旅行にハマるずっと前に、私はカメラにハマりました。
約10年前、当時はまだ高校生だった私は人生で初めてのマイカメラをゲット。そのときから、写真を撮ることが好きでたまりませんでした。
ファインダーを覗くと映る世界に心を躍らせ、その切り取った世界を見て何度もそのときの感情や空気感を思い出せます。自然と旅行にカメラを持っていくようになり、今ではカメラ旅が私の旅スタイルになりました。
マニュアルモードで切り取ったフランス旅行
2024年の春、ついにフルサイズカメラデビューを果たした私。ずっとフルサイズカメラに憧れていたものの、なかなか手が出せずにいたので、手に入れた瞬間からより一層カメラが好きになり、本格的にカメラを学ぶようになりました。
そして、ずっと難しそうだなと思っていたマニュアルモードでの撮影ができるように。ダイヤルを回して、ボケ感や明るさを調整し、自分が撮りたい描写に近づけます。最初は苦戦していたものの、徐々に思い描いた写真が撮れるようになり、シャッターを切る手が止まらなくなりました。
行くところ行くところで、撮影した写真を見てはニヤニヤ。さらには友達に「ねえねえ、この写真見て〜!」と見せびらかしていました。
どうしても撮りたかったモンサンミッシェルの景色
どの時間帯に訪れても堂々たる姿で聳え立つ、モンサンミッシェル。まさに絶景という言葉がぴったりです。その中でも写真に収めたかった景色があります。それは、モンサンミッシェルとうねうねの水路、羊、そして朝焼けのコラボレーション。
フルサイズカメラを購入してから、より一層カメラの魅力にどっぷりとハマり「この景色を撮影したい、自分の目で見に行きたい」と以前よりも思うようになりました。モンサンミッシェルの朝焼けもその1つです。
そのため、世界中で行きたいスポットは日々増えるばかり。一向に旅欲が収まらず、幸せな悩みだとは思いつつ、ちょっと困っていることでもあります。
ついに2024年10月、モンサンミッシェルへの訪問を実現し、朝焼けチャンスが到来。その日は憧れの絶景を求めて早起きをし、7時過ぎにホテルを出発しました。10月に入ったばかりだというのにダウンが必要なくらいの寒さで、道中何度「寒い」「眠い」と友達と何度言ったかわからないくらい。
しかし、薄暗い道を歩くこと約30分、やっとうねうねの水路とモンサンミッシェルが重なる絶景スポットに到着しました。
すると、徐々に朝日が後ろから上がってきて、モンサンミッシェルを徐々に照らし始めました。そのタイミングを待っていたかのように続々と羊たちも登場し、私が見たかった景色はもう目の前に。
憧れていた景色が目の前に広がると、先ほどまで感じていた寒さや眠気は嘘のように吹き飛び、興奮から心が沸々と燃えるような感覚がありました。心が感動して涙を流しているようにも感じた瞬間です。
興奮が冷めないうちにその景色をカメラに収めます。あっちへこっちへ動き回り、撮影した枚数は50枚以上。
30分ほど経つと、すっかり朝焼けは消え、羊たちも草原に散っていきました。きっと1日の中でほんの数十分だけ楽しめる景色だからこそ、これだけ人々を惹きつけるのかなと余韻に浸りながら、また30分ほど歩いてホテルへ。
ここから数日はなんだか幸せで胸がいっぱいで、どこか興奮から冷めない感じがありました。
写真があるから帰国後も旅は続く
旅行が終わってもその写真に何度も触れられ、その度に旅行の思い出が蘇ってきます。写真を編集するときや、カメラロールをスクロールするとき、SNSに投稿していると久しぶりに会う人との会話でも写真の景色を楽しめます。
そして、さらに今この記事を書きながら、あの朝のことがを鮮明に思い出しています。
きっと写真がなくてもこの風景は脳裏に刻まれますが、写真があることでよりはっきりとその時の空気感まで思い出せます。今でもスマホのロック画面にしている景色で、この写真はずっとずっと宝物です。
これからもカメラ旅を続けていきたい
正直、フルサイズカメラはレンズまで揃えようとすると1ヶ月分の給与が軽く飛んでいくくらいの金額。普段は20万円レベルの航空券をサラッと購入する私でも、カメラの決済ボタンをタップする指が震えそうだったことをよく覚えています。
しかし、今ではこのカメラなしでの旅行は考えられません。「どんな写真を撮ろうか」「あとでこの写真を誰に見せようか」そんなワクワクが旅行からなくなってしまうのでは、つまらないです。
このカメラがあれば、ひとり旅の寂しさだって半減しますし、誰かと友達になるきっかけだってくれます。これからもカメラは私にとってかけがえのない旅の相棒です。
All photos by Kanako Kurihara