ベケット・アタでの一連の儀式
photo by さかち
そんな感動の景色を眺めながら、2.5時間ほど車で進むと、ベケット・アタに到着します。到着したときから、ベケット・アタでの一連の儀式の始まりです。
まず、アタ(寺院)の敷地内に入るには、水瓶に入った「聖水」で全身を清めないといけません。そして、男性も女性も髪の毛を隠す必要があります。
身体を清めた後は、信者の皆様が持ち寄ったお菓子やチャイをいただきます。しばらくすると指導者が現れ、その方のお祈りを聞きます。
祈りを聞く間は自分の両手のひらを見つめ、祈りが終わるとその手で顔を上から下になぞります。そして、ここからが本番です。そう、白亜の大地の中を下に進み、「地下モスク」に向かうのです。
photo by さかち
20~30分ほど降りると、ようやく聖地である「地下モスク」に到着しました。そして、地下モスクの中に入り、再び指導者の祈りを聞きます。
祈りが終わると、数人の女性と私だけがさらに小さな洞窟に案内されました。どうやら、その小さな洞窟が子供ができるようにお願いする部屋のようです。
中は電気も何も無く、換気も無いので少し息苦しい…。そんな中で、一緒に入った女性2人が祈りを唱えながら、号泣し始めました。それは、見ているこちらが戸惑うほど、狂気を感じるものでした。
みんなは、本当に子供ができなくて悩んでいるのでは…。そんな大事な空間に、私が一緒にいて良いのだろうか…。私は祈るどころでは無く、そんなことばかり考えていました。
その後、1本の木が置かれている部屋に行き、その木の周りを3周して、指導者から渡されたスカーフを木に巻き付けました。
小さな洞窟で号泣していたみんなは、ここでも号泣しながらスカーフを巻きつけていました…。
神様はいるのかもしれないと思った
photo by さかち
私は正直、神の存在は信じていません。でも、きっとここに祈りに来ている信者の方々の中には、「確かに神は存在している」のだろうと思いました。
そして、涙を流しながら必死に祈りを捧げている皆様に向かって、「神様なんていないよ」とは口が裂けても言えませんでした。
その瞬間、私の中にも「神の存在」を感じることができたのです。それは、初めての感情だったかもしれません。
それから洞窟の外に出ると、目の前に広がる広大な大地に、雲の切れ間から太陽の光が降り注いでいました。神が大地に降りてきているのかな…と感じずにはいられない光景でした。
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・名称:ベケット・アタ
・住所:Mangistau, Kazakhstan
・アクセス:ジャナオゼンから車で約2.5時間/アクタウから車で約3時間(アクタウからは現地ツアーあり)
・料金:入場は無料
・所要時間:2~3時間
家に帰れば昔の日本を味わえる
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そんな体験をしてベケット・アタを後にしました。ノリさん一家の家に帰ると、おじいちゃん、おばあちゃん達に、「これで子供ができるわよ!」と励まされました。
完全に、子供ができないことに悩んで、はるばる日本からベケット・アタにやってきた夫婦だと思われていたようです。
あ、ありがとうございます…!そんな純粋なノリさん一家が本当に大好きになりました。
ベケット・アタにお祈りに行った日は、「ベシュバルマク」というカザフスタンの家庭料理を食べると決まっているそうです。
超太いうどんの上に、ジャガイモや羊肉、玉ねぎやトマトが乗っている料理。それを、みんなで囲って手で食べます!
photo by さかち
これが非常に美味しい。ぜひカザフスタンのお宅にホームステイをして食べてみていただきたいほどです。
食事の後、男性陣はウォッカを飲んで酔っ払い、顔を真っ赤にしながらそのまま寝る。若い奥さんが全ての片付けを一人でする。子供達はテレビを見たり、部屋に戻ったり。
あぁ、なんだかひと昔前の日本みたいだなーと思い、ほっこりとした気分になったのでした。
まとめ
いかがでしたか?西カザフスタンの魅力が少しでも伝わったでしょうか?日本から気軽に行ける場所ではないため、オススメしにくいところではありますが…。
治安も良いですし、人々もとってもフレンドリーで優しいカザフスタン。
・世界の秘境に興味のある方
・宗教に興味のある方
は、ぜひぜひ訪れてみていただきたいです。観光地化が進んでしまう前に、ぜひあなたも西カザフスタンへ!