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1996年東京生まれ。ステキな人やモノを広めるライター。2019年にフリーライターとして独立し、インタビュー記事、地方取材記事、イベントレポート、プレスリリースなどの執筆を手がける。短期間でサクッと行く旅と音楽が好き。普段は多国籍なシェアハウスで暮らしています。

こんにちは、TABIPPO編集部の伊藤美咲です。

新型コロナウイルスの影響で、なかなか旅に出たり観光地を巡ることができない状況が続いていますね。将来は観光に携わることがしたいけれど、これからの観光業界はどうなってしまうの…!?と不安に思っている学生さんも多いのではないでしょうか?

ということでツーリズムプロデューサーの江藤 誠晃さんに、将来に悩む関西圏の学生3人がこれから求められる観光業界の人材やwithコロナの時代だからこそやるべきことを、オンライン座談会形式でうかがってきました!

江藤 誠晃さん
兵庫県神戸市生まれ、神戸市育ち。ツーリズムプロデューサーとして国内外各地の観光プロジェクトに携わる他、各種トラベル系コンテンツのプロデュースを重ねる。2020年4月からひょうご観光本部のツーリズムプロデューサーを兼任し、DMOのマーケティングプロジェクトを推進。
竜旺
和歌山県出身、大阪在住の大学4年生。来春からコンサルタントとして企業に入社予定。
知昌
兵庫県神戸市出身&在住の大学3年生。地元の地方創生と観光の発信に興味があり、卒業後は観光業界と神戸市の公務員を視野に入れている。
一輝
京都府出身、大阪府在住の大学3年生。このまま理系の大学院に進み化学系の企業に勤めて働く予定だが、一番働きたい業界は観光業界なので迷い中。

これから求められる観光業界の人材って?

江藤さん

みんなは今、旅行や観光業界にどんな変化を感じてる?

竜旺

旅へ行っても周りの目が気になって、今までみたいに旅先の写真をSNSに載せられないです。

知昌

私は遠出できないからこそ、地元の観光地に行くようになりました。同じ近畿地方でも県を跨ぐのは気が引けるので、今度は淡路島に行こうかなと思っています。

江藤さん

楽しむべきである旅行に後ろめたい気持ちがあるって、本来おかしいことだよね。

今の日本は感染拡大を防止することと経済の回復を両立させようとしているけど、それって車のアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなもの。

一輝

アクセルとブレーキを同時に踏んだら、空回りしちゃって前に進まないですもんね。

江藤さん

そう。でも僕たちの人生も社会も前に進まなきゃいけない。今観光業界は厳しい状況だけど、変わっていかないと今までのように若者が自由に旅をする状況は戻ってこないと思っている。

今後、日本人の平均年収は大きく減ると言われているし、そうなると海外旅行なんて行けなくなっちゃうよね。

竜旺

そんな…!これからの観光業界を変えるには、どんな人材が必要だと思いますか?

江藤さん

たとえばこれまで旅行会社に勤める人には、お客さんにプランをセールスして申し込んでもらうことが求められていたけど、これからはAIが最適なプランを提案してくれるから、存在価値がなくなるよね。

今後、旅に行く人は、旅に出ることで価値観や人生が変わることをわかっている人。だから観光業界には、旅に出ることでそれぞれの人生の価値を高めることが本当にわかっている人が求められると思う。

知昌

今までとこれからでは求められる人材が全然違うんですね。

江藤さん

就職活動をするときにはこれまでの業界や人材像から検討する人が多いけど、既存の枠組みで考えても通用しなくなってくるからね。

今、観光業界が大切にすべきことは「今後、観光がどう変わっていくべきか」のビジョンや、自分たちが将来どんな旅をするんだろうという想像力を持つこと。

これからは観光×ITなど、業界同士がクロスオーバーしていく時代。働きたい業界や企業を定めるのではなく、自分の理想とする生き方や社会イメージに業界を当てはめていくのがベストだね。

一輝

将来は化学系か観光のどちらに進むかで迷ってたけど、業界の枠に囚われずに考えるのが大事なんですね!

江藤さん

今も10年前までは考えられなかった仕事がたくさんあるように、次の5年、10年先の仕事を自分たちで作っていく意識が大切。

業界を飛び越えてこれからの時代を描いていく「未来人材」を目指すのが良いと思うよ。

自治体と民間企業が行う観光業の違いは?

知昌

私は地元の神戸市の地方創生と観光の発信に興味があって、大学卒業後は観光業界への就職と神戸市の公務員を視野に入れています。どちらがいいと思いますか?

Photo by 知昌

江藤さん

そもそも民間企業と自治体の違いってなんだと思う?

知昌

民間企業はどんどん新しいサービスを出すことができるけど、自治体は市民からの税金で動いているから、あまり自由が利かないイメージがあります。

江藤さん

その通り。わかりやすく言うと、自治体は税金を使って市民の安全や雇用、文化などを守ることをしてくれているからスポーツでいうディフェンスチーム。

対して、民間企業は人々がワクワクするような商品やサービスを生み出すからオフェンスチームになるんだよね。

でもディフェンスがベースの自治体の中で観光課だけは、外から訪れた人にお金を使ってもらうための外貨獲得チームだからオフェンス機能になるんだ。

知昌

観光業であれば、どちらもオフェンスになるんですね。それならあまり違いはないのでしょうか?

江藤さん

これからは自治体と民間企業の垣根はなくなってくるよ。ただし市役所に就職しても観光の部署に配属されるかはわからない。

知昌

たしかに…。

江藤さん

オフェンスといった民間企業でも配属先が総務や経理部だったらディフェンスチームだし、大事なことはその場所でどうポジティブな発想をして楽しめるか。経理が希望していなかった部署だとしても、将来起業を考えている人ならお金の流れを把握しておくことは絶対役に立つからね。

今後、就職後に世界一周の旅をすることは可能なの?

一輝

僕は世界一周をしたいという夢があるのですが、この状況だと在学中に行けそうにありません。どうしたら納得感を持った就職ができると思いますか?

旅中の写真 photo by 一輝

江藤さん

僕が学生の頃は世界一周なんて現実性が低かったけど、近年は気軽に行ける時代になったよね。行きたいなら絶対に行くべきだから、タイミングとどんな旅にするかが大事だよ。これからは飛行機の座席も少なくなるから航空券も高くなるし。

一輝

それだと世界一周なんて何十年も先の話…?

江藤さん

当面はかなり難しいと考えるべき。ただし、自分で5年後に仕事をしながら行くと決めれば実現できる可能性はあるよ。ジャーナリストになって世界のアフターコロナを取材する旅とかね。

一輝

それなら不要不急な旅じゃなくて、必要な旅になりますね!

江藤さん

就職活動をするときにはこれまでの業界や人材像から検討する人が多いけど、既存の枠組みで考えても通用しなくなってくるからね。

今、観光業界が大切にすべきことは「今後、観光がどう変わっていくべきか」のビジョンや、自分たちが将来どんな旅をするんだろうという想像力を持つこと。

これからは観光×ITなど、業界同士がクロスオーバーしていく時代。働きたい業界や企業を定めるのではなく、自分の理想とする生き方や社会イメージに業界を当てはめていくのがベストだね。

海外に行かずとも繋がりを得るためにできることはなんだろう?

江藤さん

今、日本にいながらも海外との関わりを持つためにしていることはある?

竜旺

海外にいる日本人の友達とオンラインで話して情報交換はしています。

一輝

旅に行けないから、海外との直接的な関わりってないかも…。

江藤さん

もし、みんなが1年前から世界一周や留学に行っていて、コロナの影響で日本に帰って来れなくなったらという状況をどう思う?

知昌

こんな状況で海外に1人だなんて絶対に不安…。

江藤さん

そうだよね。でも実際日本には仕事や留学で日本にいる外国人が200万人以上いるんだ。そんな在留外国人の人たちに日本の観光地を案内できたら、すごく需要あると思わない?

竜旺

たしかに!海外に行くことばかりに気を取られて、日本にいる外国人には全然目を向けられていませんでした。

江藤さん

日本にいる外国人の人たちは絶対日本人の友達を求めているし、そこに手を差し伸べられる人がこれからの国際社会を作る未来人材になり得ると思うよ。

知昌

大学のキャンパスにも外国人の子がいるので、声かけてみようかな。

江藤さん

せっかく日本に来てくれているのに、何も得るものがなかったって言われたら残念だよね。日本に来ている外国人にどれだけインパクトを与えられるかはとても大事なこと。

今はオンラインで完結できることも多くて便利な世の中だけど、逆にそれが問題でもあるんだ。

一輝

え、なんでですか?

江藤さん

今はオンラインであればソーシャルディスタンスが保たれていいかもしれないけど、今後世界各国のひとたちと握手やハグをする未来を考えてる?本当はみんな直接会いたいはずだし、オンラインやバーチャルに慣れたら、肌感のある体験ができなくなってしまうからね。

今海外に行かずとも繋がりを求めるなら、日本にいる外国人と友達になるのが1番いいと思う。始まりはオンラインでも、そこからどうリアルに繋げていくかが大事。

Withコロナの時代、学生のうちにやるべきことって?

一輝

みんなは大学生のうちにやっておきたいことってある?

知昌

私は海外に長期滞在することを学生の間にしたいと思って、カナダに1年間ワーホリに行きました。英語環境や現地の多様な考え方に触れられてよかったな。

ワーホリ中の写真 Photo by 知昌

江藤さん

留学から帰ってきた今、カナダに関わる仕事をしたいと思ってる?

知昌

カナダのニュースを見たときに親近感を持つようにはなったけど、仕事をしたいとまでは今のところ考えていないです。

江藤さん

もしカナダが好きになったのなら、コロナがなければ何度もリピートするのがいい。1回だけ行っただけだとどうしても表面的なことしかわからないけど、ひとつの土地に何度も行くことで見えてくることがあるし、将来の仕事に繋がる可能性だってあるからね。

竜旺

江藤さんが今大学生に戻ったら何をしますか?

江藤さん

未来の世界を知った上で戻るなら間違いなく勉強するね。観光のことに限らず、世の中の構造を学ぶためにさまざまな勉強をするかな。毎日本を読みまくって検索しまくると思うよ。

だから、今回大学生が実践的に観光を学べる組織を立ち上げることにしたんだ。

未来の観光を考える、ひょうご大学生観光局って?

ひょうご観光本部のツーリズムプロデューサーを務める江藤さんが立ち上げた「ひょうご大学生観光局」。兵庫県の「ポストコロナ社会の具体化に向けた調査検討費補助事業」として採択された企画で、ゼミ形式型のコミュニティとなっています。

江藤さん

ひょうご大学生観光局は、別名「YOUNG DMO HYOGO」なんだけど、僕から学生に観光について教えるコミュニティではないんだ。未来の観光局を作るという発想で次の時代を担うみんなと未来を変えていくための組織と思ってもらいたい。

このコミュニティに入った時点で、僕のアシスタントプロデューサーとして、実際に観光プロジェクトに関わってもらうことになってるから、インターンシップ的な活動でもある。

一輝

具体的にはどんなことをやるんですか?

江藤さん

兵庫県に関心を持つ方々の情報交流や移住に繋げていくための取り組みとして行われている「ひょうごe-県民」の増加施策を考えたり、SDGsプロジェクトに参加してもらったり、県の観光会議への参加もしてもらいたいなと。

知昌

普段の学生生活ではできないレアな体験ができそう…!

江藤さん

SDGs思考を体得してもらって、社会の構造の仕組みをしっかりと理解した上で、未来を考えてもらおうと思っている。withコロナの時代だからこそできる活動を通してキャリアアップできるはず!

竜旺

観光業界に興味ある学生は必見ですね…!

これからの観光業界や今やるべきことについて江藤さんからたくさんお話を伺い、オンライン座談会は終了。

最後のお話にあった「ひょうご大学生観光局」は10月7日(水)21:00〜22:30にウェビナーを開催し、その後メンバーを募集します。応募者の中から観光局のメンバー10名と聴講生40名の選抜を予定。

兵庫県在住もしくは兵庫県の大学に学ぶ大学生なら誰でも応募できます。

新型コロナウイルスの影響で学業や人とのコミュニケーションが減少してしまっている今だからこそ、できることを考えて能動的に動くことが求められる時代だと思います。

ウェビナーだけなら大学生は誰でも参加可能とのことです。観光業界を目指す人や興味のある人に現役プロデューサーの貴重なお話を聞くことができるので要チェックです。

ウェビナーの申し込みはこちら

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1996年東京生まれ。ステキな人やモノを広めるライター。2019年にフリーライターとして独立し、インタビュー記事、地方取材記事、イベントレポート、プレスリリースなどの執筆を手がける。短期間でサクッと行く旅と音楽が好き。普段は多国籍なシェアハウスで暮らしています。

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