ライター
新田 浩之 フリーライター

国鉄が民営化された1987年生まれ。神戸市出身です。高校の時に読んだある小説の影響で、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ロシアに強い関心を持つことに。大学、大学院ではユーゴスラビアのことを勉強していました。2016年3月からライターとして神戸で活動しています。 直近では2015年9月から3ヶ月間、友人を訪ねながら、ヨーロッパ14カ国をめぐる旅を決行。ただ、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどの西欧諸国には行ったことがありません。

こんにちは、ライターの新田浩之です。今年はコロナウイルス感染症の影響で「海外旅行に行けなくてもどかしい……!」という人が多いと思います。でしたら国内で「砂の海外旅行」を体験してみませんか?

鳥取県にある「砂の美術館(鳥取砂丘 砂の美術館)」では、世界初の「砂」を素材にした彫刻作品を展示する美術館で、世界各地の街並みや伝説、歴史を砂像でリアルに再現しています。

それでは、砂でできた世界を体験してみましょう!

関西から「砂の美術館」までは約3時間

photo by Nitta Hiroshi
「砂の美術館」は鳥取県鳥取市にあり、鳥取駅からバスに乗ります。京都、大阪、神戸から鳥取駅へはJR西日本&智頭急行の特急「スーパーはくと」が便利。大阪駅から鳥取駅までの所要時間は約2時間30分です。

東京からですと飛行機の利用が便利ですね。鳥取駅からバスで20分のところに鳥取砂丘コナン空港(鳥取空港)があります。

photo by Nitta Hiroshi
鳥取駅から「砂の美術館」まではバスに乗りますが、行き方は2つあります。1つ目は約20分で「砂の美術館」に着く「砂丘線」です。2つ目は観光地をめぐる「ループ麒麟獅子バス」で、こちらの所要時間は約25分です。「ループ麒麟獅子バス」は元旦を除く土休日と夏季に運行します。

鳥取砂丘コナン空港からは鳥取駅までの連絡バスが出ています。連絡バスは飛行機の時間に合わせて運行されます。

もちろん自動車でのアクセスもできます。最寄りのICは鳥取自動車道の鳥取西ICもしくは鳥取ICです。

砂とは思えないリアルさが自慢の「砂の美術館」

私は「ループ麒麟獅子バス」に乗り、「砂の美術館」を訪れました。「砂の美術館」では海外の街並みや歴史などを砂像で表現しています。私が訪れたときのテーマは中央ヨーロッパにある「チェコ&スロバキア」でした。

2020年は日本とチェコスロバキア(当時)との交流がスタートして100年目となる記念年です。そのため「砂の美術館」でチェコとスロバキアにちなんだ作品が展示されることになりました。

photo by Nitta Hiroshi
見てください! 玄関前にすでに砂像がありました。砂とは思えないリアルさ。特に真ん中にある路面電車とトンネルの表現力がすごいなと思いました。実際にプラハにありますが、本当にそっくり! 思わず「同じだ」とつぶやいてしまいました。

photo by Nitta Hiroshi
メイン展示エリアに入り、最初に現れたのはチェコが誇る世界遺産、チェスキークルムロフです。写真だとわかりにくいかもしれませんが、結構な高さがあります。城の窓まで忠実に再現されていることに驚きました。

photo by Nitta Hiroshi
違う角度から撮ってみました。塔の装飾まで細かく表現されていますね。思わず触りたくなりますが、あくまでも「砂」なので触るのはNGですよ!

photo by shutterstock
上記の写真がチェスキークルムロフの写真です。いかに砂像がリアルに再現されているか、よくわかるでしょう。またコンパクトにお城や街並みをまとめるスキルに脱帽です。

photo by Nitta Hiroshi
建物だけでなく歴史も作品のテーマとなっています。こちらはスロバキアにあるスピシュ城を題材とした作品「スピシュ城とモンゴルの襲来」です。スピシュ城はモンゴルからの襲来に備えて建てられました。が、18世紀に発生した火災により現在は廃墟となっています。

photo by Nitta Hiroshi
上記が現在のスピシュ城、ご覧のとおり崩れ落ちたままです。作品では火災前の城が表現されています。「崩れ落ちる前のスピシュ城はこんな感じだったのかな」とあれこれ考えながら鑑賞しました。

photo by Nitta Hiroshi
思わず美しい女性にうっとりしてしまうのが「リブシェの予言」です。チェコには予言能力を持つ賢い女性、リブシェがおさめていたという伝説があります。ある日、リブシェはヴルタヴァ川のほとりにある丘の上に立派な城がある未来図を見ました。

彼女はそこに城を建設することを命じ、城を「プラハ」と名付けました。これがプラハ城の伝説だとチェコ人の間では伝わっています。

photo by Nitta Hiroshi
最も規模の大きい作品は「カレル橋とヴルタヴァ川の風景」です。プラハを一度でも訪れたことがある人なら、プラハの記憶が目の前によみがえると思います。じっとカレル橋を見つめると、なんだか砂のプラハに迷い込んだような感覚になりますよ。

photo by Nitta Hiroshi
こちらがカレル橋付近から見たプラハ城です。ぜひ作品と見比べてください。

photo by Nitta Hiroshi
3階から撮影してみました。上から見ると作品の立体感がわかり、より楽しめると思います。先ほど紹介した作品はほんの一部。ぜひ「砂の美術館」を訪れて、すべての作品を鑑賞してください。なお「砂の美術館」では原則として、作品の写真撮影はOKです。

photo by Nitta Hiroshi
また3階には売店があります。チェコのおいしいビールから画集、クリアファイルまでいろいろな物品が販売されていました。ちなみに、私はこちらのクリアファイルをお土産として買いました。もしかしたら日本にいながら世界の珍しいものが買えるかもしれませんよ。

photo by Nitta Hiroshi
ところで、これらの砂像はどのように制作されるのでしょうか。まず「砂の美術館」にある砂像ではのり等の秘密兵器は使っていません。最初にバケツに砂を入れ、砂と砂の間にある空気と水を抜きます。その後、砂に圧力を加えて土台を造成します。

photo by Nitta Hiroshi
「砂の美術館」には食堂はありませんが、近くに海鮮食堂があります。海鮮食堂では日本海の幸を集めた海鮮丼を食べました。とてもイクラが甘かったですよ。

コロナ対策もばっちりな「砂の美術館」

photo by Nitta Hiroshi
ところで「砂の美術館」は屋内の施設。「コロナ対策は大丈夫かな」と心配される方も多いのではないでしょうか。結論から先に書くと、しっかりと対策を行っています。

入場すると検温検査があり、37.5度以上の場合は入館できません。またマスクは必須なので、マスクは忘れないようにしてください。

photo by Nitta Hiroshi
このように券売所の前ではソーシャルディスタンスが徹底されていました。館内でもソーシャルディスタンスが求められます。展示エリアでも度々「ソーシャルディスタンスを守るように」と放送されるので自ずと意識します。

photo by Nitta Hiroshi
また消毒液も至るところにあります。なので消毒液をしっかりすれば接触感染は防げると思います。

「砂の美術館」では同一時間帯に展示室内に入場できる人数の上限を60名にしています。そのため、混雑時には入場制限がかかるかもしれません。「砂の美術館」では平日の来館をすすめていますが、来館予約はしていません。

「砂の美術館」に限らずですが、鳥取県ではソーシャルディスタンスの確保や声掛けなどを積極的に行っていることが印象に残りました。「絶対に感染者を出さない!」という意識は大阪や神戸を上回っていると思います。

「チェコ&スロバキア」の会期は2021年1月3日まで

「砂の美術館」での「チェコ&スロバキア」の会期は2021年1月3日までなので、「今は行きにくいかも」と思っても、まだチャンスは残っています。

周辺にある鳥取砂丘を訪れて、夜は鳥取県中部にあるはわい温泉や兵庫県北部にある湯村温泉を訪れて一日の疲れをとるといいでしょう。のんびりと山陰・鳥取の旅をお楽しみください。

■詳細情報
・名称:鳥取砂丘 砂の美術館
・住所:鳥取県鳥取市福部町湯山2083-17
・地図:
・アクセス:鳥取駅からバス「砂丘線」「ループ麒麟獅子バス」に乗りバス停「砂の美術館前」下車
・営業時間:9:00~16:00(平日・日曜日)、9:00~18:00(土曜日)
・定休日:今後の状況を踏まえ一時休館になることもあります。
・電話番号:0857-20-2231
・料金:一般600円、小・中・高校生300円
・所要時間:60分~90分
・オススメの時期:いつでも
・公式サイトURL:http://www.sand-museum.jp

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国鉄が民営化された1987年生まれ。神戸市出身です。高校の時に読んだある小説の影響で、中央ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ロシアに強い関心を持つことに。大学、大学院ではユーゴスラビアのことを勉強していました。2016年3月からライターとして神戸で活動しています。 直近では2015年9月から3ヶ月間、友人を訪ねながら、ヨーロッパ14カ国をめぐる旅を決行。ただ、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどの西欧諸国には行ったことがありません。

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