07年から移住し、現在13年目。 100カ国を旅し、14カ国で留学した経験を活かし、内閣府事業に参画、教育企画の立案、ライターとして「ハフィントンポスト(日本版)」「日経doors」などで執筆、「幸せに気づくコーチング」、「40歳定年」などの活動中。 二児の父。著書に「世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論」(いろは出版)。

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