ライター

北海道出身、関西在住。読書と珈琲と文筆と旅を愛する31歳。インドとネパールが大好き。2025年、珈琲屋をオープンし、自家焙煎豆を人々に届けている。夢は旅する珈琲屋兼作家。

とにかく僕は、旅の計画が苦手だ。

だからいつも、細かく予定を立てるよりも、その時の気分で行き先や、することを決める。ときにはどこか観光スポットに出掛けるでもなく、のんびりと歩き、好きなことをして過ごすこともある。

そのスタイルは、日常の僕の姿とよく似ている。

普段の僕はのんびり屋で、自分の時間を大事にしている。予定がない日には、朝ゆっくり起きて、特段予定を詰め込まず、気の向くままに散歩に出かけたり、カフェでまったり過ごしたり、本を読んだり、ラジオを聞いたり……。

旅でも、その日常のスタイルのままにマイペースに、好きなものとともに歩いてばかりだ。

そんな旅のスタイルを僕は「旅×○○」と呼んで、自分なりに楽しんでいる。

thai tabiタイ・バンコクのカフェのテラス席で、日がな一日通りをゆく人々を眺めていたこともあった。

「旅×◯◯」のススメ

日常を持ち込み、好きなものとともに歩く僕の旅スタイル、「旅×◯◯」。

この章では、僕が実際にどんなふうにそれを楽しんでいるのかを紹介していきたい。

旅×コーヒー

コーヒーは僕の日常に欠かせないもの。毎朝豆から挽き、ドリップして飲むのが日課。

旅にもコーヒーは必須。リュックにコーヒーギアを詰め込み、必ず持っていく。そして現地のコーヒー屋さんに行き、豆やドリップバックを買う。

その夜、宿で買いたての豆を挽いて淹れると、部屋いっぱいに香りが広がる。その瞬間は日常の延長でもあり、旅先だからこそ感じるワクワクも得られる。

海外ではコーヒー文化が日本とは異なる国も多い。そこで入手できた豆や知識を持ち帰ることは、日々のコーヒーライフに広がりをもたらし、暮らしが少し豊かになる。

coffee tabi福井で買った恐竜コーヒー。その日の夜にさっそくドリップ

旅×ラジオ

ラジオ愛好家である僕は、国内旅行の際には、スマホアプリの「radiko」で地方ラジオを聞くのを密かな楽しみにしている。

普段は聞くことのできない、その地方ならではの番組の空気に浸るのは、新鮮でとても楽しい。

旅先ではイヤホンをしながら歩くのはなるべく控えているが、たまに地方ラジオを聞きながら歩いてみると、その街の空気をより一層感じられる気がする。移動中の電車や、宿でゆっくりしている時間に聞くのもいい。

また、時々お店に入った時にラジオが流れていることもある。そんな時はラッキーだ。その土地のグルメを味わいながら、その土地の番組に耳を傾ける。それは旅先でしか味わえない、特別な時間だ。

そして旅から帰ると、自分の住んでいる地域のラジオも、やっぱりいいなぁと改めて思ったりもする。

radiko 旅先のカフェでradikoを

旅×本

僕は旅には必ず本を一冊持っていく。

読書は僕の生活の一部でもあるので、歯ブラシやタオルと同じように、自然に本をリュックに入れている。

だけど、読書は歯を磨くよりも世界が広がるもの。そんな体験を、旅にも持っていくのだ。

電車の待ち時間、移動中、立ち寄ったカフェ、川沿いの公園……。

旅先のふとした時間に本を開くと、物語の世界に没入すると同時に、その土地の風景に自分が溶け込んだような感覚になる。

そんな時、いつもの部屋の中で読むのとはちがう、新しい感情や思考が芽生えてくることがある。その発見を日々の生活の中に持ち帰れば、前より少しだけ変わった自分に出会えるような気がする。

旅での読書は、自分の考えや感情を整理し、視野を広げ、新しい自分を見つけてくれるきっかけになるものなのだ。

gallスリランカのゴールのカフェで、のんびり読書のひと時

旅×散歩

いつも暇な日には、散歩に出掛けている。

だから旅先でも予定を立てず、街をただ歩くのが好きだ。

ぶらぶらとあてもなく歩いていると、さまざまな発見や出会いがある。

ガイドブックには載らない小さなカフェで飲むコーヒーや、道端の屋台で食べるご飯。ふらっと寄った本屋で手に取った名前も知らない作家の小説。珍しい看板。独特の街並み。すれ違った現地の人と交わした会話。ふと見上げた空の色。

そうしたひとつひとつは、とても興味深くて、美しく、ワクワクする体験であり、そして世界の広さに気付かせてくれるものだ。

旅はそこにある風景を見つめるだけでもいい。それだけが目的の旅があってもいい。

散歩はきっと、もっともシンプルで奥深い旅の形なのだと、僕は思う。

chaiインド・プシュカルにて、チャイを飲みながら街をぶらぶら

自分だけの「○○」を

好きなものとともに歩けば、近場だって旅先になる。

電車ですぐの街で降り、ぶらぶら歩き、コーヒーを飲み、ラジオを聞き、本を読む。それだけで、その風景は途端に新鮮味を帯び、楽しくなること間違いなしだろう。

ここに挙げたのはあくまで僕の例にすぎない。自分の日常で大切にしている好きなものであれば、「○○」の部分はなんだっていい。

カメラ、音楽、ファッション、お酒、絵、陶芸、鉄道、ゲーム、映画などなど。探してみればいろいろありそうだ。

ぜひ、自分だけの「旅×◯◯」を見つけて、楽しんでみてほしい。

ライター

北海道出身、関西在住。読書と珈琲と文筆と旅を愛する31歳。インドとネパールが大好き。2025年、珈琲屋をオープンし、自家焙煎豆を人々に届けている。夢は旅する珈琲屋兼作家。

RELATED

関連記事