世界一周に興味があるものの、いつ出発しようかというのは悩ましいところ。時間のある学生のうちに行きたいのが本音だけれど、なにかとお金を使う学生時代に貯金なんてできるものなのか…。
だからといって、お金を貯めやすい社会人になってからは時間がないし…。世界一周旅行を経験している人たちは、自分の経験を振り返って、何がベストと考えているのでしょうか。
TABIPPOの名付け親・小泉翔さんは、学生時代に世界一周旅行に出かけた一人。当時を振り返って、学生時代の世界一周旅行と社会人になってからの世界一周旅行、どちらがいいと考えているのか。今回は、そんな翔さんにお話を聞きました!
昨年、社員旅行へ出かけた時の翔さん
新型コロナウイルスの関係で、対面ではなくリモート取材にシフトし、今回もディレクター・ありーと対談してもらいました。
「なにかやらなきゃヤバイ!」バイトと奨学金を利用して、8か月の旅に出発
ありー
翔さん
3歳から大学2年の春までずっとサッカーをやってたんだけど、プロになるわけでもなかったから「就活始まる前になにかサッカー以外のこともやらなきゃヤバイな」って思ったんだよね。
それで何をしようかと思ったときに、海外に行きたいなって思って。
ありー
翔さん
ありー
翔さん
2009年から2010年にかけて8か月間ほど行ったんだけど、そのうちの4か月間はアメリカに留学してたから世界一周したのは4か月間かな。
掛かったお金は、オハイオ州の大学の学費で50万円、世界一周旅行券40万円と、あと食事とか宿代に月12万くらい使ってたから、世界一周旅行費用だけでいうと90万円くらいかな。
世界一周当時。ペルーにて
ありー
翔さん
留学費用は奨学金を借りて、残りは全部バイト!
当時、ちょっと意識高めの大学生だったから、ベンチャー企業で営業のバイトしてたんだけど、それが成果報酬型で1件契約取れたら5万円くらいもらえたんだよね。あとは、カラオケとレストランのバイトも掛け持ちしてたかな。
ありー
翔さん
ありー
翔さん
トラブル連発!世界一周旅行初日にまさかのロスバゲ
ありー
翔さん
ありー
翔さん
ありー
翔さん
留学が終わってから、ニューヨークへ向かって、そのあとにチリとかペルーとかイグアスの滝とか南米に行って…スタートして1か月後くらいにスペインに行って、エジプト・中東に行って、ここまでで3か月間くらい経ってたね。
そこからヨルダンとかインドとか、香港に行って、中国に3週間くらいいて、中国から船で帰ってきた!
ありー
翔さん
そうそう! その船、ヨルダンで出会った人に教えてもらったんだけど、2泊3日くらいかけて大阪に帰る船で。
結構広い部屋に雑魚寝みたいな感じなんだけど、バックパッカーとかヒッピーみたいな人がたくさんいる中に、なぜかお金持ちのおじいさんとかもいておもしろいらしいと聞いて。1万5000円くらいだったし、船に乗ってみることにした。
ありー
なんか『カイジ』みたいな世界ですね(笑)。実際に乗ってみてどうでした?
翔さん
不思議な世界だったよ。
雑魚寝スペースにいたのは30人くらいなんだけど、貨物船だから船自体は大きかったから快適だし、ずっと卓球やって遊んでた(笑)。おもしろかったな…
帰路につく前、中国にて
ありー
翔さん
ありー
翔さん
世界一周の初日にニューヨークの空港で預けたんだけど、リマの空港で全然出てこなかったんだよね。シンプルにロスバゲだったんだけど。
荷物がないか事業所で聞いてみたら「今日(2009年12月25日)、クリスマスで帰国する人多いから荷物が乗り切らなかったんだよね。だから、まだニューヨークに荷物がある」って言われて。「えー… そんなこともあるのか」って驚いたよね。
そこから1週間くらい、毎日空港に様子を見に行ったんだけど、まったく出てこなくてさ。
ありー
翔さん
ニューヨークに電話したら「クリスマスの日にもちろん送ってるよ」って言われて、そんなことしてたらリマで年越ししたんだよな…
全然出てこないから「もし見つかったら送って」って日本の住所を書いて渡したけど、結局出てこなかった。だから機内に持ち込んだ一眼レフとパスポートと財布だけが入ったリュックサックで世界一周したんだよね。
仕方なく、その後に調達した荷物など
ありー
翔さん
一眼レフも持っていたけど、充電器がなかったから途中で使えなくなったしね(笑)。
大使館へ行ったり、警察へ行ったりでたらい回しにされて、めっちゃ大変だったけど、服は各地で買ったり、世界一周で出会った「これから日本帰るんです」っていう夫婦がアウターくれたりして、まあ、どうにかなったかな。
しばらくこのリュックサックだけで旅をしたらしい…
ありー
翔さん
そうそう。バルセロナからマドリードに戻る日があって、結構バスまで時間があったから「カンプノウ」っていうFCバルセロナのスタジアムがある駅まで試合見るわけじゃないけど、行ってみることにしたのね。
それでカンプノウに着く前に財布がなくなったことに気づいて…
ありー
翔さん
たぶんね。
財布の中には1万円くらいしか入れていなかったから、なんとかなったけどね。でも、カードをすられたから手続きとかは面倒だったな…
ありー
みんなに旅の良さを伝えて、もっと楽しく生きる人を増やしたい
ありー
翔さん
南米の宿で中国人と韓国人と日本人、6人の旅の諸先輩方と出会って、その人たちといろんなところを周れたり、旅の途中で再会できたのがよかったな。
そもそも当時って南米に行くのが30万円くらいだったから、南米にいる人って世界一周旅行券持ってる人ばかりで、南米で出会った人で今も仲良い人いっぱいいるもんなぁ。しみなお(TABIPPO代表)とかも、そこで出会ったし。
ありー
南米・アルゼンチンにて
翔さん
ありー
翔さん
なんかたぶん、あまり裕福ではなくて、土でできた家だったんだけど、なかなか宿泊できない体験だったからおもしろかったね。夜暗くなると、宗教の儀式みたいなのも始まって、ちょっと変わった体験だった。
最後めっちゃお土産買わされそうになったけど(笑)。
エジプトの壮大な景色。すごい…
ありー
翔さん
うーん…難しいな。友達がいっぱいできたことがよかったかなぁ。
結局、旅をきっかけに出会った人とTABIPPOを立ち上げることになったり、プライベートでも交友が続いてたりするからね。
第一回BackpackFESTAの集合写真(by Naoya Shimizu)
翔さん
あと、世界一周へ出てよく分かったのが、海外の人たちって、みんなオープンマインドだなってことだね。普通にバスに乗ってて、友だちと話してたら知らない人も会話に入ってくるし、目があったら微笑みかけてくれるし。
そんな海外の人のマインドで生きていると、人生って楽しいだろうなって思えて、日本人ももっと人生楽しめばいいのにとか、小さいことでウジウジ考えなくてもいいんじゃないかなって旅中に考えさせられたのね。
それもあって、旅をする人を増やしたいと思ってTABIPPOを立ち上げたから、そんな価値観を得られたのはよかったよね。
ありー
翔さん
俺は圧倒的に学生時代がおすすめするかな。
社会人になっても行けないことはないけど、大学生ってめちゃくちゃ時間があるし、なんの制約もないからね。あんなに濃密な体験をぎゅっと味わえることってなかなかないから、本当におすすめ。
ありー
なるほど。でも、学生にとって90万円って大金じゃないですか。
ぶっちゃけ、お金の面で無理してでも行ったほうがいいんですかね?
翔さん
ありー
翔さん
ありー
翔さん
ありー
翔さん
うーん… とりあえず次に行くなら一旦、安宿はいいかな。一人旅もいいや(笑)
今度は、嫁と仲の良い夫婦がいるベトナムに行きたいね。
ありー
【まとめ】翔さんの世界一周はたくさんの出会いに巡りあえた4か月間の濃密な旅
というわけで、今回の「あなたの旅、いくら使ったの?」のゲスト・翔さんの世界一周はこんな感じ!
テーマ:自由に好きな場所を周りながら、様々な人や価値観に触れ合う世界一周
・期間:8か月間(留学4ヶ月+世界一周4ヶ月)
・かかった金額:90万円(世界一周旅行券40万円+月に12万円×4、留学中の学費は別)
ちなみに月12万円の内訳は宿代は3000円くらい、食事に関してはあまり自炊をしていなかったとのこと。
イグアスの滝のツアーなどの観光系のツアーにも参加していたそうです。トラブルに巻き込まれながらも、お金に関しては心おきなく楽しめていたようで、羨ましい!
All photos by Sho Koizumi