鬼太郎ファミリー像(隠岐の島町)
ライター
かわい まゆみ 絶景ハンター&トラベルライター

かつてミステリーハンターに憧れた、好奇心旺盛、タフさ、度胸、鉄の胃腸とフットワークの軽さ、何より悪運の強さが持ち味の女ひとり旅88カ国。秘境絶景地球のワンダー、日本人になじみの薄いマニアックなスポット、B級グルメに屋台飯が大好物。世界は驚きに満ちている、老いも若きも男女の別なく、"外に出たい"その一歩を後押しする何かを提供できたら嬉しいです。

こんにちは、絶景ハンターのまゆみです。

わたしたち日本人にとって、幼い頃からなじみのある怪異な存在「妖怪」。

近年ではアニメの『妖怪ウォッチ』や『鬼滅の刃』、このコロナ禍においては疫病退散の「アマビエ」が注目を集めましたが、妖怪といえばやはり『ゲゲゲの鬼太郎』ですよね。

鬼太郎の生みの親である水木しげるさんは境港出身で有名ですが、そんな彼のルーツが海を渡った隠岐の島にあることをご存じですか?

本記事では、妖怪好きさん必見!離島で味わう妖怪探訪の旅をご紹介します。

水木さんの故郷・境港は妖怪だらけの“妖怪のまち”

水木しげるさんと鬼太郎ファミリー(境港)
日本人にとって身近な存在「妖怪」。

英語だと「モンスター」ですが、日本の妖怪といえば、河童や天狗、お稲荷さん、座敷わらし、あるいはトトロなどといった、ちょっといたずら好きでどこかユーモラスで、どちらかというと神や精霊に近い存在として受け入れられていますよね。

そんな妖怪をより親しみやすい表現で描き、一大妖怪ブームを築いた人物が、『ゲゲゲの鬼太郎』の生みの親であり日本の妖怪漫画の第一人者である水木しげるさんです。

鬼太郎交番(境港)
水木さんの故郷といえば、鳥取県境港市。その境港は今、まちをあげての妖怪推しで、まち全体が水木ワールド一色となった“妖怪のまち”として知られています。

177体の妖怪ブロンズ像が並ぶ「水木しげるロード」、境港と米子を結ぶJR境線の「鬼太郎列車」、空の玄関口「米子鬼太郎空港」……まちの至るところに妖怪が出没し、手紙を出せば鬼太郎消印が押され、おまわりさんのいる駐在所ですら「鬼太郎交番」と名付けられているという力の入れよう。まるで一大妖怪テーマパークです。

水木さんのルーツは隠岐にあり⁉いざ隠岐の島へ

水木しげるロード 隠岐まで延長!
境港=水木しげると言っても過言ではないほど、境港のイメージが強い水木さんですが、じつは、彼の本名である「武良 茂(むら しげる)」の「武良」は、島根半島の沖合に浮かぶ隠岐諸島のひとつ、島後(どうご)の隠岐の島町武良郷(現・中村地区)がルーツであると考えられています。

隠岐に伝わる伝統の「隠岐武良祭風流」や武良の人々とのふれあいを通じて、その確信を深めたとされる水木さん。そこから「隠岐は水木サンのルーツです」をキャッチコピーに、水木しげるロードが海を渡り、隠岐の島まで延長されることになりました。

鬼太郎フェリー内部
本州と隠岐の島を結ぶフェリー「隠岐汽船」。

隠岐汽船が就航するフェリーのうち、境港発着の「フェリーしらしま」は「鬼太郎フェリー」としても就航しています。

船体の鬼太郎パッケージだけでなく、船内の至るところに鬼太郎ファミリーや妖怪が潜んでいて、すでにここから妖怪探しが楽しめます。

隠岐の島々に潜む妖怪たち

ここからは、隠岐の島々で見られる妖怪たちを一部ご紹介しましょう。

島後・隠岐の島町の妖怪

鬼太郎ファミリー像(隠岐の島町)
まずは、島後・隠岐の島町の西郷港ターミナル内に設置された「出た!鬼太郎親子とねずみ男」像。

境港から通じている妖怪トンネルを通って鬼太郎親子とねずみ男が隠岐にやって来た――というシチュエーションを表現しています。

ここからいよいよ本格的な隠岐の妖怪探訪がはじまります。

■詳細情報
・名称:西郷港
・住所:島根県隠岐郡隠岐の島町中町目貫の四 61番地
・地図:
・アクセス:フェリーしらはま(鬼太郎フェリー)|「境港」から毎日14:25発⇒18:30着/フェリーおき|「七類港」から毎日9:00発⇒11:25着/フェリーくにが|七類港から9:30発⇒14:00着/高速船|「境港」から毎日15:10発⇒16:33着
・電話番号:08512-2-2266
・隠岐汽船公式サイト:https://www.oki-kisen.co.jp/

アマビエ様(隠岐の島町)
島後・隠岐の島町には「踊る水木しげる先生」像をはじめ、全部で10体の像が設置されています。

こちらはそのひとつ、コロナ禍の日本にあって、誰もが一度は目にしたことのある、豊作と疫病退散の妖怪「アマビエ」像。

水木さんのルーツといわれる中村地区(旧 武良郷)周辺に設置されています。

島前・西ノ島の妖怪

焼火権現と目玉おやじ(西之島)
島後・隠岐の島町から南西約14kmの海上に浮かぶ島前(どうぜん)の島々。

島前でもっとも大きな西ノ島の玄関口・別府港ターミナルにも妖怪が潜んでいます。それがこの像。目玉おやじと焼火権現(たくひごんげん)です。

焼火権現とは、西ノ島にある焼火(たくひ)神社に祀られた神様のことであり、焼火神社にまつわる伝説をもとに水木さんがイメージ化した隠岐オリジナルの妖怪ともいえます。ちょっと妖怪(神様?)には見えない、ユーモラスな翁の妖怪ですよね。

■詳細情報
・名称:別府港
・住所:島根県隠岐郡西ノ島町美田八幡の前4386番地3
・地図:
・アクセス:フェリーしらはま(鬼太郎フェリー)|「境港」から毎日14:25発⇒17:05着/フェリーくにが|「七類港」から9:30発⇒12:05着/高速船|「境港」から毎日15:10発⇒17:23着
・電話番号:08514-7-8024
・隠岐汽船公式サイト:https://www.oki-kisen.co.jp/

島前・中ノ島(海士町)の妖怪

七尋女房岩(海士町)
西ノ島のお隣、中ノ島(海士町 あまちょう)には、妖怪の銅像こそありませんが、妖怪伝承の伝わる大岩、その名も「七尋女房岩(ななひろにょうぼういわ)」があります。

身の丈・七尋(ななひろ、約12.6m)にもなる大女の妖怪が石になったと伝えられるこの岩は、高さ約6m、幅約2mにもなり、山の中腹の雑木林に忽然と現れ、ただならぬ妖気を放ってそびえ立っています。その霊気を水木さんも感じとったとか。妖怪アンテナの強い方はご注意を。

夜も楽しい!境港の妖怪影絵

妖怪影絵ショー(境港)
隠岐の島の妖怪を訪ねた後は、ぜひ境港に再び立ち寄って、日没後に暴れ出す「妖怪影絵」をお楽しみください。

水木しげるロードに立ち並ぶ177体の妖怪たちは、日中とはまた違った妖しげな雰囲気を醸し出し、さらに路上にはさまざまな妖怪影絵が浮かび上がって、通行人を楽しませてくれます。

妖怪影絵・水木しげる記念館(境港)
水木しげるロードの東端に位置する水木しげる記念館では、ストーリー仕立ての動く妖怪影絵が披露され、子どもたちにも大人気です。

妖怪影絵は日没後から午後10時まで原則毎日開催。季節に応じてデザインや内容が変更されるので、何度来ても楽しめます。

山陰地方で妖怪探訪を楽しもう

一畑薬師の目玉おやじ(出雲)
ここは島根県出雲市にある一畑薬師(いちばたやくし)。

“目のお薬師様”として有名な一畑薬師は、幼い水木さんに妖怪話を読み聞かせていた「のんのんばあ」こと景山ふささんが篤く信仰したお寺で、幼い水木さんもまたのんのんばあに連れられて参拝したといわれています。

そんな深いご縁もあって、境内には「のんのんばあとオレ」と名付けられたブロンズ像や、参道などには“目のお薬師様”にかけて目玉おやじの像がそこかしこに設置されています。

奥の深い水木しげるワールド。ぜひ神話が息づくこの山陰地方で、日本の妖怪たちを訪ね歩いてみませんか?

■詳細情報
・名称:一畑薬師
・住所:島根県出雲市小境町 803番地
・地図:
・アクセス:一畑電車「一畑口」駅より平田生活バス「一畑薬師線」下車
・電話番号:0853-67-0111
・一畑薬師公式サイト:https://ichibata.jp/

All photos by Mayumi

ライター
かわい まゆみ 絶景ハンター&トラベルライター

かつてミステリーハンターに憧れた、好奇心旺盛、タフさ、度胸、鉄の胃腸とフットワークの軽さ、何より悪運の強さが持ち味の女ひとり旅88カ国。秘境絶景地球のワンダー、日本人になじみの薄いマニアックなスポット、B級グルメに屋台飯が大好物。世界は驚きに満ちている、老いも若きも男女の別なく、"外に出たい"その一歩を後押しする何かを提供できたら嬉しいです。

RELATED

関連記事