ライター
吉川 大智 ソムリエライター

世界40ヶ国200都市の酒場とワイナリーを旅した元バーテンダー。 ワインバーのマネージャーを経て、現在多数のメディアにてコラムやエッセイを執筆するライターとして活動中。JSA認定ソムリエ。 日光浴と散歩が生きがい。

こんにちは。「旅×酒」をテーマに、おいしいお酒を求めて40ヶ国200都市を巡った吉川大智です。今回わたしがおすすめする国第3弾は、ユーラシア大陸、コーカサス地方にある「ジョージア」です。

ジョージアは旧ソ連圏の国で、昔「グルジア」と呼ばれていました。実はジョージアは、地球上ではじめてワインがつくられた場所と言われていて、その起源は8,000年前にまで遡るとされています。

今回はそんなジョージアの首都・トビリシでワインショップやワインバーを駆け回ったお話を。

ワイン発祥の国、ジョージア


ジョージアのワインづくりは約8,000年の歴史があり、世界で最初にワインが生まれた「ワイン発祥の地」と言われています。(※諸説あります)

なかでも「クヴェブリ製法」と呼ばれる原始的なワインの製法がジョージアで生まれ、古くから伝統として引き継がれています。

クヴェブリ製法とは、クヴェブリという大きな土壺の中にぶどうを入れてそのまま発酵をうながすという原始的かつシンプルな醸造方法です。壺自体を土の中に埋めて保存するのが大きな特徴で、独特の酸味とアロマが生まれます。万人受けする味わいというよりは、人によって好き嫌いの別れる味わいが多いです。

現地でしか飲めないまぼろしのぶどうが!!

ジョージアのワイナリーやワインショップを実際にまわってみると、ジョージア国内で生まれた土着ぶどう品種の数の多さ(525種類!)に驚きます。

しかもそのほとんどが海外に輸出されておらず、国内で消費されているという衝撃。現地に行かないと味わえない「まぼろしのぶどう」がジョージアで数多く栽培され、ワインがつくられているのです。


ワインがお好きな方は白ワインの「シャルドネ」や赤ワインの「カベルネ・ソーヴィニヨン」といったぶどうは聞いたことがあるかもしれません。

でもジョージアでは、そういった世界中で栽培されている有名なぶどう品種はあまりつくられておらず、「サペラヴィ」「ルカツィテリ」「ムツヴァネ」などといった、10人中8人が噛んでしまうような発音の個性豊かなぶどうが育てられています。

近年では日本のマーケットにもジョージアワインが入ってきて少しずつ認知度が上がっていますが、現地にはまだまだ、知られざるワインがたくさん存在しているのです。

白ワインも赤ワインも盛んにつくられていますが、ぜひ注目していただきたいのは「アンバーワイン」。このワインについて紹介しましょう。

「アンバーワイン」をのんでみよう!


近年、世界的にブームを起こしているオレンジワイン。もともとジョージアではその色合いが「オレンジ色」ではなく「琥珀色」と捉えられていたので、「アンバーワイン」と呼ばれていました。

「オレンジワイン」と呼ばれて世界的に認知されるようになったのは、実は2,000年代に入ってから。今日ではオレンジワインの名称で知られていますが、ルーツはやはりジョージアにあったわけです。

ちなみにアンバーワイン(オレンジワイン)は、白ワイン用に栽培された白ぶどうを、赤ワインのように、果皮や種を一緒にして発酵させる製法でつくります。白ワインのように軽やかな酸味を持ちつつも、赤ワインのような渋みを感じられる、白ワインと赤ワインのいいとこどり!な味わいが特徴です。

トビリシのワインショップをめぐろう

首都、トビリシの旧市街地には、多くのワインショップやワインバーがあります。観光客向けに開かれているオシャレなワインショップもあれば、地元の人がさくっと利用するローカルな酒屋さんもあり、散歩するだけでもとても楽しいものです。


ほとんどのワインショップでは試飲ができるので、気になるワインがあったらお店の人に話しかけてみましょう。

常にテンションが上っていた(酔っ払っていた?)わたしは、当時1日5~6軒ほどワインショップを巡回。もちろん試飲だけして帰るのはマナー違反なので、毎日バックパックにワインをパンパンに詰めてゲストハウスに帰っていました。

一人では飲みきれないので、毎夜のごとくその場に居合わせたドミトリーのメンバーと酒盛りの日々。

いつの間にか「今夜のワインはこんな感じのを持ってきてよ!」とリクエストされるようになっていました。そして威勢よくワインショップへと飛んでいく日々。今思えば、ただの良い人ですね。

とびきりおすすめのワインバー「Vino Underground」

もちろんワインショップだけでなく、ワインバーにもよく行っていたのですが、なかでもとびきりによかったワインバーはVino Underground!

トビリシの旧市街地にあるVino Undergroundは、ワインラバーの観光客はもちろんのこと、地元のジョージア人にも愛されているワインバーです。

さまざまなメニューがありますが、ここでは4種類のワインティスティングセットがおすすめ。白、ロゼ、アンバー(オレンジ)、赤ワインと、ジョージアワインをタイプ別に楽しめるお得なセットです。

しかもマスターが一本一本目の前でワインをついでくれて、英語でワインのティスティングコメントや歴史を語ってくれます。マスターのワインに対する情熱を垣間見ることができてとても満足でした。ワインが好きな方はぜひ、行ってみてくださいね。

■詳細情報
・名称:Vino Underground
・住所:15 Galaktion Tabidze St, Tbilisi,
・地図:
・営業時間:14:00~23:00
・定休日:なし
・電話番号:995 322 30 96 10
https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g294195-d5954924-Reviews-Vino_Underground-Tbilisi.html

魅力がありすぎる国、ジョージア


主にワインの魅力を語ってきましたが、他にも

・ご飯がおいしい
・物価が安い
・治安がいい
・日本人はビザなしで1年滞在可能

などなど、旅人にとってすばらしい魅力がたくさんつまっています。ジョージアに拠点をうつしている旅人も一気に増えているので、ノマドワーカーにも人気の理由が分かります。

今まで40ヶ国の国々を訪問してきましたが、コロナ情勢が落ち着いたら再訪したい国No.1は、ジョージアです。ワインが好きな方には、ぜひおすすめしたい国なのでした。

All photos by Daichi Yoshikawa

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吉川 大智 ソムリエライター

世界40ヶ国200都市の酒場とワイナリーを旅した元バーテンダー。 ワインバーのマネージャーを経て、現在多数のメディアにてコラムやエッセイを執筆するライターとして活動中。JSA認定ソムリエ。 日光浴と散歩が生きがい。

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