星に願いを
翌朝、ジープは僕一人を乗せて塩湖に向けて走っていく。土と塩が混ざった道がついには真っ白になった。そして、日本を離れて約1週間、ようやくウユニ塩湖が僕の目の前に姿を現した。
塩湖に入って、40分ほど走ると大きなモニュメントが見えてくる。世界でもっとも過酷なモータースポーツ、ダカールラリーのモニュメントだ。広いウユニ塩湖で目印になりそうなものはこのモニュメントしかなく、ここで1ヶ月後に待ち合わせることにした。
ドライバーに絶対忘れずに迎えに来てくれるようにお願いすると、「大丈夫だよ」と笑っている。少し不安になりながらも荷物をすべて降ろすと、ジープは早々に村に戻っていった。
人を避けて、ここから10km ほど離れた場所にテントを張る。立つのもやっとなほどに重いバックパックを背負い、カメラバッグをかつぎ、登山用のストックを使いながらウユニ塩湖を歩く姿はかなり奇妙だったかもしれない。
なんとか2時間ほど歩き、モニュメントが見えなくなった場所でテントを張ることにした。結局、すべての荷物をキャンプ地に運びきるのに2日かかった。一度では運びきれず、モニュメントと宿営地を何往復もしたのだ。体は疲れ切っており、しばらく塩の大地に寝そべったまま起き上がることができなかった。
しばらくすると寒さで目が覚めた。日はすでに暮れ、辺り一面に夜が広がっていた。疲れと風の気持ちよさにそのまま寝てしまっていたようだ。寒いな、と思ってひとまずテントの中に入り、ダウンジャケットを着込んでから夕食をつくることにした。
テントに吊るしたランタンの灯と星の光しかなかったが、それだけで十分なほど明るい。標高約3,700m にあるウユニ塩湖は乾燥していて、大気中の水蒸気が少なく、世界有数の天体観測スポットと言われている。頭上にはうるさいくらい星が輝き、数秒ごとに流れ星が落ちていた。そして、十何年ぶりかに流れ星にお願いをした。
「早く雨が降りますように」。
…絶景にたどり着くまでに、このカメラマンに降りかかるさらなる自然の猛威とは?
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「ウユニでやりたい20のこと」「これで完璧モデルプラン! 」「これで完璧モデルプラン! 」など、本の魅力を抜粋して紹介。
随時アップしていきますので、お楽しみに!