現在、国立新美術館にて開催されている「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」。オーストリアはウィーンにある「ウィーン・ミュージアム」が現在工事で閉館中であるため、多くの傑作が日本にやってきています。
本展は今までと異なる点がいくつもあり、アート好きにとってはたまらない展覧会になっていますので、その見所をご紹介します。
展覧会のコンセプト
▲ベルヴェデーレ宮殿のパネル前にて撮影
クリムトやシーレが活躍した、ウィーンの18世紀後半から19世紀。この時代にウィーン・モダニズム(世紀末芸術)が形成されました。世紀末と聞くと、なんとなくシリアスでミステリアスな雰囲気が漂いますが、この時代はまさにモダニズムへの先駆けと言えます。
「ウィーン・モダン」とはこの展覧会のために作られた造語で、この言葉を使ったのは世紀末からモダニズムへの歴史の流れに焦点を当てるためだそう。世界的に見ても、世紀末にフォーカスする展覧会があるものの、モダニズムへの過程という視点で紐解くものは、今までもないそうです。
展覧会の見所
今までにないコンセプトのこの展示会は、大きく分けて見所が3つ。クリムトやシーレの作品を前面に押し出す展覧会とは異なり、18世紀後半から19世紀に花開いたプロセスを見ることができます。
①絵画のみならず、造形芸術も
展覧会の大きな特徴の一つは、絵画以外の展示が多く、複合的な展覧会となっている点。デザインや建築、音楽など多岐にわたり、この時代のウィーンを紐解いていきます。
ウィーン都市の形成がわかる流れや、ビーダーマイアー時代の美しい銀食器やオットー・ワーグナーが手がけたイスなど、この時代に生まれた芸術を、さまざまなジャンルから楽しめます。
個人的には、歴史的にも大きな役割を果たしたメッテルニヒのアタッシュケースの展示に驚きました。
②傑作が揃っている
クリムトやシーレ、ココシュカやワーグナーなど、巨匠たちの傑作がこの展覧会に集結。クリムト47点、シーレ22点、ココシュカ17点とスペースを許す限り展示されています。
クリムトのエミーリエ・フレーゲの肖像、シーレのひまわりをはじめとした傑作が集まっているので、美術の点から見ても素晴らしい展覧会といえるでしょう。
③ウィーンの至宝、その数400点
実際に訪れてみると、その展示数の多さに驚きます。普通は展覧会というと100点くらいの展示が多いそうですが、今回はその約3倍の規模。魅力をぎゅっと詰め込んでいるため、作品を見逃さないようにと必死でした。
本場ウィーンでも、これほどの作品数が一度に見られることはほとんどないため、かなり貴重な機会となっています。
「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」概要
会期:2019年4月24日(水)~8月5日(月)毎週火曜日休館
開館期間:10:00~18:00
※毎週金・土曜日は、4・5・6月は20:00まで、7・8月は21:00まで
※4月28日(日)~5月2日(木)、5月5日(日)は20:00まで
※5月25日(土)は「六本木アートナイト2019」開催にともない、22:00まで開館。
※入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室1E 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
観覧料:当日1,600円(一般)、1,200円(大学生)、800円(高校生)
前売り1,400円(一般)、1,000円(大学生)、600円(高校生)